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『精武門』再発見@『猛龍生誕80周年 ブルース・リー4Kリマスター復活祭2020』

「南無阿弥陀仏の、暇もない。」(1983年『Return of the Dragon』)の上映時には劇場が入れ替え制ではなかったおかげで、朝から『唐山大兄』と『精武門』を一日3セット(計6本)観るという荒業を何度もやってのけたし、いろいろなところでのリバイバル上映には出来るだけ観に行ったので、実は『精武門』の劇場鑑賞回数は少なくはない、はず。

ところが、今回の『復活祭2020』で改めて劇場鑑賞して気付いたことがたくさん出て来たので私なりの私個人の喜ばしい新発見として書き留めておく。

*ゴールデン・ハーベストのジングル

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「ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!パパパパ~ン・・・」じゃなかった。
映像マニアじゃないので2Kだろうが4Kだろうが龍哥さえ観られればいい性質の私。ジングルの違うバージョンがあるとは知らなかった。というか観たことあったのかもしれないけれど、心の準備が無かったので驚いた。

*龍哥のアクターっぷりが素晴らしい

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このあたりのしっとりシーンしかり、師傅の遺影の前で徹夜する陳真しかり、ドラマ部分での芝居が素晴らしい。天才子役の面目躍如。
闘いのシーンや怒りを爆発寸前で必死に抑えながらのシーンでの芝居が良いのは前からわかっていたけれど、今回はこのあたりのドラマで龍哥の演技力の深さに触れて、なんと今更泣いてしまったのよね。
顔の筋肉を動かすだけじゃない、目の奥にその人物としての心情を湛えている、心を掴まれる芝居。
この芝居の深さは羅維の演出じゃないと思うな。演出を遥かに超えてSuper Actorとしての龍哥が心で創り出した演技だ。

*陳真がChen Jeh
今回上映されたのは英語版。陳真は広東語発音だと「チャン・ジャン」、普通話だと「チェン・ジェン」となる。のだけれど、セリフを聞いているとどうしても「チェン・ジェー」にしか聞こえない発音をする人がいる。最初のうちは私の聞き間違いかとも思ったけれど、どうしても「チェン・ジェー」にしか聞こえない発音の人がずっといる。門徒たちで墓場に陳真を探しに行くシーンではどう聞いても「チェン・ジェー」と「チェン・ジェン」の両方あった。
エンド・クレジットで謎が解けた。「Chen Jeh」となっている。ああ、だからやはり「チェン・ジェー」と聞こえたわけだ。いやしかし、全編通して「チェン・ジェン」と「チェン・ジェー」の2種類ともに絶対あった。普通話の素養のある声優は台本に「チェン・ジェー」とあっても「チェン・ジェン」と正しく発音していたから両者両立になってしまったのか。
ではそれにしてもなぜエンド・クレジットは「Chen Jeh」なのか?誰がどう聞き間違えたのか?もしくは書き間違えなのか?
エンド・クレジットでやはり謎は解けなかった。どころか深まっちゃった。

*ラストのストップ・モーション

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世紀のセンセーショナルなラスト・シーンに無粋承知で言おう。
後ろの連中、流れ弾に当たって怪我するよね?
これは新発見でも再発見でもなく、ずっとずっと思っていたこと。

映画にしろ書籍にしろ、年齢を重ねて観返したり読み返したりすると、また違った発見や感覚が出てくる。面白いね。

それに加えて、香港映画人の端くれとして映画の制作現場に関わるようになって、さらに映画の細かいところがみえてきたり、クルーたちの工夫や苦労が感じられるようになった。評論家にはなれないにしろ、少しずつ気付いたことや私の知ることを伝えていけたらと思う。

2017年にデアゴスティーニから出た『傑作カンフー映画 ブルーレイ・コレクション』の付録冊子にもちょこっとトリビアを書いていたりするので、その辺りも参考にして頂けたら嬉しいな。

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