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それは人生初の大勝負。あの「中学受験」を忘れない。

今日は2月9日。中学受験の結果がほぼ出そろった頃だ。
この時期、「思い出してほしい。」から始まる某受験塾の広告を見て、
思わず目を閉じ、胸がいっぱいになってしまう人は、中学受験を経験した
親御さん、とくに母親ではないかと思う。

そして2021年、中学受験を乗り切った皆さま、
本当に本当にお疲れ様でした。
どの学校に入学することになっても、この経験の価値は変わらないのだと、今年の経験者に伝えたい。特に、コロナ禍での受験は、誰も経験したこと
のない偉業だ。

4年前の1月は、私にとってこれまでで一番長い1か月であった。
中学受験本番を迎えるまでの一か月、私は仕事を休んで、専業主婦の母親として息子と過ごした。すると、今さらながら新しい発見があった。

まず身長が完全に私を超えていた。
私より大きくなった手で参考書をめくっていた。
受験が終わったあとにやりたいことばかり話すのは、現実逃避ではなく、
間近に迫った入試を楽しい気持ちで迎えるための、彼なりの自己暗示
だと知った。
壁に貼った塾のカレンダーに×印をつけていくとき、これだけやった、
という達成感を、自分に刻み込んできたこともわかった。
ランドセルをしょって、バッタを追いかけていた地味でごく普通の少年が、いつのまにか勝負を迎え撃つ受験生になっていたのだ。

2月1日からの数日、早朝の校門の前で見た、息子の、そして受験生
ひとりひとりの、侍のような顔つきを、私は忘れない。この1日のために、
「子どもらしいこと」を山のように我慢して、一世一代の勝負に挑んでいった顔つきは、それまで見たことのない、尊いものであった。

振り返らず校門に入ったいった後ろ姿、そして、受験番号を見つけて、号泣していた顔。それは、自分が死ぬ前に思い出すワンシーンのひとつ、になると思っている。たとえ、高1になったその姿が、どんなに「尊さ」からほど遠いものであったとしても。

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