ノグチソウ

物語の記録と日記。

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最近の記事

NOT SO PERFECT DAYS 2024/05/01

・映画『PERFECT DAYS』を烏丸のミニシアターで観てきた。母親や親友が絶賛していたし、海外での評価も高かったと聞いて。 ・良い映画でした! 劇場から出た後に、天を仰ぎたくなる作品。無口な主人公を役所広司が演じると、その表情や仕草の雄弁さが際立つ。柄本時生が生意気な青年に一番似合っていた。石川さゆりもスナックで歌っていたし、豪華なキャスト陣だった。 ・かつて大都会のシンボルであった東京タワーではなく、新しい時代の象徴としてスカイツリーが常に背後を飾っていたのが印象的

    • エンドブルー 2024/04/24

      ・入間人間『エンドブルー』を読了。 ・過去作の『クロクロクロック』の後日談だった。まさか、岩谷カナと新城雅がゴールインするなんて誰も予想しなかったに違いない。 ・入間人間が、百合作家としての地位を固めたのは凄いことだと思う。猟奇とシュールを突き詰めたライトノベル群でファン層が作られて、『安達としまむら』から淡い世界観へと文体を変えずにシフトしていった。 ・入間人間の描くミステリが読みたい気持ちは消えないが、ちゃんとガールズラブが面白いので、別にいいやとも思う。特に、今回

      • Fallout 2024/04/22

        ・Amazonプライムで、ドラマ『Fallout』を観てる。大人気ゲームシリーズ原作だが、実は未プレイなので全く内容を知らなかった。 ・世紀末の冒険譚という点は、『北斗の拳』に似ている。群像劇なのが好みで、かなり序盤で役者が揃った感じがする。博士、軍人、旅する女、賞金稼ぎ、犬……。 ・ゲームが続くからには、「世界を救う」「世界が滅ぶ」という単調な終わり方にはならないだろう。凄惨にキャラたちが散っていくさまを楽しむ羽目にもなるかも。 ・面白かったら、ゲームも試したい。  

        • 強要としてのお金とアート 2024/04/20

          ・『教養としてのお金とアート』(田中靖浩、山本豊津) を読んだ。世界史を芸術学と経済学から見るような対談本。2つの視点を、きちんと同量のバランスを保ったまま語っているのが良い。 ・「芸術」の概念の歴史は200年もなく浅い、というのは改めて驚くべきことだ。同時に、経済は古くからあるにしては極めて地道な発展を続けている。日本はどちらに対しても保守的にならざるを得ない背景を持つ。 ・日本でオークション文化が広まるには、富裕層や著名人の動向が重要になる。誰が何を買ったかについての

        NOT SO PERFECT DAYS 2024/05/01

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        • 物語日記
          26本

        記事

          すかいりむ 2024/04/19

          ・ゲーム『The Elder Scrolls V: Skyrim』をプレイしている。世界観が壮大かつ壮絶。プレイヤーは、好きな人生を歩むことができる。 ・宝探しに行ったり、奇妙な組織に所属したり、修行して強い魔法や武器を手に入れたり。ただし、あちこちで魔物や盗賊に襲われるので度々死にまくる。 ・今、ついに竜が現れて、自警団とともに討伐に挑んでいるのだが、あまりの強さに理不尽すら感じている。未熟で魔法をほぼ覚えていないので空を飛ぶ敵を剣で倒すしか無い……。無謀の極み。 ・

          すかいりむ 2024/04/19

          気に食わない自分の話。 2024/04/18

          ・ジャンプ+の読み切り『気に食わない女の話。』を読んだ。友人から認知症についての話題が出たときに薦められた作品。介護施設でおばあちゃんの優しい思いが綴られる漫画だ。 ・これは時系列が特殊な例だったが、「認知症を使ったミステリやトリック」は面白いアイデアになるかもしれない、と友人が教えてくれた。叙述トリックとしては弱いが、介護施設での謎解きというのも見たことのない舞台設定だな。 ・かくいう私の祖母も最近、八十代後半を迎えて重度の認知症の症状が見られる。数年前までは記憶力も健

          気に食わない自分の話。 2024/04/18

          ぼくらの三万日間戦争 2024/04/16

          ・宗田理先生が亡くなった。享年95歳。心から冥福を祈ります。 ・私が初めて読んだ長編小説は『ぼくらの七日間戦争』(ポプラ社)だったと思う。小学二年生くらいに図書館で手にしたのだが、中学生たちが廃工場に立て籠もって大人に立ち向かう姿に衝撃を受けたのを覚えている。そして子供でも理解できる表現の豊富さと軽妙なキャラの掛け合いに関しては、今でも私が小説を書く上でも理想に挙げられる。 ・そして、一度だけ宗田先生にお会いしたことがある。 ・私は中学を卒業する頃に小中学生向けの小説賞

          ぼくらの三万日間戦争 2024/04/16

          セラニポージとゆで卵 2024/04/14

          ・Serani Pojiのアルバム『ワンルームサバイバル』をよく聴いてる。海外アーティストっぽい名前だが、純粋なるJ-POPが楽しめる。 ・今年の初めにTiktokでもかなり流行ったし、私と同じようにこの種の音楽を「発掘」した人も多そう。エレクトリックでキュート、小難しさもない。 ・現プロデューサーのササキトモコ氏は、妹のワカバさんとのユニット・東京ハイジで子供向けの曲を制作している。あと、近作では月ノ美兎への楽曲提供が素晴らしかった。 ・90年代から作曲を続けているだ

          セラニポージとゆで卵 2024/04/14

          塗仏のうたた寝 2024/04/13

          ・京極夏彦『塗仏の宴 宴の支度&宴の始末』を読了。文庫分冊版にして全6巻、数十万文字の超長編小説(超編小説)! それでも一本筋が通った展開なので、最後まで物語を忘れることはなかった。 ・『百鬼夜行シリーズ』の第一部が完結して、京極夏彦の集大成を見た。過去五作から登場人物が再出演するので、全巻を手元に置いて読むのが一番。登場する妖怪の数も一番多い作品だ。「わいら」や「しょうけら」など、初めて聞いた名が沢山。 ・恐ろしいのは、ミステリの解決編がラスト100ページだけで収まった

          塗仏のうたた寝 2024/04/13

          人生の下火をゆく2024/04/12

          ・吉本ばなな『人生の旅をゆく』シリーズ。全4巻をつまみ食いするように、短いエッセイたちを拾いながら読んでる。 ・海外や日本各地で、美味しいものと素敵な人に出会うだけで何冊も本が書けるのは、やはりその観察力と感性の賜物だろう。そういえば独り旅が少ないようだ。家族と友人との旅行、あるいは海外の友人を訪問する回がほとんど。 ・イタリアへの憧れを刺激された。見どころの紹介ではなく、現地の人々の暮らしを率直に語るのが惹き込まれる。パスタやピザだけではないイタリア料理か……。 ・こ

          人生の下火をゆく2024/04/12

          Universe & University 2024/04/11

          ・1960年のカナダ映画『Universe』を観た。Youtubeで映画配給会社が公式に上げている。30分くらいの短編。 ・この映画の功績を一言で表すのは難しい。それは例えば、監督のローマン・クロイターがIMAXのシステムの発明者であることや、キューブリック監督がこの作品を見て『2001年宇宙の旅』に視覚効果担当のウォリー・ジェントルマンを起用であることからも分かる。 ・そして一目鑑賞すれば、CGが無い時代でもこれほど仔細に宇宙や星々の姿を表現した特殊効果の発想力が伝わる

          Universe & University 2024/04/11

          3つくらいの願い 2024/04/10

          ・ジャンプ+の読み切り『3つの願い』を読んだ。いきなり頭角を現してきたサラミナト先生のコメディ。プロトタイプがジャンプルーキーで読めたが、「物語を面白く再構築する」という試みにちゃんと成功している。 ・紳士が妄想でサキュバスを語る、という発想だけで面白いな。いきなりシリアスになるのも、温度差による笑いが起こる。お手本のような読み切り。 ・ジャンプで発表される読み切りは、他社と比べてもレベルが高いな。西尾維新の作品群はハズれなかったし、昨年は島袋光年先生の『ヤバイ』という作

          3つくらいの願い 2024/04/10

          残りX日で不合格フラグ全部へし折ります 2024/04/09

          ・漫画『残り一日で破滅フラグ全部へし折ります』全3巻を読了。原作はアルファポリスの小説で、悪役令嬢が自らの死の運命を丸一日かけてひっくり返す活劇。 ・物語を短く終わらせるのは極めて難しい。長編より短編のほうが高い執筆技術を要するとさえ言われる。その点で、とても綺麗にまとまった作品だった。一日というタイムリミットで、無駄なく陰謀への対抗策を施していくのは痛快だ。 ・一日や一夜を舞台にした作品がもっと知りたいな。『アカギ』みたいに緊迫感で時間の流れを歪ませたり、『ローマの休日

          残りX日で不合格フラグ全部へし折ります 2024/04/09

          福家警部補の春の挨拶 2024/04/08

          ・小説『福家警部補の事件簿』を読んでる。久しぶりに正統派の本格倒叙ミステリを見つけた感じがする。 ・「名探偵は冴えないほうが魅力的」というコロンボや古畑任三郎の系譜を継ぎ、小柄な女性刑事の見事な推理が光る。ちゃんと映像が浮かぶ文体なのが良いな。 ・倒叙では犯人がわかった状態で捜査が進むので、読者にどれくらい犯人へ同情させるかが肝心だ。絶対悪として描かれることが多いのは、むしろ被害者の場合が多いかも。普通の小説にはない展開が生まれやすい。 ・著者の大倉崇裕氏は、ここ数年の

          福家警部補の春の挨拶 2024/04/08

          わだかまり魂 2024/04/07

          ・先日サブスク解禁された、ゲーム『塊魂』のサウンドトラックを繰り返し聞いている。おそらく、今年はことあるごとにこのアルバムへ帰ってくるだろう。 ・『塊魂』に関する最古の思い出は、親戚の家へ遊びに行ったときに、当時中学生ぐらいだった従兄弟が寝転がりながら、当時最先端だったPSPで『僕の私の塊魂』をプレイし ているのを横で眺めていた記憶だ。私は小学生か、あるいは幼稚園児だったはず。 ・でっかいボールが転がって、牛や建物を巻き込んでさらに巨大化する。そしてポップなBGMに、ビビ

          わだかまり魂 2024/04/07

          MADE IN iBT 2024/04/06

          ・TOEFL iBTテストを受けてきた。烏丸御池にある小さなテストセンターで、受験者はほぼ大学生だった。internet-Based Testという名の通り、数時間ずっとパソコンの画面の前で英文を読み聞き続けた。端から見れば、試験というより作業と形容するほうが正確だっただろう。 ・結果から言うと、悲惨の2文字に尽きる。リーディングとリスニングは見直す時間もなく、4択問題にも関わらず日本人平均ラインをなぞるような点数で終わった。スピーキングとライティングの結果は来週返却される

          MADE IN iBT 2024/04/06