見出し画像

笑顔は苦しみを隠すためのもの

中学3年生の時、クラスの仲良しグループ(5人)の中にいました。
みんなめちゃくちゃ明るくて、面白くて、優しくて、大好きなメンバーでした。

その中の1人とは特に仲良しになって、その子の家に泊まりに行ったり、着なくなった服をもらったりもしました。(我が家は借金だらけで超貧乏だったから、なんでももらえるのがあるのはありがたかった)

私は4月生まれ、その子は3月生まれで ほぼ1歳違いなのに、その子の方が背もずっと高くて、性格もお姉さんみたいで、甘えやすくて大好きな友達でした。

でも仲良くなった後に知ったことだけど、実はその子も虐待経験者で、身体にタバコを押し当てられた跡がいくつもあったり、一人っ子の中学生なのに 私が泊まりにいく日は家に誰も帰ってこなかったりで、無価値感や孤独感が日々作られていくような家庭環境の中に彼女はいつも一人でいました。

彼女のお母さんは若くして彼女を産んで、彼女の本当のお父さんは、お母さんと彼女に暴力を日常的にふるっていたらしいです。

そのお父さんとは、彼女が幼い頃に別れているけど、その後もお母さんは付き合う男性がコロコロ変わる上に毎回暴力を振るう男の人がきていたらしく、私が仲良くしていた頃に彼女のお母さんが付き合っていた男性も、「包丁を持ってよくおかんを追いかけてる」って彼女は言ってました。

我が家でも、父親が包丁を振り回して母親を追いかけたり、母に目掛けて包丁を投げる光景(ダーツかよ)がよくあったので、うちと一緒だねって二人で話したのを覚えています。

彼女は、本来辛いはずの話をする時にいつも笑っていました。
別になんでもないことのように、「うちのおかん馬鹿じゃろ!」って笑って話すんです。

自虐ネタは多かったけど、弱音は吐かない人で、家のことも友達に話すことはなく、私にしか話してなかった。(なんで私に話してくれたのか、未だにそこはよくわからない)

人を笑わせたり、その場を盛り上げていくようなキャラクターだったので、クラス全体のリーダーみたいな人で、(なんなら8クラスあった学年で彼女のことを知らない人はいなかったのではないだろうかってくらいの陽キャ)先生たちとも友達みたいに仲良くなるし、本当にいつもいつも彼女は笑っていて・・・

んんん…….やばい。
これをキーボードで打ちながら、涙が出てきました。
笑顔で隠した彼女の苦しみが私の中に広がってきました。

その後、高校に入ってから私は地元の友達との連絡を一切断ってしまったので、今 彼女がどうしているのかはわかりません。

仲良しグループの他のメンバーは温かい家庭で育ったから、今もきっと楽しく過ごせていると思います。

でも太陽みたいに明るい笑顔で笑っていた彼女に関しては、正直今、元気にしているのかどうかはわかりません。
生きていてほしいけど。

15年ほど前ですが、人づてに聞いた噂によると、彼女が中学生の時に付き合っていた彼が自ら命を絶って、山の中で半分白骨化されて発見されたと聞きました。

彼は私の友人でもあったのですが、彼女は別れた後もその彼のことがずっと好きでした。

彼女がもしその噂を耳にしていたらどうなるんだろうって、噂を聞いた時には真っ先に彼女の顔が頭をよぎったのですが、私は今、彼女が生きていてくれたら嬉しい。

彼女が今どうしているのかは全くわかりません。
過去を乗り越えて元気にまた太陽みたいな笑顔で笑って過ごしているかもしれないし、孤独と無価値から逃げられずに泣いているかもしれない。

でも、15歳でさよならしてから、私はことあるごとに彼女を思い出して、元気にしてるかな?生きてるかな?一人で泣いてないかな?って気になってしまいます。

彼女にまた会いたいです。
私の心の中には彼女がずっといるけど、私は彼女の心の中に居続けることはできたのでしょうか。
生きていてほしい。
またいつか、彼女の笑顔を目の前で見てみたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?