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中国料理とコラーゲンの親しい関係

文・撮影/長尾謙一 

食べるコラーゲン
(素材のちから第40号より) 

「食べるコラーゲン」は炒めても溶けず、味も色も香りまでもその中に取り入れる。プルプルした食感は、エイヒレやフカヒレ、クラゲにも似ている。きっと上手く使いこなせるに違いない。

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加熱しても溶けず、味や色、香りまでも
吸収する「食べるコラーゲン」。

前号では「食べるコラーゲン」を日本料理店で使っていただき、その可能性を探った。土佐酢や味噌、生姜、ワインの風味をそれぞれ「食べるコラーゲン」に染み込ませることで新たな展開を見せていただいた。

そこで、さらに今回は中国料理でその可能性を探ってみる。加熱しても溶けない「食べるコラーゲン」を中国料理ではどのように使うのだろう。中国料理は日頃からコラーゲン豊富な素材を使うだけに楽しみだ。

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オーナーシェフ 田村 亮介 さん

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慈華itsuka東京都港区南青山
〝慈華itsuka〟は、店舗の老朽化に伴い閉店した中華の名店〝麻布長江 香福筳〟のオーナーシェフ田村氏が2019年12月に外苑前にオープンさせた新店舗。店のコンセプトは「素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ」。素材の生産者の想いに寄り添いながら〝慈華〟でしかできない日本の中国料理を新たにつくり出している。

コラーゲンのヘルシーなイメージを中国料理にいかす

中国料理では鶏ガラで煮込むスープをはじめ、エイヒレやフカヒレ、クラゲなどコラーゲン豊富な素材を日頃からよく使います。美容の点で、コラーゲンにご興味を持たれている女性のお客様はたくさんいらっしゃいますから、さまざまな技法で上手にこれをメニューに組み込むようにしています。そうした点からも中国料理とコラーゲンとはとても親しい関係と言えますから、「食べるコラーゲン」はスムーズに使いこなせると思います。

ピリッとした辛さはもちろん痺れまで吸収しています

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まずは〝よだれ鶏〟です。よだれ鶏は四川料理の前菜ですから、これをメイン料理に仕立てたいと思います。鶏の胸肉をフライパンで皮目だけカリッと焼いて、あとは火を止めて蓋をします。15~20分くらいかけてゆっくり余熱で火を入れることで、しっとりとジューシーに仕上がります。これに添えるよだれ鶏のソースに「食べるコラーゲン」を使ってみましょう。

唐辛子、醤油、砂糖、黒酢、山椒、ごま油、粒胡麻、生姜と一緒に、適当な大きさに刻んだ「食べるコラーゲン」を加えて水分がなくなるまで煮て詰め切ります。ですから「食べるコラーゲン」には相当濃厚な風味が入ります。まわりには一味唐辛子と山椒をふって仕上げました。

「食べるコラーゲン」はピリッとした辛さはもちろん、痺れまで吸収した固形のソースになっています。しっとりとした鶏肉とこのピリ辛の「食べるコラーゲン」を一緒に食べると、プルプルとでも言えばいいでしょうか、他の素材にはない独特の食感が加わることで噛みごたえが生まれ、ソースで食べるよだれ鶏とはまた違った味わいになります。これならメイン料理として成立すると思いますね。

果実のフルーティーな風味を肉の中に詰め込む
コラーゲン酢豚 ラズベリーの香り

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次に「食べるコラーゲン」を使って酢豚をつくってみました。豚バラ肉は一口大のものではなくスライスを使います。そしてここにラズベリーの風味をつけた「食べるコラーゲン」を巻き込んで、水溶きのコーンスターチをくぐらせて揚げます。

酢豚に合わせる鉄板の果物はパイナップルですが、甘酢っぱい果物という意味では、選択肢はたくさんあると思います。今回はフレッシュのラズベリーをミキサーで回して、そこに「食べるコラーゲン」を刻んで漬けておきます。ブルーベリーでもいいしベリー系は全部合いますね。野菜は炒めて揚げた豚肉と甘酢ダレで絡めました。ラズベリーの香りが凄く残っていますね。サクッとした衣にジューシーな豚肉、そしてプルプルとしたコラーゲンの食感もおもしろいですね。

上海蟹の旨みに酸味と美しい赤のアクセント
上海蟹の卵白炒め 赤酢コラーゲン添え

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今度は上海蟹を入れた卵白炒めです。蟹のほぐし身とねぎと生姜を先に弱火で炒めて香りを出し、そこにだし汁を少し加えます。水溶き片栗粉でとろみを弱めにつけて、泡立てた卵白を入れてさっと火を入れました。

四角く切った小さな赤い粒が赤酢に漬けた「食べるコラーゲン」です。日本では蟹を食べる時には酢を使いますが、上海蟹も食べる時に酢を使います。酢の酸味が蟹の旨みを持ち上げるからです。せっかく繊細な卵白炒めなので、タレをかけてしまうと見た目が台無しになります。

そこで、「食べるコラーゲン」を細かく切って赤酢100%に漬け込み酸味のアクセントにしました。綺麗な赤色が出て上品な卵白炒めができました。

生姜が凄く効いていて、色はまさにゴールド
「食べるコラーゲン」のちまき

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最後はちまきをつくりました。浸水したもち米と、干し海老、干し椎茸、干し貝柱、鶏肉などと一緒に炒め煮にします。「食べるコラーゲン」は生姜と醤油でコトコト煮てしっかりと生姜の風味を入れますが、これは生姜風味をちまきのアクセントとしてしっかり出すためです。炒め煮にしたもち米と生姜風味の「食べるコラーゲン」を混ぜて、蓮の葉で包んで蒸しあげます。

このちまきは「食べるコラーゲン」が主役です。色がいいですね、まさにゴールド。生姜も凄くきいていて、もっちりしたもち米と食感のバランスがいいですね。

「食べるコラーゲン」は初めて使わせていただきましたが、中国料理にはとても合っている素材だと思います。


協力/お問い合わせ:新田ゼラチン株式会社

(2021年3月31日発行「素材のちから」第40号掲載記事)

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