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【公務員】病気休暇のすすめ

公務員を辞めたことは後悔していないが、一つだけ辞める前にやればよかったと後悔していることがある。それは病気休暇だ。
そんな病気休暇を取らなかった元公務員が考える、仕事で疲れたら病気休暇の取得を強くお勧めする理由について語りたい。


病気休暇とは

病気休暇について簡単に言うと、病気やケガなどにより働くことが困難な場合に、最大90日間休める制度で、休暇期間中の給与は満額支給される。国家公務員の場合は人事院規則など、地方公務員の場合は自治体の条例などに定められている。
なお、90日が経過してさらに療養が必要な場合は、休職に移行する。

病気休暇を推奨する理由1~病んでいる状態では冷静な判断ができない~

精神的に追い詰められているときに、いきなり退職を決めるというのは、とても危険な行為だ。なぜなら、ものすごく視野が狭くなり冷静な判断ができなくなっているから。人間の本能は、目の前に危機が迫っているとその状況を回避するようにできている。仕事で追い詰められると、どうにかして仕事に行かない方法を考えるようになり、結果、解決方法=退職しか考えられなくなってしまう。
でも、その人にとって退職がベストな選択とは限らない。場合によっては部署異動などで解決するかもしれないのに、視野狭窄のあまり退職しかないと思い込んでしまうのはもったいない。退職は環境を変える有効な手段ではあるが、リスクも伴うので、できるだけ最終手段にしておきたい。
心の病は心の風邪のようなものだと思う。まずは風邪を治して、心の元気を取り戻すのが先だ。退職を考えるのはそれからでも遅くない。

病気休暇を推奨する理由2~人生のモラトリアム期間で先々のことをじっくり考えられる~

病気休暇は、今の状態をキープしたまま、今後どうしていきたいかの人生の選択をあえて先送りにできる。働いている間はどうしても目の前のことに精いっぱいで、長期の目線で自分の将来を考える余裕がなくなっている。休職はじっくり自分と向き合って将来を考える絶好の機会になると思う(もちろん、まずは休むことが最優先ではあるが)。
民間企業には病気休暇の制度が存在しないところも多く、存在するとしても公務員ほど手厚い制度が整っている企業は少ないと思う。公務員になったからには、この制度を活用しない手はない。
また、いきなり退職してしまうと、仮に転職したとしても、次に向かうエネルギーが足りない状態では満足に働けないかもしれない。退職を視野に入れているとしても、その後元気に働くためには充電期間が必要だ。

病気休暇を推奨する理由3~満額の給与を受け取りながら休養できる~

病気休暇中、満額の給与が保障されているのは、民間企業と比べて大きなメリットではないかと思う。民間企業では、病気休暇の制度があるとしても、満額の給与が支給される会社は少ないだろう。経済的な負担なく休むことに専念できるというのは、公務員の特権と言える。

辞める前の自分に言いたい

今回病気休暇について調べてみて、公務員の病気休暇の制度は本当に素晴らしく、取らなかったことを改めて後悔した。
でも、実際には多くの公務員が病気休暇の申請をためらうのではないかと思う。私も周りの目を気にして、大して働いてないのに、とか、あの人はメンタルが弱い人だ、と陰で言われるかもしれないなどと想像し、怖くて休めなかった。弱い自分をさらしたくないというつまらないプライドや見栄もあった。だから、こっそり転職活動をして、そのまま退職した。
ただ、転職にもエネルギーが必要だから、きちんと休んで心身の状態を万全にしてから次のステップに行った方がよいと、自分の経験から強く思う。新しい環境というのは想像以上にストレスがかかる。私の場合は有給休暇もほとんど消化できずに、疲れを持ち越したまま転職先に行ってしまい、何となく元気出ないなあ、という状態が転職後も続いた。

立ち止まるのが怖いという気持ちもよくわかる。でも、人生の長さを考えれば、病休や休職の期間なんて、ほんの誤差にすぎない。むしろ、あえて立ち止まる時間も、長い人生には必要だ。休んだら嫌味を言う人もいるかもしれないが、そんな人に忖度して自分を犠牲にする必要はない、と今なら言える。

周りの目なんかよりも、まずは自分を大事にしよう、とあのときの自分に言いたい。

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