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三題噺3【緑・カラー・映画】

その映画は緑色だけでできていた。


あらゆる緑。この世の緑色のものをすべて寄せ集めて、作った映画だ。

フルカラーの映画だが、緑しか無いので、まるでモノクロの映画を観ているようでもある。


初めはちょっと飽きた。何故なら私は特に緑色になんの思い入れも無いから。
植物も特に好きでもない。(当然ながら、その映画には植物が多用されていた。)


だがその緑色の洪水を眺めていると、なんだか自分の全身が、頭のてっぺんから足の先まで緑色になったような気になってきた。


映画館を出て日の光を浴びても、まだ体の中を緑色のグラデーションが波打っている。

待ち合わせていた彼女は、会うなり私をじっと見つめる。


「あなた、なんだか今日は雰囲気が違うね。」



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