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【小説】#5:貴志祐介『黒い家』

タイトル:黒い家
著者:貴志祐介
読了日:忘れてまった💓


あらすじ

生命保険会社に勤める男性が契約者の家に訪ね、保険についての説明をしようとすると、その家の息子が首を攣って死んでいるのを目撃する。
警察は自殺として保険金が支払われることになったが、彼は死体発見当時の父親の様子から不審さを感じ独自に調査することにした。
真相に近づくにつれて暴かれていく両親の異常性、そして待っている怒涛の恐怖の波。
この世界で恐ろしいのは「幽霊」でもなければ「動く人形」とか「殺人ピエロ」とかでもなく、得体の知れない「サイコパス」という類の人間であることが身をもって実感できるホラー小説!


感想

「本当に怖い」の一言に尽きる作品です。最寄り駅の近くにある古本屋に立ち寄って適当に本を見繕っている時に、一際異彩を放っていたので手に取りました。(なんと100円でした。ラッキー✨)
表紙が超グロいとか、訳のわからない絵が書いてあるとか、そういった類の奇妙さではなく、単純にすんごいダークな感じがしたんです。
そんな軽い気持ちで読み始めてあらびっくり、すんごい怖いではないですか!
物語が進むにつれてどんどん怖さが増します。「間違いなくここが山場だ!」と感じてもすぐにそれを超える場面がやってきて飽きなかったです。
調べてみた感じ、この作品は映像化されているみたいですね。
小説自体の評価は悪くないですが、一方で映画の評価は芳しくない様子です。
確かにこの圧倒的サイコパスの登場人物を演じるのは難しいかもしれないですね。映画は見ていないのですが、活字でも十分なほど恐怖感は味わえます。
あまりホラー系の作品は読んだことがないのですが、この本は今でもどんな場面がありどういう流れでどんなことが起こるといった、結構詳細なことまでしっかりと覚えている数少ない作品で、間違いなく「最も怖かった小説」暫定一位です。今後この作品を超えるものがあることを期待しています。(おすすめの作品があれば教えてください🙇‍♂️)
貴志祐介さんの作品はかの有名な「悪の教典」を読んだことがあるのですが、あの作品の主人公(?)とは全く違うタイプの人間ではあるのですが、それはあくまでも外面の話であって、実際の内面という観点では同じような感性を持っているんだと思います。
これ以上言及するとネタバレになっちゃうので、気になる方は下の余談で...
とにかくホラー系の作品ではあるのですが、なおかつミステリ的な要素も相まっていて楽しい作品でした。
寝る間も惜しんで二日で読み切ってしまいました。それくらい面白いのでぜひ読んでみてください!


余談(ネタバレあり)

ネタバレが嫌だという方はスクロールしないください!!










感想で言及した「内面で同じ」ということについてですが、これはつまり「サイコパス感」が同じということを言いたかったんです。
いわゆる、自分の邪魔してくるやつは容赦なく殺すという感性です。そのためなら入念な準備は厭わないし、絶対にターゲットを殺すという執念が見られます。
「ハサミ男」の余談でも少しお話ししたように、このような人種(?)にプロファイリングを用いると似た結果が出るのか気になるところですね。

そもそもお金欲しさに自分の子供を殺してたまるかに尽きるんですが、とは言ってもお金がなかなか渡されないからといって、人を殺そうという発想になること自体、おいおいと言いたくなりますね。
現実の殺人事件でももこういった類の犯人はいるのでしょうか?
パッと思いついた犯人だと神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖とかですが、彼の場合は人を殺すことでしか性的快感を得られないみたいな感じだったはずなので、少しタイプが違いますよね。
こういった考え方や感じ方が他とは異常なまでに乖離していて、なおかつそれが悪い方向に向いている方、表現を変えればベクトル(向きと大きさを持つ矢印みたいなもの)が全く別な人はどのようにして生まれるのでしょうか。
そもそも先天的なのでしょうか、後天的なのでしょうか。
僕の考えは「両者ともいる」ですね。逃げんなって?許してっ✨
先天的なら、正直それによる犯罪を未然に防ぐのは難しい感じがしますね。例えば、小児性愛者とかなら最悪ネットに転がってるロリ絵的なので発散できるかもしれません。(児童ポルノは間違いなく犯罪ですが、それによって救われている命は多いと個人的に思ってます。犯罪を犯して犯罪を防ぐ。なんじゃこりゃ。)
まだ救いがあるのは後天性のものでしょう。幼児期による家庭環境や与していた集団、教育レベルは思いつきやすいでしょうが、何もきっかけとなる事象は幼少期に限らないというところが問題でしょう。
歩んでいる道の一本隣がもしかしたら最悪へと導くかもしれません。そういうふうに考えると人間は脆いですね〜。
感想でも「怖い怖い」と太鼓判は押しましたが、批判するなら「怖すぎるしサイコパスすぎるからフィクション臭がすごい」くらいですかね。笑
幸子があまりにもモンスターすぎて逆に笑えてきます。
実はこの本を読んでから数日の間は、夜道を一人で歩くときに何度も後ろを振り返ってビクビクしてました。
いや、フィンクションだと思ってたんとちゃうんかいって感じですが、そんな余裕を場外ホームランでぶっ飛ばしてくれるくらいの恐怖を味わえますよ!



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