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注意されると頭の中が真っ白になってしまう時は- 役者時代を振り返って

注意されただけなのに思考が混乱してしまうことってありませんか?

それは職場でも、家庭でも、友人関係でも起こります。冷汗が出て、胸の動悸がする感覚もあるかもしれません。さらには、「こうしてほしい」と言われた言葉が「お前は駄目だ」と遠回しに言われたかのように聞こえてしまう…

その注意や叱責される場面が周りの人の前だったりすると、より顕著に出る方もいるかもしれません。

僕自身もセラピストになる前はよくありました。役者の駆け出しだったころの昔話を例えに解説しますね。

生きづらさや心の傷を解消し、心地よく生きたいあなたに向けて、出張・訪問型のセッションとオンライン(通話 / 文字チャット)で日本全国どこでも駆けつける「旅するメンタルセラピスト」創間(そうま)です。



演技へのダメ出しが人格否定に聞こえてしまう… 役者時代の体験談


時は遡ってセラピストになる前のこと。かつて舞台に立つ役者だった僕は、演出家や師匠から「ダメ出し」を受けると、よくこの「フリーズ」と「言われた言葉の脳内変換」が起こっていた。

稽古中にストップがかかる。そして自分の演技に対して具体的に「こうしてほしい」と指示を受ける。「こういうことを考えてほしい」と指示されることも。

しかしそのダメ出しを受けると、僕の心の中はとても乱れ、途端に感情の世界に入ってしまっていた。どんどん思い込みが増して自分の殻に閉じ籠り、自分の感情の世界でしかものを見られなくなる。

よく昔、芝居の師匠に怒鳴られてたっけ。

「創間、今の出方よく練り直して出てきて」

この言葉が「創間、お前役者に向いてないよ、もう一回考え直して出てこい」に脳内変換されて、あたま真っ白になってたな。

何回もダメ出し、やり直しになり、仕舞いに言われてしまった。「お前の感情、お前の世界なんてどうでもいいんだよ、今はただ仕事をしてくれ」と。

でもあの頃は自分が追い込まれているとしか思わなかった。人間として否定されていると。

「自分がダメだから、言われてしまった。」
「稽古を止めてしまい、自分のせいで周りに迷惑をかけてしまった」
「自分はどうすれば認めてもらえるのだろう」
「どうすれば正しく、ダメ出しをされずに済むだろう」

演出家は、僕に「こうしてほしい」という変化を指示している。本当は出方を工夫しろとしか言われてない。その事をすればそれで良かった。

冷静に第三者から見ればそれだけのことでも、本人にとっては肝心のダメ出しの内容なんか、ほとんど頭に入ってなかった。

「この瞬間にすごい役者にならなきゃ!」「人間正さなきゃ!」「怒られないようにこの場から逃れるためにどうすれば良いのか?」とパニックになっていたあの頃。

これらの感情が渦巻く中、自分が何をすればよいかクリアに考えられなかったのだ。そうして事態はさらに悪循環に。

怒られるのを恐れるがあまり、思い切った創作を自分の中でできず、演出家に気に入られるような無難な演技をするように。それはさらなるダメ出しを生み出し、いつしかこの自分が生み出している悪循環で芝居そのものが苦しくなっていた。

セラピストになった今なら心の仕組みを理解しているので分かるけど、当時はそういう知識も乏しかったから気づくまでに5年はかかった。

気づいた時は師匠も喜んでた。「創間、ようやく仕事が何か分かったね」と。


注意された内容をそのまま受け取れない2つの原因


このような脳内変換後の言葉で苦しんでいる人って本当に多いです。人間関係の問題はほぼここと言ってもいいかも。

こういう状況は僕の経験だけでなく、様々な方が経験していると相談を受けることでもあります。

ではどうして起こるのでしょう?

大まかにいえば二つの原因が考えられます。

ひとつは、過去の経験から同じようなトラウマを抱えているケース。

強く叱られたり、注意されることをして自分が強くショックを受けたりしたトラウマがある場合です。一時的な急性のトラウマでも、日々受けてきた慢性のトラウマでも。

もうひとつは、自分への最悪なイメージ(セルフイメージ)があるケース。

周りに笑われ馬鹿にされる自分、能力のない自分、迷惑をかける存在価値のない自分

など、普段無意識に隠しているけれど、自分自身に対して思っている最悪なイメージを刺激された場合です。

前者は分かりやすいですよね。

脳にある偏桃体は、その経験のダメージをもう一度受ける事を「生命の危機」と判断するため、瞬時に体中にコルチゾールやノルアドレナリンなどの脳内物質を流します。

そうすると、体は「戦うか、逃げるか」の緊張反応し、思考は緊急事態のなかでぐるぐるしはじめるのです。

一方で後者はかなり深い潜在意識の部分なので、自分でも気が付いていないことがほとんどです。

この核の部分での恐れ(そうならないようにする恐れ)に、僕らは無意識にコントロールされています。それは日常のごくありふれた場面で起こります。

役者時代の僕のケースは前者と後者、両方でした。

強い叱責にトラウマもありましたし「自分は馬鹿」というセルフイメージが確かに以前はありました。

だから周りのみんなの前で、できない事を指摘されることは「お前は馬鹿」だと言われていることに等しく、強い反応を示していたのでした。


他人から言われた言葉をそのまま受け取れないスパイラルから脱出するには


かつて先述のような体験をした僕も、今はそのような反応で困ることは全くありません。10年ほど前にセラピストを志して以来、トラウマもセルフイメージも自分で丁寧にケアをしてきましたから。

注意されたら、これを直せばいいんだな。と、体でも分かります。相手は自分を馬鹿だと思っていないのも分かりますし、自分は馬鹿ではないと今なら分かっていますから。

ましてや、過去に苦しかったトラウマも、もうすでに終わった過去になっているのですから。

他人から言われた言葉に対して如実に反応として出てくる感情があるのなら、早めに解決してしまうことが大切。

悪化したり、精神疾患に発展して体調不良の症状が出てきてしまったりする前に先手のケアをすることです。

そのほうがパフォーマンスは上がりますし、きっとやりたいことを楽しむことができるようになるでしょうから。それは自分の経験からも強く言えます。


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