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魂の存在があるのだとしたら

昨日、夢を見て以来涙が止まらなくなってしまった。ずっと亡くなった先輩のことが頭から離れないのだ。なぜだろう。魂があるのだとしたら、もしかしたらすぐそばに先輩がいるのかもしれない。居ても立ってもいられず先輩のお墓参りに行こうと思った。でも場所がわからない。当然だ。音信不通な仲になって数十年経つのだ。お葬式にも行けなかった。当時のスタッフが私に連絡をしたくて居場所を探してくれたらしいが私はもう世捨て人になった気分でいたので雲隠れしていた。かなりみんな呆れたらしい。夢の中で、先輩は優しく笑ってくれた。でも現実はそうじゃなかった。すごく意地悪だったしトゲのある言い回しで他の女性からも嫌われていた。私もかなり嫌っていて最後は電話で喧嘩したりしていた。ではなぜこんなに泣いているのかというと、ある言葉が忘れられないからだ。「私ね、昨日の夜寝ずに、水瀬ちゃんがどうやったらこれからもっと楽に生きていけるか考えたのね」これは私の体が非常に脆弱でよく会社を休んでいたから出た言葉だった。「それでね、絵よ。絵を描いて生きていけばいいのよ」私は面食らった。だってそんな夢のような話ありえないと思ったからだ。当時は、今のようにグラフィックデザイナーやキャラクターデザイナー、イラストレターが滅多にいない時代だった。私は突き放すように言った「そんなの、できるわけないじゃないですか」先輩は心からガックリしたような顔をして悲しそうだった。後日談がある。私はその後、ゲームキャラクターデザイナーを目指したのだ。結果は惨敗だったが、とにかく先輩の言っていたその希望を潜在的に覚えていたんだと思う。自宅に泡風呂を作ったから遊びにおいでよとも言われたことがある。私はやんわり断った。今思うと本当に人付き合いの苦手な口の悪いおばさんなだけだったのかもしれない。そんなことが次々と思い出され、嫌なこともあったはずなのに辛くなってしまった。先輩は27歳の時、火事で亡くなった。あまりにも若かった。歳の離れた旦那さんと共に逝ってしまった。ずいぶん経ち、ご実家にお線香をあげに行った事がある。その時のお母様の言葉が忘れられない。「私は霊魂だとかそんなこと全く信じられないけれど、病院であの子に死なないでと願っていたら、あの子がスッと息を引き取った。その時、魂が抜けていったように見えたのよ。きっと旦那さんが連れていったのね。せめてもの救いだわ」私もあまり幽霊だとかの存在の話をするのは苦手だ。でも先輩はきっと確かに私のそばに今もいて、苦しい状態の私を励ましてくれているんじゃないかと思う。でもなぜ今になって突然夢に出てきたのかわからない。不思議な事があるものだ。それとも私が自分で自分に見せている幻なのか。

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