モチベーションを言い訳にする人は、「プロ」とは呼べない。

こんな記事が話題になってます。

南場智子のDNA 私の仕事哲学 第1回 「給料をもらって仕事をしている自覚がないのか」
昨年8月の「日経ビジネスアソシエ」に掲載された記事の転載記事ですね。

「モチベーション」という言葉を若い人から聞くたびに違和感を覚えます。もちろん体調やパーソナルな事情で、仕事に向けてテンションを上げにくい時もあるでしょう。でもそれは口にしてはいけないことではないでしょうか。打席に入ったプロ野球の選手が、「今日はモチベーションが上がらないなぁ。打つ気が起きない...」などと言ったらプロ野球人生は終わりです。ビジネスパーソンもほかの職業も、報酬をもらっている以上、その厳しさを持つべきと考えます。これがプロフェッショナリズムの基本です。

新人や若手に対しては厳しすぎるよ…という見方もあるかもしれませんが、ぼく自身は激しく同意です。

なぜなら、僕自身が新人の頃、同じようなことを先輩に言われてから、ようやくビジネスパーソンとして「0人前」から「半人前」くらいになれたな、という経験があるからです。

「モチベーション?考えたことないな。」

僕はいわゆるミーハーなので、社内でMVPを取られたり、表彰されたりしている先輩に手当たり次第「ランチ行きませんか?」とぶっ込みに行く迷惑なヤツだったのですが、「●●さんのモチベーションの源泉ってなんですか?」と決まって聞いていたのですが、皆さんが共通していたのが「プロフェッショナルである以上、モチベーションを言い訳にしない」という事でした。

中でも、MVPの常連だったYさんという女性の先輩が、「モチベーションかぁ…考えたことないな」と仰っていたのが非常に印象的でした。

曰く、「給料をもらっている以上、目標達成するのは当たり前。お客様から案件を頂いている以上、期待に応えるのは当たり前。私はただ、当たり前のことを当たり前にやってるだけだよ」と。

「ああ、これがプロフェッショナルなのだな」と腹落ちするとともに「モチベーション上がんないんすよね」とか言い訳していた自分が猛烈に恥ずかしくなりました。

モチベーションを言い訳にするのは三流。

もちろん「モチベーションが不要である」とは全く思いません。自分自身がやりたいことと、任されている仕事が一致していると、モチベーションは高まります。モチベーションが高まると、間違いなく仕事の生産性は上がります。

一方で、モチベーションを言い訳にして、やるべきことをやらなかったり、目標を達成できないのは、二流どころか三流です。

自分自身、まだまだ未熟だと思ってますし、まだまだモチベーションに左右される事は多いですが、「モチベーションを言い訳にしない」ということだけはこだわってるつもりです。

マネジメントにおいてのみモチベーションを語ろう

上述の通り、モチベーションは生産性向上において非常に重要な概念です。

セルフマネジメント、個人の成長の観点ではもちろんですが、とりわけ組織マネジメントの文脈においては、モチベーション管理はとっても大切で、メンバーのモチベーションが高いか、低いかによって大きくパフォーマンスが左右されます。

*要するに、モチベーションによって仕事の生産性を左右される人が世の中の大半を占めるということでもあります。

では、モチベーションをいかに捉え、マネジメントに活かしていくべきか。「マズローの欲求段階説」はあまりにも有名なのでここでは割愛し、現代における「モチベーション論」として最も有名なのはダニエル・ピンクの『モチベーション3.0』でしょう。

最近話題に上ることの多い、ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0論」は、ある意味では、ハーツバーグらのこうした議論をさらに発展させたものである。彼は、「モチベーション 1.0」は「生存や安心に基づく動機づけ」、「モチベーション 2.0」は「アメとムチに駆り立てられる動機づけ」だと定義し、内面から湧き出るやる気に基づく「モチベーション3.0」こそが、創造性を要する高度な知的業務に携わる現代の労働者には、重要な「やる気」の源泉だと主張する。
日本に「モチベーション3.0」が根づかない理由/プレジデントより引用)

ただし、上記引用元の記事にありますが、「内的動機付けができていれば給料が安くてもOK」ということではなく、ハーツバーグの言う「二要因論」における衛生要因が前提にあった上で、内的動機付けがはじめて活きてくるのだと思っています。

いかに自分や部下に「フロー体験」を起こせるか?

加えて外せないのが、チクセントミハイの「フロー体験入門」でしょう。

ミハエル・チクセントミハイは、1934年ハンガリー生まれで、主にアメリカで研究生活を行った、20世紀を代表する心理学者の1人。

1990年に出版された本書は、「(欲求の5段階で有名な)アブラハム・マズローの自己実現の概念を超えるもの」(ニューヨーク・タイムズ紙)など様々な新聞・専門家から賞賛され、「日常生活の心理学に関して、今世紀最高の研究者」とも言われています。

その知識は非常に広汎であり、心理学のみならず、文学・社会学・人類学・比較行動学・情報論・進化論・宇宙論・芸術などにまで及んでいます。
「フロー体験」理論のあまりの凄さに戸惑いを隠せないより引用)

チクセントミハイ曰く、「フロー体験」とは、他のことがどうでもよくなるほど、時間を忘れて何かに没頭することです。仕事以外にも部活や趣味や恋愛において、そういった感覚に陥ったことのある経験は誰しもがあるものです。

では、どういった条件が整えば「フロー体験」ができるのか。
その条件は人によって個人差はあるはずですが、おおざっぱに分類すると以下の4つだと言われています。

1.自分の能力に対して適度に難しい
「適度に」がポイント。簡単すぎてはダメだし、難しすぎてもダメ。

2.対象への自己統制感がある
└やらされているのではなく、自らの自由意思に基づいて、自由にやれているという感覚を得られていることが大事。

3.直接的なフィードバックがある
└上司や教育担当など、関係性の強い人物からのフィードバックがきちんとなされているか?「自由」なのはOKですが、「放置」はダメだということです。

4.集中を妨げる外乱がシャットアウトされている
└取り組んでいる対象以外のことが自分にふり掛かってくることがなく、対象にのみ集中できる状態です。めちゃくちゃ集中してゲームをやっていたのに「ご飯できたわよー」って言われると萎えるアレですね。最近だと、エンジニアが作業に集中できるように「集中部屋」を設けている企業が増えているのは、周囲のノイズからシャットアウトし、フロー体験がしやすいようにしているのです。

これら4つの条件が満たされると、人は「フロー体験」の状態に没入でき、限られた時間の中で非常に密度の高い仕事ができるわけです。モチベーションとは似て非なる概念ですね。

いくら学んでもモチベーション管理はうまくできない

さて、「モチベーション3.0」「フロー体験入門」を引き合いに、モチベーションの代表的な理論をご紹介してきました。興味がある方は、ぜひ本を手に取ってみて下さいね。

ただ、大切なのはとことん実践あるのみです。理論をきちんと体系的に学ぶことも大切ですが、いくら学んでも、実践して自分のモノにしなければ、いつまでたっても自分も部下もモチベーション管理なんてできやしません。

僕自身、まだまだ修行中のみではありますが、絶えず実践し続けていきたいと思っています。

お読み頂きありがとうございました。

*「読んで良かった!」という方はぜひポチって頂けたら幸いです。

ここから先は

48字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?