ナントカと煙は高いところが好き
日の入り直後の六本木ヒルズの屋上スカイデッキにて。
始めての都市に行ったら、その土地で一番高い建物に登って、眼下の街を俯瞰してみる。シカゴ、シドニー、ニューヨーク、ロンドン、パリ、毎度どの景色にも感動するし、見渡す限り人の仕事の結果うまれた代物ということに畏怖の念もおぼえる。
東京。感動と畏怖を合わせ持つ大都市。
この大都市には「何でも実現できる。」と思わせる魔力がある。東京に暮らし働いていると、その錯覚を起こさせる。
人間なんて非力なのに、やりたいと願ったことは(やり方次第ではあるが)概ね実現できてしまい、個人の能力以上に叶えてしまうのが都市。著名人やトップランナーにご近所さんのように出会え、つながれ、自然と一緒に仕事できるチャンスが無数とある東京。
まるで自分がこの街を動かしているような気にさせる魔力が東京という都市にはあって、私たちを惑わす。
関東圏の一番はずれの街から出てきた田舎者の僕は、オノボリさんよろしく、時々こうして高いところに登って夜風で頭を冷やし、東京という都市を一望しては、ちっぽけな自分の存在を確認し、決して傲らないようにと戒め、我に返る。
一方、パノラマの夜景を見渡しては、「ひとりひとりの暮らしが、営みが、この東京という大都市をつくっているのだ」ということも再確認する。
この日の夜景と夜風は、いつにも増して効果的だった。
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