一級建築士×FPが教える「家づくり…理想でもお金でもない…1番 最初に準備するもの」
20代…体の主成分が「物欲」だったころ…😞
アウディのクーペ「TT」が 夢に出てくるほど欲しくて たまりませんでした。
でも、当時の安月給では買えるはずもなく、「いつかは!」で仕事をガンバリました。
幸いにして、30歳すぎに(結構 無理して)手に入れることができて、それは嬉しかったものです。
手に入れてからは 毎日 車を見てウットリして、友人に自慢して、運転しながら達成感を味わっていた イヤなヤツでした‥😩
ところが…
子供2人が中学生になって、毎朝 学校への送りをすることになりました。
クーペゆえ、社内はメッチャ狭いです。
成長期の子供達は 体を折り曲げながら車に乗って、ちょっと段差があれば天井に頭を打ちつける始末です。
当然、家族からはブーブー文句を言われます。
そうなると、自分の「夢」だったアウディは不満の対象でしかなく、私自身も見るたびに溜め息がでるようになりました。
結局、車は機能重視のものに買い替えて 快適な送迎ができるようになりました。
決して 子供のいる父親がアウディを買うことが悪い…と言っているのではありません。
どんなに家族からブーイングを受けようが、いくら日常生活が不便だろうが、本当に好きであれば 後悔はないはずです。
でも、私は後悔&手放しました。
なぜなら、見栄と物欲で買ったアウディは、私の「アイデンティティ」とは違ったからです。
今になって思えば、私のアイデンティティは
・シンプルであること
・ムダがないこと
・機能的であること
…です。
結局、アウディは どれにも当てはまっていないので、
後悔して「手放すべくして手放した」…ことになります。
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家の設計も同じです。
SNSや住宅雑誌には ステキな「きらきらハウス」が満載です。
それらを見ている顧客からは
「こんなふうにしてください!」
…日々 インスタのスクショ画像が 送られてきます。
アウディを乗り回していたころの私は、そんな画像にテンションが上がって、肩をブンブン振り回しながら設計していました。
ホテルのサニタリーのようなガラス張りのトイレを作ったり、リビングから見える階段の踊り場に子供の勉強コーナーを作ったり…
そんなふうに建てた家…確かに 引き渡しのときにはメチャクチャ感動&感謝されました。
でも、今になって思うと、
「ガラス貼りのトイレはカーテンしてるんだろうな…」とか
「リビングからみえる勉強コーナーは 子供たちは集中できないんだろうな…」とか…
当時の顧客の「アイデンティティ」に合っていたのか…不安になったりします。
もちろん、「多少 不便でも、オシャレに生活したい!」
…というアイデンティティをもっている顧客はいます。
実際、私もそんな顧客の家をたくさん設計させてもらいました。
でも、ぶっちゃけ そんな人は 少数派です。
長く住む家であれば、結局「機能性」が大事で、きらきらハウスに振り回されて、何年後かに後悔している人を たくさん見てきました。
そう、車は買い換えられますが、家は簡単に買い換えることはできないのです。
大事なのは、設計の段階で SNSや住宅雑誌で 自分の「アイデンティティ」がブレないこと。
そう…、お金よりも理想よりも、まずは自身の「アイデンティティ」をはっきりさせること…
そして、顧客のアイデンティティを しっかり把握しようとするのが「プロの設計士」であると思っています。
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