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文房具難民と、さくら堂は偉大だった思い出

息子が小学校に入学してから、
文房具を買い求める機会が格段に増えた。

なぜか割って帰ってくる消しゴム、
勢いよく減ってゆくセロテープの替え…。
一応予備として買い置きもしてあるのだが、
何かと買い物に出なくてはならなくなる。

たいていの文房具は近くのスーパーやドラッグストアで手に入るが
色鉛筆1色だけとかマス目指定のノートなどは厄介だ。
家のまわりで入手できなかった場合、
わざわざ最寄りの百貨店の文具売り場へ行かなければならない。
でも、その文具売り場も少しずつ店舗面積を減らして
とうとう無くなってしまった。
こうなると私の住まいからはママチャリをかっ飛ばして
25分ぐらいかかるイトーヨーカドーまで行く必要がある。
ノート1冊のために。
なぜ…なぜなの…どうしてこんな酷い仕打ちを!

昔、私の小学生時代には家から歩いて10分ほどの商店街の中に
「さくら堂」という、ご夫婦が営む文房具の個人商店があった。
学校で必要なものは大体どの子もみんなそこへ買いに行く。

小さな店舗に崩れそうなぐらい文房具が山積みにされてひしめいていて、
レジの横に陣取っている太ったおばちゃんに欲しいものを言うと
ドン!と何種類か箱ごと出してくれる。
子供がうろ覚えで買い物に行っても
店のおじちゃんとおばちゃんが推理してズバリな品物を出してきてくれる。

売れ残りの額縁やらファイルやらが埃をかぶっている横で、
子供の流行りには敏感だったのか
いつも行くと新作の練り消しやら匂いのついた鉛筆などの
ついで買いを誘う魅惑的な商品もたくさんあった。

私はポンコツな子供だったので
「明日、アレが必要だった!!!」となり
母に怒られながら買いに走ることも多々あったが
毎回さくら堂に助けられた。

また、ファンシーで可愛い系の文房具が欲しければ
それ専門のお店があった。
主にサンリオ系に特化した個人商店だ。
まるでサンリオの直営店のような品揃え。
私には夢のようなお店だった。


昔はそうやって、子供が一人で買い物に行ける
個人商店がいっぱいあった。
いつものお店の人に見守られながら自分のための買い物をする。
自分で考えて自分で選ぶ。

コンビニでもスーパーでも百貨店でも買い物は済むかもしれない。
でも、個人商店で文房具を買うのはまた全然違うのだ。

そうやってつらつらと考えていたら
さくら堂に行きたくなった。
まだやっているのだろうか。
おじちゃんとおばちゃんは元気だろうか。



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