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カンディード

ヴォルテール 1759

『 この最善なる可能世界においては、あらゆる物事はみな最善である 』

1755年、ポルトガルの首都リスボンを大地震と津波が襲いました。犠牲者は5万5000人~6万2000人と言われています。この未曾有の災害はポルトガルの衰運を加速させただけではありません。自然の猛威は、神によって世界は最善に創られているという世界観を揺さぶり、カント、ルソーなどの思想家に大きな影響を与えました。同じく、この災厄に衝撃を受けたヴォルテールの代表作で、人を疑うこと知らぬ純真な若者カンディードが苦難に満ちた旅をしながら人生の意味を考える、というピカレスク小説です。

「善人も悪人も罪のない子供たちも等しく死ななければならなかったのか。」

災厄がありふれた日々をカンディードは送りますが、少しでも事態が好転すると、すぐいい気になり、またしても苦汁をなめてしまう。・・・・ですが、その連続は、人間の愚かしさというよりも、転んでも起き上がるという人間の力を感じます。

未曾有の災害を幾度となく乗り越え、人類は生き延びています。

ひとりひとりに与えられた「人生」という時間。それは「ひとつの物語」です。辛いことも多いけれど、誰かと共有できる時間を持ち、「生きていてよかった」と思える時間も「ひとつの物語」の中にきっと数多くあります。

『 この最善なる可能世界においては、あらゆる物事はみな最善である 』

頑張っていきましょう。

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