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【小説】#6:貴志祐介『悪の教典』


タイトル:悪の教典
著者:貴志祐介
読了日:忘れちったよ〜なんでこんなズボラなんだぁ


あらすじ

爽やかなルックスとその雄弁さから晨光学院町田高校の英語教師として人気を博していた蓮実聖司。
学校で生じる問題を様々な方法で解決していくが、だんだんと方法がエスカレートしていく。
次第に明らかにされる蓮実聖司の過去と本性。邪魔者は躊躇せず殺害する共感性欠如のサイコパスが平穏な学校生活に最悪の展開を巻き起こす。
「三文小説」の「モリタート」がどこからか聞こえてくる...
『このミステリーがすごい!2011年版』の一位をとった長編ホラー作品!


感想

貴志祐介さんの作品はこれが初めてでした。友人が面白いと言っていたのですぐに買ってすぐに読みました。
率直な感想としては、学園もののホラー作品(分類上はミステリ作品らしいですが、どちらかというとホラーっぽい気がします)において究極を突き詰めた作品だなと思いました。
ホラーといっても前回紹介した「黒い家」とはまた違った怖さを味わえます。
なんといっても、本作品の中心人物である蓮実聖司は正真正銘のガチサイコパスなのですが、ほんっとうにサラッと殺しをやってのけるからです。笑、
前編と後編があり、どちらもかなりのページ数がある長編作品なのですが、全く飽きませんでした。それどころか続きが気になって仕方なくなり、二日で読み切りました。睡眠時間は減ったけど😪
とはいえ、流石に現実ではあり得ないしあっていいはずがないことばかりが起こるので、恐怖感よりも楽しさや驚きの方が優ってしまいますね。そういった点では先ほど比較に出した「黒い家」と似ているかもしれません。
ありきたりな内容にしてしまうということは新規性もなければ展開が読めてしまうというホラー作品にとってはあってはならないことなので、リアリティと新規性を天秤にかけてどちらをどれくらい荷重をかけるかは難しいなと感じました。
また映像化もされており、そちらなら活字で読むより一層恐怖感や臨場感を味わえるかなと思います。(自分は少しだけ見ました。)
とはいえ、活字だからこそ自分の頭の中で独自に映像化してみた方が楽しいんじゃないかなと勝手に思ってます!
一時期話題にもなったこの作品を、是非ご一読してみてくださいね。


余談(ネタバレあり)

ネタバレが嫌な方は以下はご覧にならないようお気をつけください!








ホラー作品って学園ものが多い印象があったので少し考えてみたのですが、「学校」はおよそ日本人ならばほぼ全員がその場所で数年過ごしたことがある場所だと思うんですよね。
それが、公立私立や小中高に関係なくです。
それに、全国の学校は大体同じような構造になっているはずです。
そうすると、学校を舞台にすることでその作品を見る人の性別・年齢・出身などなどさまざまな属性に関係なく臨場感を与えられるからなのではないかという結論が出ました。
真偽は敢えて調べません。勝手にそう思っておきます。笑
感想部分でも書いた通り、貴志祐介さんの作品だと「黒い家」というものを読んだことがあるのですが、そちらの作品に出てくる犯人も同じくガチサイコパスです。
しかし、その犯人と今回のハスミンが違う点は外面が良い人か否かという点でしょうか。ハスミンの場合は英語教師という職や立場を利用して生徒や他の先生の印象を操作していました。
一方で黒い家の方の犯人は、自分は外面を取り繕うことは難しいとわかっていたのでしょうか、他人と接触することを極力避けて、接触せざるを得ない場合は身内を使うようにしていました。
このように相違点はありますが、「邪魔する奴は問答無用で殺す。そのためなら入念な下準備を厭わない。」という点は共通しているでしょうか。
本作品の犯人である蓮実聖司ですが、他人への共感能力に欠けているそうです。
現実においてこういったタイプの犯人はどれくらいの割合でいるのでしょう。
大体の殺人とか傷害の犯人は衝動的なものや事故的なものだと思うんですよね。
そもそも、他人への共感能力は定量的に測定できるのでしょうか。
犯罪者のデータからプロファイリングできれば良いのですが、そもそもそういった人間が犯罪を犯してからでは手遅れですからね...。
色々言ってみましたが、結局楽しく読めたので結果よければ全てよしということで、今後も貴志祐介さんの作品を読んでいきたいと思います!
次は「天使の囀り」を読む予定です。
他に良い作品があれば教えてください🙇‍♂️

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