itukano_nikki_Jan_卒論-大学7年生

▶1th Jan
天気は大荒れ。吹雪と時折の雷。
年末から福袋を買おうかと毎年悩むけど、
外の強風音を聞いて動かない理由にする。
よいしょと気持ちを起こして、実家に連絡をする。
おばあちゃんの声は、優しくて弱々しい。
「帰ってこんね、寂しかよ」と。
昼過ぎ、兄から家族写真が届く。
写真が嫌いという父も映っていて、ちいさな姪っ子を抱いていた。
白髪と色白肌の姿は、いまにも写真から消えてしまいそうだった。
母はしっかりした少し怖い顔がずいぶんお爺ちゃんに似てきた。
お嫁さんは笑顔で、たぶん2-3歳の甥っ子は一生懸命ピースをしている。
兄がとった家族写真はとても幸せそうで、
「帰ろうか」という気持ちにさせたけれど
しあわせそうという気持ち以上に、胸が苦しくなる。
きっと現実は、母は相変わらず父・おばあちゃんと仲が悪く、
お嫁さんと母はびくびくする会話をし、兄はそのフォローをする。
弟はそういう会話を閉ざされた部屋から聴いてるんだろうか。

▶2th Jan
真っ白な道。足首まではまる雪。
空の青さと雪の白さが気持ちのいい朝。
今日はイルカと泳ぐ夢を見た。なんとなく良いことのような気がする。
2日の大学は31日よりも静かだった。昼過ぎごろまでゼミの準備をした。
12時を過ぎた頃からまた雪が降り始め、図書館の窓からぼーっと眺める。

▶3th Jan
朝、窓の外から雪が解ける音がする。
道はきっとびしゃびしゃなんだろうと、化粧をしながら思う。
昼過ぎから夜中までゼミの準備に費やす。

▶4th Jan
晴れ。すっかり雪は解け、初詣に彼の車で少し遠くの神社へ。
おみくじは末吉だったけれど、書かれていることは悪いことではなかった。
もともと初詣の習慣のない私は、どこからか拾った知識で甘酒を飲む、
そうやって「お出掛け」を作っていく。
甘酒には生姜が入っていた。
大学を卒業した友人からLINEがきた。数少ない友人のうちの2人。
狭かった視野がぱっと広がるような感覚、そして
どこかで私の存在がよぎる人がいてくれてるんだと、嬉しいように思う。
彼女の生き方にはいつも元気づけられる。
がんばらなければ、と思わせてくれる。

▶6th Jan
雨。
何か問題が起こった時、自己犠牲で片付ける方が楽と思っていて。
ちゃんと考えないといけないと思うけれど。
今日の講義、来週テストがあると。テスト範囲は前回の授業から。
前回、欠席をしていた。
唯一欠席していたのが前回で、落とすわけにはいかないという気持ちで
少し悩んで、勇気を出して隣の女の子に見せてもらえるように頼んでみる。
とても親切で優しい人だった。
久しぶりにまったく知らない人と話をして、しかも優しい人で
高揚感というか、
こころが温かくなるような気持ちだった。頑張ってよかった。

▶7th Jan
研究室の先生にゼミ準備の質問。
保健センターの先生に薬の飲み合わせの質問。
質問をすることは大切な事と知っているけれど、
相手に伝わるか、頓珍漢な事を言ってはいないか、
質問のための下準備も必要で、
そう考えると、とても質問は勇気がいる。
ただの会話することもままならないのにと、口を噤んでしまう。
だけど、ここ二日ほど、質問することができていて
少しの満足感を感じている。
誰かに自分の思ってることを、すこしでも話すようにする。

▶8th Jan
風邪を引いたようだ。鼻水とくしゃみと、寒気とだるさ。
さらに目の調整もわるく、
ほぼノーメイク、ノーコンタクトレンズ。
マスクに眼鏡。
それでもパブロン飲んで大学へ行けるのは、精神的には悪くないから。
2コマ目の授業頭に小テストが返却される。
取りに行くのが面倒で授業終わりに教室を出る時にとって帰ろうと思っていたら、
隣の研修室の3回生のともちゃんが「私の横にあったので」と持ってきてくれた。
年上で絡みにくい雰囲気を出してるであろう私に、
そういうことができる優しいともちゃんがすごいと思ったし、尊敬した。
私のまわりには年下で尊敬できる子が沢山いる。
人は年齢でどうこう言えるもんじゃないと、改めておもう。
きっと年をとればとるほど、適当に生きた人間とそうでない人間に
差が出ていくんだろうな。

▶9th Jan
最後のゼミ発表。
風邪の症状がまだ残っているけど、とりあえずやり終えて、
卒業までの山を一つこえられた。
今晩は餃子とビール。風邪っぽいけど、餃子とビール。

▶10th Jan
ミーガン・ワシントンのTEDを見た。
その中でミーガンが歌っていた歌にとても共感した。

▶11th Jan
これをやると決めて、それを実行に移せば、
その程度にもよるんだろうけど、達成感はあって。
例えば休日、何もしない何も考えない事を決めてしまえば、
それはそれで達成感につながるのかなと思うけど、そうもいかなくて
テキトーに過ごしたことに不満が残る。

▶12th Jan
「モラトリアムたま子」という、前田敦子が主演のDVDをみた。
モラトリアムとは、人間の成長の中で社会的責任を猶予される期間のことだそう。人間の発達を可能にする、準備期間のこと。

▶13th Jan
朝はとても寒くて、でもきもちがいい。
休める日がないわけじゃないんだから、
休む時じゃないときは、休みべきじゃない、と当たり前の事を思いながら
自分を起こす。
今日は7:30には教室についた。テスト勉強をする。

▶14th Jan
月日が過ぎるのがとても早く感じる。
すこし油断すると、こわくなる、逃げたくなる、こもりたくなる、
誰かに何かを決めてほしくなる。
しっかりしろと言い聞かす。

▶15th Jan
落ちついて優先順を考える、感情的にならないように、投げ出さないよう。
1コマ、コーラックの効果で腹痛。とても帰りたかった。
2コマ、休講と思ってたらそれは来週のことだった。とても帰りたかった。
先生の所にゼミの回答を持っていくのが苦痛だった。やるべきことだった。
似顔絵なんて描きたくないのに、研究室の何かで書いた。
今すぐ帰りたいのに、教えてほしいと頼まれて実験の仕方を教えた。
これで卒論書けば、100%賞をあげれた。

▶17th Jan
自分で考えて、選択して、行動しないといけない。
責任から逃げちゃいけない。
いまわたしがこんなにも死にたいのは、責任逃れ。
わたしがわたしを大切にしなかったから。
わたしがわたしの存在を認めないから。
わたしは春を迎える事ができるかな。
とても死んでしまいたい。

▶18th Jan
選ぶべきでない選択をしたのは確実だった。
断るべきだったし、やらないべきだった。

▶19th Jan
顔が老けたと思う。

▶20th Jan
毎日毎日、同じことを続ける事、
習慣があれば安定にもつながったりする。
その日のうちにやっておくべきことは、多少無理してでもやった方がいい。
22:30過ぎ、夕飯を食べて
お茶碗を洗い、
シャワーを浴びて寝る。
ちゃんと1日を終われたなあと思う。

▶21th Jan
3月は自殺者が増えるらいしい。
人ってみんな死にたいけど、しゃーなし生きてるんだと思う。

▶22th Jan
うつっぽいときこそ、
とりあえず朝動き始めて
とりあえず予定は手をつける。
そうでないと自己否定の連鎖がはじまってしまう。
とりあえず一歩進めること。
とくに、朝動き始めることは一日を左右する最重要事項。

▶23th Jan
わたしよりも6つも7つも違う子らが
しっかりと発言している姿を見ると
なぜ私はこんなに、と思う。
それだけ自分をもたずにここ数年生きてきたからなんだとわかってる。
卒業出来たら、3年を目安に自分をもてるようになろう。

▶26th Jan
昼頃まで寝ていて、
洗濯をして、
ごろごろして、
5コマも行かなかった。

▶27th Jan
今週の木曜帯は、テストと卒論発表練習が重なっているのに、
全然テスト勉強できていない。
なんだか頭がゆるい。

▶28th Jan
わたしは悪い意味で「まあいっか」「大丈夫」と思ってる。
事実は、まあよくないし、全然大丈夫じゃない。
明日は卒業がかかっているテストと卒論発表練習がある。
21:00から4回生だけで練習するとか言ってたけど
時間が遅すぎだし、明日テストもあるし
「風邪(嘘)+テスト」を言い訳に行かなかったけど、
正しい選択だったと思う。
だけど、その時間本気で勉強に打ち込んだわけではない。
大丈夫じゃない。

▶29th Jan
今日の卒論発表練習会に参加することで、
きっと本番は多少やりやすいものになるはず。
けれど「やらずに済むなら」と
目先の楽さばかり考えてしまう。
薬をのんで、教室に体を押し込めた。
薬が効いているのか、驚くほど落ち着いていた。
参加したことで、ちゃんと一日を終えることができたと思う。

▶30th Jan
今日は最後のゼミだった。
こころは落ち着いていて、2回も発言することができた。

▶31th Jan
大家さんが、私がもし来年もここにいるのであれば、
残って住んでもいいと言ってくれた。
こちらから相談持ちかけておいて、その場ですぐには応えられなかった。
居場所ができて
引っ越しの苦労が減ったようで
とてもきもちがほっとした。
卒業が決まったらハロワに行こう。
今日、バイト先から3か月分のお給料をもらった。
きっとママに会えるのは最後だけど、何も言えなかった。
お給料はすぐ使う気持ちになれず、
ホッチキスで止めておいておくことにした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?