45分前のラストオーダー
先日、重めの仕事を終えた後のこと。朝方まで作業し、そのまま一眠りし、昼。お腹もかなりすいた状態だった。
「焼肉が食べたい」
その一心だった。なぜなら、ずっと焼肉の仕事をしていたから。美味しそうな肉を見て、原稿を読み、とにかく頭が焼肉に侵されていた。さらにいうと、ビールも飲みたい。あれだ。やっぱり、ビールは開放を促す。最高の存在だ。
その時、私は新橋にいたが、このご時世、昼からやってる焼肉屋で酒も提供しているお店はそうはない。「焼肉、ビール、焼肉、ビール」と念仏を唱えていたのだが、やはり数件、お酒がない、そもそもやってないなどと平常時のようにはいかない。そして、発見したのは、某焼肉チェーン。もう、ここしか!と思い、入店した。
味はまあ、想定の範囲内だ。最近食べてきた名店のそれと比べたら、まあ及第点感は否めないものの、思い描いていた焼肉とビールは叶い、ハイペースで酒が進んでいた。
話は逸れるが、アラフォーになる今まで、あまり焼肉のことを考えてこなかった。というか、あまり関心を抱かなかった。 焼肉……まあ、嫌いじゃないけどもって感じだったが、この1ヶ月焼肉尽くしになり、嗜好がガッツリ変わった。
焼肉最高だ。
そうなんだよ。俺はホルモンとかタンは熱烈に好きじゃないんだ。食べるなら、ご飯と合わせる正肉(と、ハラミ)がいいのだ。ロース、カルビ、希少部位にサーロイン♪
などと考えながら、ロースやらハラミやらをオーダーし、箸休めにはキムチを起き、贅沢気分で楽しんでいた。値段なんて気にしないぜ、今日は! とことん、体にご褒美なんだぜ! ライスも行っちゃうぜ!
「うわー、とっぷりとつけたタレがうめー!! 最高だぜー」
「昼からビールも最高だぜー!」
と楽しんでいたのも束の間。
「ラストオーダーです」
と、店員。ハッヒ? って、なった。確かに1時間半で大丈夫ですか?と聞かれてはいたが、まだ45分前である。青天の霹靂とはまさにこのこと。
すでに7割ぐらいは食べ切っていたが、最後の〆をどうするかをこれからゆっくり考えるところだった。いや、むしろ、もう一つお肉を頼んで、ビールを楽しむかな。などと考えていた。そこに、である。
「ラストオーダーです」
と。
焦った。とにかく焦った。その結果、私は必要もないご飯メニューを頼んでしまった。残念なことにそれを食べ切るのはちょっとキツく、食事を美しく終わらせることができなかった。
クソっ。腹立たしい。非常に腹立たしい。なぜだ、なぜ、45分前なのだ。
その日は怒った。とにかく怒った。お店の人には怒ってないが、プンスカしてる感じが出ていたと思う。そして、仲間にひたすらメールで同意を求めた。このふざけたラストオーダーを。
あの日、私はもっと綺麗にご飯が楽しめたはずなのに。なんのストレスもなく、休日に突入していたはずなのに。台無しだ。あのラストオーダーのせいで台無しだ。もう、絶対その店にはいかないと誓った。
そして、「気をつけてね、あそこラストオーダー45分前だよ」って色んな人に言おうと思う。
食べ物の恨みは、めちゃくちゃ根深いって話。
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