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開くはずのドアだった。

いつもの時間。朝。通勤時間に入る、最初のしぐさ。車のカギを開ける。
いつもの音。
車の運転席側のドアを開けようとした時だった。

いや、開くはずのドアだった。

あれ?鍵が開いていなかった。寝ぼけていたと思い、もう一回鍵で開けようとする。

音はするが、カギが開かない。
他のドアを確認する。開く。これ見よがしに開く。
むしろ運転席側だけなぜ開かないのか?とてもとても不思議だった。

けれど、考えても鍵は開かない。通勤時間は着々と削られていく。
上司に電話して、車の運転席のドアのカギが開かないので、お休みをください。
と言っても、もっと緻密な嘘をつけと言われそうなので、断念する。

通勤時間が減っていく。5分違うと劇的に道路状況が変化するのだ。あっと言う間に5分が経過した。

とにかく、会社に行かなければならないので、助手席側から乗り込んだ。
シフトノブを何とか乗り越え、運転席に座る。
エンジンはどうか。あ!よかった。かかってくれた。

窓ガラスはどうか?無事に開いた。
そして、いつもの通勤ラッシュに滑り込む。

けれど、車自体に異変はなく、軽快に会社に到着した。
エンジンを切り、運転席を開けようとした時だった。

開かない!当たり前である。さっき開かないことを確認して、助手席側から乗ったことを思い出した。

まわりをみても、同僚に会うこともなく無事に助手席から出ることに成功した。

とにかく、不便でしょうがないので、お昼休みにカーディーラーの営業日を確認すると、その日はまさかの休日であった。


その日は諦め、帰宅しようとした時だった。

また試練が。夕食の食材が無いことに気づいた。
そのために、最近買ったエコバックを朝家から忘れずに持ってきたのだ。

近くのスーパーに到着する。
当たりを見渡し、なるべくそそくさと助手席側から外に出る。

はたから見ると、かなり怪しい行動だと思う。
エンジンを切ってなぜあの人は助手席から出ているのだろうか?

何かのパフォーマンスか?それとも、新手のyoutuberか?
色々詮索されない様に即座に外にでる。

何も知らない警備員さんであればおそらく、職質対応確実である。
特に悪いこともしていないけれど、少しだけ違う行動を取っていると、とても目についてしまう。

何とか帰宅して、助手席からおり、夕飯を作った。

次の日。

仕事が終わり、カーディーラーへ到着した。
とりあえず、運転席が開かないことを伝えた。
数十分経過し、カーディーラーの整備場が見える位置に座った。
そして、自分の車が運びこまれ作業を開始した。

私自身の、自分の仕事を見られると緊張してしまうタイプなので、あえて目線を避けて、色々な雑誌を読んでいた。

そして、20分位経過したころだろうか、声を掛けかれた。
話を聞くと、ロックの部分が何かの拍子で中途半端な位置に止まっていて、解除ができないと説明された。

修理方法はというと、まずロックを解除しないといけないので、運転席の内装に100mmくらいの穴を開け、そこから、強制的にロックを解除するのが確実な方法だと言われた。

え!100cmって結構大きいよね。100cmって自分のグーの大きさ位だよね。

けれど、一生、助手席から降りることは想像したくないので、何とか勇気をふりしぼり、承知した旨を伝えた。

数十分後ドア開きました!という連絡を貰い、車に駆け寄ると、なんと穴が開いていなかったのである。

色々お話を聞くと、何とか秘密の道具で開いたとのことであった。
あー良かった。今後のためもあるため、翌週ドアロックを新品に交換した。

今ふと思い返すと、なぜ運転席だけが?とかなぜ助手席は大丈夫だったのだろうか?とか色々疑問が湧きあがるが、けれど、どうにか開いたのでとにかく安心である。

まだまだ、全然乗れるのでこの先もゆっくり丁寧に運転していこうと思う。
これからもよろしくお願いします。相棒。

最後までお読み頂きありがとうございました。
朝突然の出来事で、混乱の限りでした。けれど、全てのドアが開かなかったわけではないので一安心でした。

また、日常の出来事をご案内いたします。


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