靴磨き日本一周98日目in名古屋

朝から緊張していた。

この日は名古屋駅周辺にある「ななちゃん人形」の前で路上靴磨きをするからだ。

この場所は初めて路上靴磨きをした場所である。

正直、いい思い出よりかは辛い思い出の方がはるかに多い。

私が路上靴磨きをしていて、一人もお客さんが来なくて1日中突っ立ってるだけのことも何度もあった。

前を通る人は不審者を見るような目でコソコソ話をする。

名古屋にいた友達や元同僚も噂を聞きつけて様子を見にくる。

一人ボーと突っ立ってる私を見てバカにされたこともある。

ななちゃん人形から家に帰るまでの間、不安と悔しさから涙を流したこともある。

誰も来ない時間が苦痛で何度もやめようと思った。

でもここでやめれば私の選択は"失敗"に終わる。

いつか「あの悔しさがあったから今がある」と笑って言える日を迎えたい。

だから私は活動を続けた。

一年半ぶりのななちゃん人形前路上靴磨き。

私が到着したと同時に一人の男性が2足持ってきてくれた。

その靴を磨いてる時に差し入れのコーヒーとパンを持ってきてくれた前職の仲良しだったパートさん。

インスタの告知を見てきてくれた靴好きな名古屋在住の男性。

それから休むことなく次から次へと私に靴を磨いてもらいに来てくれる。

最高4人待ちになり何人かのお客さんは断らなければならなかった。

終わってみれば合計13足。

ななちゃん人形に向かって言った。

「あの時の選択は今"正解"になったぞ」

上手くいかない時は落ち込むし、別の方法を探ろうとする。

でもそれは花が咲くための肥やしの時間で必ず必要な時期である。

待ってでも「あいつに靴を磨いてもらおう」と思ってくれたことが嬉しかった。

グッバイななちゃん人形。

また戻ってくるよ。