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【双極性障害】「活動記録表」で体調を自己管理しよう

私は10年以上、この活動記録表を使って体調の管理をしています。使い始めたきっかけは、主治医に一日の活動の記録をつけるように言われたことでした。

体調を安定させる秘訣は規則正しい生活!」でもご紹介した通り、双極性障害は生活リズムの乱れが心の不調に直結する病です。逆に、規則正しい生活を送ることで大きく体調が崩れることを予防することができるのです。

活動記録表は、一週間で1枚のシートに毎日手書きで記録していきます。記録する内容は、①活動の内容 ②活動量(体の疲れ具合) ③対人の刺激(他人との接触と心の疲れ具合) ④気分の評価 ⑤睡眠時間 ⑥服薬チェック ⑦活動量と対人の刺激の合計点数 です。

活動記録表をつけることには、このような目的があります。

【1.再発のリスクを避ける】躁やうつの再発の大きな要因は、生活リズムの乱れです。活動記録表を毎日つけることで、生活リズムや睡眠リズムに変化がないかをチェックします。

【2.再発の兆しに気づく】活動量が増えていたり、減っていたり、眠れなくなってきている、怒りっぽくなっているなど、躁やうつの再発の兆しにいち早く気づけるようになります。症状が悪化する前にすぐに対処すれば、より穏やかに日々の生活を送ることができるでしょう。

【3.活動や刺激と気分との関係を知る】「心」と「体」の疲れ具合を点数で客観的に記録し、気分評価表と照らし合わせることで、一日に起こった出来事や生活の変化と気分との関係に自分で気づけるようにします。

【4.前進し、好調な状態を維持する】再発のリスクを避け、再発した場合でも早期に対処することで、より好調な状態を維持し、穏やかな自分の生活を続けていきます。

再発のリスクを避け、再発の兆しに早期に気が付き、好調な状態を維持するために、日々、活動記録表をつけていきます。活動記録表では、具体的にこのようなことができます。

【1.日常生活を規則的にする】活動記録表をつけることで、生活リズムが乱れていないかが一目で分かります。生活リズムのなかでも一番大切な、睡眠時間についてもチェックすることができます。双極性障害とうまく付き合うためには、規則正しい生活をすることが必須です。

【2.活動を可視化する】長期的、短期的に自分の行動の変化を見ていると、活動量が増えているから気分が上がりつつあるのではないか、活動量が減っているから気分が落ち込み気味ではないか、など様々な発見ができます。

【3.心と体の疲れを可視化する】活動量と対人の刺激の点数を見ると、心と体がどれぐらい疲れているかを客観的に確認することができます。心と体の疲れは躁やうつを悪化させる大きな要因ですから、点数化して客観的に毎日モニターすることは症状再発の予防になります。

【4.活動量と刺激のバランスを取る】活動や刺激が多すぎれば躁を誘発し、刺激の少なすぎはうつを誘発します。(参照:「対人関係療法でなおす双極性障害(水島広子著)」)活動量と対人の刺激の強さが分かれば、適度な刺激に収められるよう自分で活動のコントロールが可能になります。

【5.症状をよく理解する】自分がいま気分の波のどの段階にいるのか、ー5から+5までの11段階で自己診断します。毎日の気分の上下をグラフで確認することで、躁やうつの再発の兆しに素早く気づくことができます。

今日一日、どんなことをして過ごしたか。身体と心はどれぐらい疲れているはずか。他人との接触はあったか。今日の気分はどうか。薬はちゃんと飲んでいるか。そういったことを毎日振り返ることで、「活動量が増えてきたな」「眠れなくなってきているな」「気持ちが落ち込み始めたな」「薬を飛ばし気味だから体調が不安定になってきているな」など、自分でいろいろな発見ができます。

私はこの活動記録表を主治医に見せることはもちろん、毎週来てもらっている訪問看護師さんにも見てもらい、活動や生活リズムの変化を客観的にチェックしています。

活動記録表を毎日つけていくにあたって、ここ10年の間、自分が使いやすいように様々な修正をしたり、精神科医 水島広子先生の「社会リズム療法」と合わせて使えるよう加工したりして、今の形に落ち着きました。

今でも、感情の波に翻弄される時はあります。しかし、体調が大きく崩れる前に自分でその予兆に気づくことができるので、事前にさまざまな措置を講じることができ、結果として波の上下の幅を穏やかに保てています。

活動記録表をつけたことのない方には、ぜひとも試してみていただきたいです。習慣になるまでは、面倒な作業だと思います。それでも、毎日自分の状態を確認することは、お薬を飲むのと同じぐらい、症状の悪化や再発を防ぐ効果の高い方法です。

この活動記録表が市販の24時間スケールの手帳やアプリと違う点は、「心」と「体」の疲れ具合を点数で客観的に記録できること、出来事や生活の変化と気分の関係を一目で確認できることです。まさに双極性障害の患者のために作られたツールです。

自分の生活パターンに変化が生じていないか、また「身体」と「心」がどれぐらい疲れているかを客観的に知り、分析することで、体調の自己管理ができ、次の躁やうつを予防したり軽くできる可能性は十分にあります。実際に私はこれでかなりの部分、自己管理ができていると思っています。もしご興味があれば、ぜひ試してみてくださいね。

活動記録表と記入例はこちらから下記リンクからダウンロードできます。

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