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【妖珈琲物語】第32話「珈琲生豆は汚染されている?」


【妖珈琲物語】

おは妖ございます。妖店長です。

第一章(第1話~第13話)では
コーヒーが飲めるようになって「半年」で、自家焙煎・販売までたどり着いた「自家成分焙煎 妖珈琲店」店長の珈琲物語を連載致しました。

第二章からは、現在の心境を綴ったり、気になったことをまとめたりしていきたいなと思っております。
宜しくお願い致します。


食品衛生責任者

はい、いきなりこんな題名ですいませんが、先にこちらを。

珈琲屋さん(飲食店)を始めるにあたり、必ずスタッフ一人が取得しないといけないのが「食品衛生責任者」の資格になります。

https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000360006.pdf

「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」

7 食品衛生責任者の設置
(1) 営業者は、施設又はその部門ごとに、当該食品取扱者及び関係者のうちから食品衛生に関する責任者(以下、「食品衛生責任者」という。)を定めておくこと。

(2) 食品衛生責任者は、都道府県知事、指定都市長及び中核市長(以下「知事等」という。)が行う講習会又は知事等が適正と認めた講習会を定期的に受講し、常に食品衛生に関する新しい知見の習得に努めること。

厚生労働省

(1)営業者:妖店長、食品衛生責任者:白くま副店長のことですね。
※調理師免許所有の白くま副店長は受講免除。

2023年10月に妖店長も経験として受講し1日かけて資格を取得して参りました


講義内容

では、内容を超~簡易的に。

講師
「安全とは、《具体的な危険を物理・化学的に除去》することです。安全は安心に繋がり、リピーター(信用)に繋がります」

手洗い(石鹸+消毒薬)の励行

食品は中心部まで十分に加熱すること。
 ☆20~50℃が食中毒菌が増殖しやすい!!
 
80℃で1分間以上加熱するとほとんどの菌が死ぬ
 ☆ノロウイルスにも効果的なのは、85~90℃で90秒間以上加熱
※再加熱の際も、よく加熱すること。
※細菌性食中毒の種類と感染経路は割愛します。


HACCP(ハサップ)

「HACCPとは?」

Hazard Analysis and Critical Control Point
H:危害要因 A:分析 C重要 C管理 P点 のこと。



【コーヒー製造における HACCP の考え方を 取り入れた衛生管理のための手引書(案)】

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」内より
【業種】:コーヒー製造
【公表日】:2020年3月18日
【作成団体】:一般社団法人全日本コーヒー協会/
       全日本コーヒー商工組合連合会

https://www.mhlw.go.jp/content/11135000/000591195.pdf

■危害要因分析

生物的危害要因(微生物汚染)
通常、コーヒー原料生豆は、水分含有率13%前後、水分活性は 0.6 付近焙煎豆の水分含有率は最大でも3~5%程度、水分活性は 0.2 付近であるため、原料生豆や焙煎豆に微生物が付着しても増殖しません
(一般生菌の最低生育水分は水分活性 0.9 以上、 カビで 0.8 以上。)

また、200度前後の焙煎加工工程を経るため、結果として微生物は消滅するので、HACCPにおける生物的危害要因に対する重要管理点を設定する必要はありません。


化学的危害要因(農薬、カビ毒)
レギュラーコーヒー製造に使用する
原材料であるコーヒー生豆は、残留農薬を含有するおそれはあるが、
輸入時には検疫所のモニタリング検査をうけていることから、それらの情報に注意す ること。

原則として、輸入時点の検査により、国で定められた残留農薬の基準以内のもののみが国内流通するため、
原材料段階での化学的危害要因は無いと考えられますので、
HACCPにおける化学的危害要因に対する重要管理点を設定する必要はありません。

ただし、事業者は、信頼される事業者から豆を調達(又は購入)し、
その(購入先)記録を残すこと、また、新たな情報に留意すること。
健康被害の原因となる物質を含む化学物質(殺虫剤、 殺鼠剤、洗剤、機械油等)は、コーヒーを製造する区域には置かないことが重要です。


物理的危害要因(異物混入)
原料生豆は生産国において異物除去工程を経ていますが、
製造事業所内に存在する様々な異物や従業員に起因する異物が混入するリスクが存在します

しかし、これらの異物はコーヒーを飲用に供する工程において、90~100℃の熱水でフィルター等を用いてろ過して抽出するため、 異物がコーヒー抽出液に移行することは想定できません。

また、これまでも抽出液に異物が混入したという報告はなく、HACCP における物理的危害要因に対する重要管理点を設定する必要はありません。

以上の危害要因分析の結果、コーヒー製造における HACCP の考え方を取り入れた衛生管理 では、重要管理点の設定は必要ありませんが、
焙煎、粉砕、充填等の工程で使用する各種機械、 設備等の破損等により、極めて稀に金属異物等が製品に混入する恐れがあるので、
製造設備の点検及び記録をしっかり行い、万一、混入してしまった異物は確実に除去しましょう。

厚生労働省

~要約~
・原料生豆や焙煎豆に微生物が付着しても増殖しない

・250℃近くで焙煎するため、菌は死滅する
・輸入時点の検査により、国で定められた残留農薬の基準以内の生豆のみが国内流通する。
・異物はコーヒーを90~100℃の熱水でフィルター等を用いてろ過して抽出するため、 異物がコーヒー抽出液に移行することは想定できない。

うん、そうじゃないと、食品安全面的に生豆を売る問屋さん捕まっちゃうよね。

温度や細菌については看護学生時代に公衆衛生学で履修済みでした。


珈琲生豆は汚染されている?

さて、上記のエビデンスを踏まえて、コーヒー界隈で話題になったのがこちら!

当店にも、「水砥ぎした方が安全なの?」というお問い合わせ頂きました。今回は「安全性について」個人的に考えていきたいと思います。

そのコーヒー、原産地の“汚水まみれ”かも。誰も知らない「生コーヒー豆を洗う」べき理由
11/6(月) 20:00配信

コーヒーの生豆は、洗うべきか洗わざるべきかーー。
コーヒー業界でたびたび交わされるという議論の行方は、いまだ白黒がついてないという。
50℃のお湯でゴシゴシと洗う異端児がいた。

OCEANS & LIGHTHOUSE MEDIA

生豆を50℃のお湯で研いで焙煎している珈琲店の記事です。
個々のやり方は自由なのですが、その考え方がX(Twitter)で物議を醸しておりました。
続きを見てみましょう。


生豆は汚れている?

あまりにも汚れていてびっくりしました……。
いろいろと試して、50℃のお湯で洗うのがベストだという結論に至ったんです。

菌は60℃以下だと活性化されてしまいます。
死滅させるためには、60℃以上じゃないといけません。
でも、そんなに熱いと手で洗うことができないじゃないですか。ゴシゴシと手で洗えて、なおかつできるだけ菌をやっつける温度。
それがだいたい50℃
なんです。

焙煎時に185~245℃程度の熱を一定時間加えるので、洗浄するときは可能な範囲の高温で洗浄すれば大丈夫です(※)。


ーーこの茶色い水に含まれている正体は何ですか?
現地の水や土、そしてホコリ。
表面に付いてる可能性のある農薬や防虫剤や防カビ剤のポストハーベストなどですね


ーーつまり50℃のお湯で洗うだけでは、香りは抜けないと?
香りや旨味成分が抜けるというのはあり得ないと思っています。
実際、この焙煎所もコーヒーのいい香りがしますよね?

濡れたままの方が洗浄では取り切れなかった農薬や汚水がほぼ完全に抜けることもわかりました
※濡れたまま焙煎することについて

OCEANS & LIGHTHOUSE MEDIA

最終的に焙煎時の熱は185℃~245℃で行うので菌が死滅します
➔お湯の温度の意味は…?

「濡れたままの方が洗浄では取り切れなかった農薬や汚水がほぼ完全に抜けることもわかりました。」
➔エビデンスがよくわかりません…。

また、50℃で手洗いした生豆からの研ぎ汁=汚水だというお話。
➔カフェインレスを作る際の技法のひとつ、水を使った技法でどうなるか。

《スイスウォーター式》

ディカフェの製法の中でも最近特に注目されているものです。
こちらはスイス「ウォーター」と呼ばれるだけあり、水を利用してカフェインを抽出します。

製法は簡単で生豆の入った桶などに水を入れてコーヒーからカフェインを水に溶かす方式で抽出します。
ただ、このままではコーヒーの旨みなども水に溶け出てしまいます

そこで、カフェインが溶け出た水に加工をしてカフェインだけを取り除く処理をします。
そして、そのカフェインを取り除いた水を再び生豆の入った桶に循環させることで、カフェイン以外の成分を生豆に吸い込ませてディカフェとします。

ディカフェの製法にはコーヒーの旨味を損なってしまうものもあります。

柿田川珈琲

50℃で手洗いした生豆からの研ぎ汁=汚水…ではなく、
「コーヒーの成分」が溶け出している色(チャフも含む)だと考えられます

➔高温で洗っているだけなのでコーヒーの成分内の旨みなども一緒に出てしまうリスクがありますね。


頭痛や下痢は汚れや農薬のせい?

コーヒーを飲んでムカムカする、頭が痛くなる、胃がキリキリするっていう人がいますが、豆に残っている汚れや農薬といった不純物が大きく影響しているはずです。

たとえば下痢の原因をカフェインのせいにされることは多いですが、実はコーヒーのカフェインなんて玉露の3分の1しかないんです。

OCEANS & LIGHTHOUSE MEDIA

コーヒーの中にはカフェインが入っています。
150mlに対して、約80mg。(文献によっては100mg等まちまち)

カフェインの作用で、胃酸の分泌を促進することで下痢になる方もいらっしゃるのです。
頭痛も含めて「カフェインの感受性」と考えられます。

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=64173&-lay=lay&-Find.html

➔こちらは、カフェインの覚醒作用にフォーカスした記事ですが…
 かなり人によって差があることがわかりますね。

以下もご参照下さい。

どのくらい摂取してよいのか

カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、カフェインの一日摂取許容量 (ADI)★は設定されていません。
なお、一部の国や国際機関では、 主にリスクが高いとされる妊婦や子どもに対して、摂取しても問題のない量の目安を設定しています。

「食品中のカフェインについて」より

そもそも輸入時点の検査により、国で定められた残留農薬の基準以内の生豆のみが国内流通しています。

➔汚れや農薬で頭痛や下痢を生じているわけでは無いと考えられます。


「一番出汁」抽出

さらにコーヒーのポテンシャルを引き出す「一番出汁」と呼ばれる抽出方法も提唱している。
どの豆でも、この淹れ方をやればおいしさMAXらしい。

OCEANS & LIGHTHOUSE MEDIA

これは面白そう!
ということで検索をかけてYouTubeで拝見してみました!

①珈琲30g:90℃前後の100ccのお湯で抽出して、残りを破棄。
②この「一番出汁」を2.5~3倍量のお湯で割って飲むという方法ですね。

岡希太郎先生曰く、抽出の最初の50mlでほとんどコーヒー成分は抽出されているということでした。

浮いている泡は取ってしまう。
灰汁と同じですね。

たらたら抽出していると最後は雑味が出やすいので、高温でさっさと抽出。
成分と美味しいところだけ取ってしまうということだと思います。


まとめ

・あえて成分や旨みを水研ぎで流し、好みの味に焙煎する。
・水で濡らして、チャフを取りやすくする。
・水分量を調整して豆の煎り度合いの調節をする。

…こういった
こだわりがあり水研ぎ焙煎をしているお店もあると思います。
コーヒーの焙煎や抽出において、基本自由にあって良いと思います。

しかし、「生豆を洗わないと汚い」という表現は他のお店への影響もありますし、個人的には大手のコーヒー屋さん等が成分分析して頂いて白黒つけて頂きたいなと思いました。


今日はここまで!お読み頂き、ありがとうございました。

2023年11月09日
「自家成分焙煎 妖珈琲店」店長:外堀 妖

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