日本ダービーは夏の甲子園です。

~はじめに~

「競馬のことはnoteでは書かない!!」
そう決めていたんですが。。。
ちょっと今日は競馬に興味のない人にでも読んでもらいたくて文字を書いてみます。
勿論、競馬に興味のある人用にデータなんかも入れながら。
読み終わった時にもしも次の日曜日の15時40分ごろにテレビをつけて

「レース良かったね」と思えたらこりゃ幸いです。

~東京優駿(日本ダービー)は夏の甲子園~


競馬のことを知らない知人には表題のように説明をするんです。
毎年日本では約7400頭の馬が競走馬として生産され、
そこから海外生産馬も含めて、
中央競馬へデビュー出来るのは約4000頭。
レースで1回でも勝てた馬は約1500頭。
2回勝てる馬は約1000頭。
3回勝てる馬は約400頭。
4回勝てる馬は約130頭。
それ以上の馬は80頭。

東京優駿(日本ダービー)はお馬さんの人生で中で一度切りしか出れないレース。
上に書いたような馬の中でもこの日本ダービーは最大でも18頭しかレースには出られません。

18/8000。
このレースは出れることに意義がまずあります。
競馬は日本ではおっさんの趣味に見られるかも知れません。
もともと競馬の発祥を皆さんご存じでしょうか?

~競馬の発祥~

人と馬は現代以上に古代から人間とは密接でした。
馬は基礎能力が高く、また、知的能力もあることから、他の動物は食用として家畜されることも多いのですが、馬は運搬、農耕、乗用、軍用など様々な人間の「生活質の向上」の為に世界中で家畜されてきました。

そんな馬たちは人間が書き記す以前からその家畜馬同士の速さを競わせる行為が行われていたことが推測されています。
では明確な文献として現れてくるのが
古代ギリシャ時代ホメロスの「イリアス」第23歌にて戦車競走が書かれています。
古代ギリシャの戦車競馬を元に古代オリンピックの種目にもなっていたそうです。日本では平安時代の文献にも競馬(くらべうま)という表記があったそうです。

まあ、少なく見積もっても紀元前12世紀くらいから競馬をやっていたのを考えると、もう3000年近い歴史が競馬にはあるってことになります。

と昔の競馬の話しはこの程度にしておいて近代競馬はどうなんでしょうか?

今ある競馬の形式は16世紀のイングランドではじまったとされています。

もともと王様や伯爵たちが所持馬の競い合いなどをしていたのが、1540年に彼らが「チェスター競馬場」という専用の競馬場を作り、少しずつルールを作り上げていったとされています。

昔はマッチレースなど少ない馬の数でやっていたそうですが、競馬の産業化とともに19世紀頃から多数の馬が出走するステークス方式が主流となりました。

~日本の競馬レキシ~

日本では江戸幕府時代に横浜の外国人居留地で行われた競馬が最初の洋式競馬と言われいてます。ちなみにこの地は治外法権の地域で賭博を禁止していた幕府から咎められず馬券も売られていたそうです。
この競馬がやがて各地に普及をしていき日本人にも浸透をしていきました。あくまでも上流階級の催し物として軍や皇室、国賓などの方が参加して実施していきましたが、こちらは馬券の発売などが出来ず、経済的な理由から一旦廃れてしまいます。
そんな競馬が何故今のような形になったのか?
大日本帝国時代に「馬政局」という部局があったのをご存じでしょうか?
馬の政所です。
何をしていたかと言いますと、日本は日清戦争で感じたらしいです。

「欧米の軍馬めちゃくちゃつよくね??」「やばくね??」

そんなことを感じ1895年から検討が始まり、
日露戦争で「やっぱやばくね?」と
1904年には明治天皇が

「馬匹改良のために一局を設けて速やかにその実効を挙ぐべし」

との勅命が下り、1906年5月には馬政局が設置されました。
この部署は何処に属するか困ったあげく、最初は内閣総理大臣の直轄機関や陸軍省の管轄でしたが、その後、農商務省に移管されました。

はい、こんな流れがあり、現在でもギャンブルなのに競馬の管轄省庁は農林水産省なんです。おもしろーい。

話しは戻って馬政局。

何をしていたかというと、軍備馬の能力を良くする為に官営の牧場とか種馬場の整備を行ったり、優良な馬を輸入してきたり、軍馬として供する基準を作ったりと色々やってきました。
その中の一つの政策として国内における官民の馬産事業を振興するために考えました。
「競馬をやって優劣をつけることで優秀な馬の育成に繋がり、それとともに馬券を発売すれば、産馬界に市場の資金を流入させることが出来る!!」と内閣に提案し、1905年に桂内閣により「賭博はよくないけど、軍備育成は国策としては大事だよね。」と黙許する方針が通達されました。

ただここから苦難な道です。
「黙許」という微妙な判断は許可ではありません。
黙って許すです。
初期は大変な盛況で日本全国で社団法人の設立申請が相次ぎ、乱立していきました。
政府は入場料、馬券などを高額に設定し、賭博行為を主とさせないように躍起になりましたが、運営側が営利主義に走ってしまったりと混乱もあり、博打として定着してしまいました。
これに対し、1908年10月に市民の活動などの影響も受け、馬券発行禁止の閣例が発せられわずか2年で市民の競馬は一旦終わってしまいます。
馬券がダメになって収入がなくなった社団法人。
軍馬の改良に取り組みたい政府。
このままでは終わりません。
政府は馬券発売を伴わない競馬開催を推進することを考えました。
政府は旧来の施行体をすべて解散させて、新たに全国11の競馬倶楽部を競馬施行体とし、補助金を支出しました。
補助金競馬の開始に伴い1908年11月、閣令として競馬規程が発せられました。
馬券の発売は禁止されると如何せん人気が出ません。
観客席には人も入らない。それでは発展性もない。ということで、
今度は景品競馬というものがはじまりました。
これは入場者に対して勝ち馬を予想し、当たった人に景品を上げるという形式です。動物園の亀レースみたいなもんですね。
競馬への補助金が続けられましたが、政府の支出が増大し続けたこともあり、国家財政上の問題から馬券発売の再開を推進する動きが段々と増してきます。
また、軍部からも軍馬の確保の為に馬券発売の推進の芽がありました。
そういう流れから1923年に旧競馬法が成立し、馬券の発売が再開されました。
太平洋戦争などの戦時中に馬券販売などの一時停止なども経て、戦後の1946年には畜産業の復興支援を目的に、日本競馬会が主催する競馬が再開されましたが、GHQが日本競馬会の独占禁止法に抵触する指摘を受け、解散し、農林省の管理のもと競馬は国営化されました。
ってなわけで、そのあと1954年に国会議論の末特殊法人日本中央競馬会が発足されてその秋から中央競馬が始まりました。

歴史がありますのー。

「馬は人間の役に立つもの」として利用されてきました。
それを廃れない為に使われているのが競馬。
今は「馬の力」も車に変わり、電車に変わりました。
お馬さんがいなくても成り立つ世の中が普及してきました。
その中で競馬が今存在する意味は何なんでしょうかね?
種の保存とか色々と理由はあるのかも知れません。
ただ、僕は競馬によって馬が身近な存在であることはとても嬉しく思います。

~少しダービーの話しも~

高校野球には「3冠」というものがあるのはご存じでしょうか?

春の甲子園(選抜高等学校野球大会)
夏の甲子園(全国高等学校野球先遣隊会)
国体(国民体育大会)

この3つは球児が目指す大会です。
多くの球児の中がそのために練習をして春と夏と秋に闘っていきます。
競馬にも世界中にあるんですよ。クラウンレースが。

3歳のお馬さんだけが出れる3冠レースは

皐月賞
日本ダービー(東京優駿)
菊花賞

とあります。

次の日曜日に開かれるのがその中でも一番取りたいクラウンが日本ダービー。これを目指してみなさん競馬に取り組んでいます。
皆さんって言いますが、馬を生産する人、獣医師、事務方、馬を世話する人、調教する人、レースで乗る人、乗る人を教える人、鞍を作る人、蹄を作る人、鞭を作る人、、挙げたらキリがありませんね、みんなです。
僕は観客側としてはどの馬か一頭を選んで応援します。
このレースは応援したい馬を買います。当たるとか外れるとかで馬券を買うのも良いですが応援する感覚で買ってみましょう。100円で買えますよ。

~データで日本ダービーを楽しむ~

「んじゃ、どの馬を応援しようかな~??」とお悩みの方へこんな選ぶ参考に色々なデータから妄想を膨らますというお遊びが出来ます。
それを少し載せて終わります。
「ダービー馬はダービー馬から」
こんな言葉が競馬をする人では有名なんですよ。
ようはダービーを勝つ馬のお父さんは昔ダービーを勝ったことがある。という意味なんですよ。
んじゃ、調べてみよう。

ダービー種牡馬データ

全くという訳ではありませんが、ディープインクト産駒とキングカメハメハ産駒がここ10年よく勝っているのでこういう言い方になるのでしょうね。
さてさてここで今年の話しをしてみましょう。
今年の一番人気と予想されるのは皐月賞(春の甲子園)の勝ち馬エフフォーリア
エフフォーリアは圧倒的な強さで勝ち続けていますが、
この仔のお父さんはエピファネイア、お母さんのお父さんはハーツクライ
エピファネイアは現役時代日本ダービーは2着でした。
ちなみにエピファネイアのお父さんシンボリクリスエスも日本ダービー2着。
ハーツクライも日本ダービー2着。
これは呪いでしょうか。何なんでしょうか。。

エピファネイア産駒の日本ダービー出走歴がまだないので、
シンボリクリスエス産駒の馬が日本ダービーに出走したケースをピックアップしてみます。
日付-馬名-人気-着順
200531-コルテジア-14-12
140601-ショウナンラグーン-9-6
130526-エピファネイア-3-2
120527-アルフレード-8-13
100530-アリゼオ-6-13
090531-アプレザンレーヴ-4-5
080601-モンテクリスエス-10-16
080601-サクセスブロッケン-3-18

ハーツクライ産駒はどうでしょうかね??
日付 馬名S 人気 着順
200531-サリオス-2-2
200531-ワーケア-3-8
200531-マイラプソディ-11-9
190526-シュヴァルツリーゼ-9-16
180527-ゴーフォザサミット-7-7
180527-アドマイヤアルバ-17-9
180527-タイムフライヤー-14-11
180527-グレイル-9-14
170528-スワーヴリチャード-3-2
170528-マイスタイル-14-4
150531-ベルラップ-14-15
140601-ワンアンドオンリー-3-1
120527-ジャスタウェイ-15-11
110529-ウインバリアシオン-10-2
こんな感じでデータを見ていると面白いです。

ただ、ハーツクライ産駒で唯一の勝ち馬ワンアンドオンリーの騎乗騎手は横山典弘騎手でした。
横山典弘騎手は1989年からダービーに挑戦しています。
1990年メジロライアンで2着、
2003年ゼンノロブロイで2着、
2004年ハーツクライで2着、
長い騎手人生の中ではじめて勝てたのが、
2009年ロジユニヴァースで1着、
そして2014年は前述のワンアンドオンリーで1着。
このトップジョッキーでも23回の挑戦で2回の勝利。
ただ、2014年ワンアンドオンリーが勝ったこのレース。
このレースを競馬学校の競馬生として観客席からみていたのが、
今回エフフォーリア騎乗の横山武史騎手。
彼は横山典弘騎手の子供であり、若手の彼はもちろんまだ日本ダービーを制したことはありません。
そして、横山武史は目標とする騎手は父親と明言をしています。
何の因果か分かりませんが、面白いですね。
ちなみに息子が1番人気の中で父横山典弘騎手は今回
レッドジェネシスという馬に乗ります。

時に日本ダービーを勝つには「運」も必要と言います。
この呪縛から横山武史とおもに逃れられるかエフフォーリア

今年は注目される馬の内、1頭が牝馬です。
それがサトノレイナス
夏の甲子園に女の子が出るんです。
あるんですよ、女の子の甲子園も
同じ舞台でオークス(優駿牝馬)というレースで行われています。
でも、この馬主はダービーを選択しました。
何故でしょうか?
この仔の馬主さんは里見治さん。
日本の有名実業家で現在セガサミーの会長さんです。
1992年から馬主として長年活躍され、競馬会に貢献されている方です。
そんな長く馬主を続けられている彼でも日本ダービーには一度も勝ったことがありません。
8頭の馬が挑戦し、2着2回3着1回。
2016年にはサトノダイヤモンドという強い馬がおりましたが、その時も2着と勝てませんでした。
お金が欲しいなら牝馬限定のレースに出ればよいにも関わらず、チョイスはこちらなんです。
馬主としての最大の夢を彼はこの女の子に託しました。
決して馬主だけの判断ではありません。
現在日本競馬のトップジョッキーであるクリストフルメール騎手は「この馬なら男馬相手でも勝てる。ダービーに行くなら乗りたい」と言っていたそうです。
管理をする国枝調教師はアーモンドアイなどの歴代名馬を沢山育てた調教師。
これだけ偉大な66歳になる彼も日本ダービーの栄冠は獲ったことがありません。

牝馬が日本ダービーに挑戦したことは今回が初めてではありません。
1996年にはビワハイジという馬が10番人気で13着。
2014年にはレッドリヴェールという馬が4番人気で12着。
そしてそして、、、
2007年の勝ち馬は
当時3番人気のウオッカです。
14年前に女の子が男馬を蹴散らしたんです。
このウオッカは前走の桜花賞(女の子の春甲子園)では名牝ダイワスカーレットに敗れ2着でした。
今年出走のサトノレイナスは桜花賞で白毛の人気馬ソダシに敗れ2着でした。

全ての出走馬には語れるストーリーが沢山あります。
色々と調べてみると面白いことは沢山あります。

~終わりに~


ダービーを勝つには能力だけではなく、想いや運も必要とされます。
色々書きましたが、ギャンブルを決して肯定するつもりはありませんが、
競馬の馬券は1レース100円あれば参加できます。
100円だけでも何かを応援するのにかけてみると、
少しの感情移入が産まれます。
ギャンブルを生計手段にするのはもっての外。
儲けようとは思わない。
マイナスになる前提でやりましょう。
勝った時は全部つかっちゃいましょう。
100円でもいいから余剰で遊ぶと楽しい嗜みです。
そんなこんなで、日本ダービーは5月30日15時40分に発走されます。
どの馬を応援しようかな~。。

読んでくれた人
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました_(._.)_