環境問題を理解する: 大気汚染について考えよう
さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。
先週は「オゾン層に関連する問題とその保護の取り組み」ついて書いたが、今日はもうちょっと地表に近づいて「大気汚染」の問題について書いていこうと思う。
大気汚染とは
まず、大気汚染とは何かというところだが、
環境省のホームページによると、以下の定義がされている。
大気汚染の原因と大気汚染の種類
大気汚染の原因は主に以下の2つ、
1. 自然起源: 火山噴火、森林火災、花粉、黄砂、海塩粒子、オゾンなど
2. 人為起源: 工場や火力発電所、自動車排気ガスなどの化石燃料の燃焼による排出物、廃棄物の処理に伴う粒子状物質や化学物質
そして、それらによって引き起こされる大気汚染の種類は、大きく分けて以下の3つとなる。
1. 光化学スモッグ: 工場排煙や自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が強い日光によって化学反応を起こし、光化学オキシダント(Ox)を生成すること。光化学オキシダントが高濃度になると、目や喉の痛み、息苦しさなどの症状を引き起こす。
2. 酸性雨: 二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などの酸化物質が、太陽光や水などの働きによって硫酸(H2SO4)や硝酸(HNO3)に化学変化し、それが雨や雪などに溶け込んで、通常よりも強い酸度で地表に降ってくるものを酸性雨と言う。酸性雨によって河川や土壌が酸性化することで、生態系に悪影響を与えたり、コンクリートや金属の劣化を速めてしまったりする。
3. 浮遊粉塵: 大気中に浮遊する微小な粒子状物質を指す。中でも工場から排出される煤塵や、ディーゼル車などの排ガスに含まれる黒煙、土壌の飛散などから発生する、粒子の直径が10μm(マイクロメートル - 10μmは1mmの100分の1)の粒子状物質をSPMと呼び、とりわけ直径2.5μm以下の微細なものを「PM2.5」と呼んでいる。こういった微細な粒子状物質は長期間に渡って大気中に滞留し、肺や気管に沈着して呼吸器系に悪影響を及ぼす。
酸性雨の越境問題について
大気汚染は、その原因となる物質が排出された地域だけで起きるわけではない。例えば、酸性雨は多くの場合、発生国と被害国が異なる。
酸化物質は発生源から数千kmを移動している間に雨や雪に溶け込んでいくので、酸性雨の問題は自国だけで解決できる問題ではなく、国境を越えて対策を打つべき問題と認識されている。そういった酸性雨などの越境大気汚染の対策として、1985年のヘルシンキ議定書で二酸化硫黄の排出の抑制を、1988年のソフィア議定書で窒素酸化物の排出抑制を規定しており、欧米を中心にした35か国が参加している。
なお、日本はヘルシンキ議定書、ソフィア議定書には参加していないが、1998年に設立された、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)に参加し、東アジア地域の各国で共通の手法で酸性雨のモニタリング・データ収集・評価・研究活動・参加国内での技術支援や情報交換などを行っている。https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kikan/eanet.html
黄砂(およびPM2.5)の越境問題について
(みなさんもよくご存じと思うが)黄砂は中国北部~モンゴル南部に存在するタクラマカン砂漠とゴビ砂漠および黄土高原などの乾燥地域で、土壌粒子が風によって巻き上げられ、それが偏西風に乗って日本に飛来するものである。
黄砂もまた、ひとつの国だけで解決できる問題ではない。
環境省は、ライダーシステムと呼ばれる、レーザー光線を上空に発射し、その反射光を測定・解析することができるリモートセンシングシステムを、韓国・中国・モンゴルと共同で構築し、4国の14か所の観測結果を公表している。
また、今後前述の東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)において、酸性雨だけでなくPM2.5やオゾンのモニタリングも行っていく予定とされている。そして環境省は国連環境計画と協力して「アジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ(APCAP)」を立ち上げるなどして、大気汚染の解決に向けて議論を進めている。
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