見出し画像

懐かしい〝和〟を生かすデザート

文・撮影/長尾謙一 
料理/横田渉 

〝わらび餅〟は、和菓子店だけのメニューじゃもったいない! ぷるぷる、ひんやり、わらび餅食感をデザートに取り込む。

・簡単わらび餅の素
・やまごころソフト
 (素材のちから第41号より)

画像1

とろりと口溶けのいい〝わらび餅〟に、きな粉と黒蜜をたっぷりかけて食べる。アイスクリームが溶けて、ぷるぷる、ひんやり。この 〝わらび餅〟独特の食感をお店のデザートに加えてはいかがだろうか。「簡単わらび餅の素」は簡単に、「やまごころソフト」は本格的に、老化しにくく冷凍保存のできる〝わらび餅〟がつくれる。

〝わらび餅〟食感を、イートインデザートにも取り入れる

お湯と「簡単わらび餅の素」で手軽に〝わらび餅〟ができる

ぷるぷるとした〝わらび餅〟独特の食感からは、何ともいえないノスタルジーを感じずにはいられない。これにきな粉と黒蜜が加われば、向かうところ敵なしの和スイーツである。従来、餅菓子や葛菓子、〝わらび餅〟などは、製造に技術が必要なことと、商品が老化してすぐに硬くなってしまうため、職人のいる専門店のメニューだった。

画像4

しかし、このところCVSデザートなど専門店以外の業態でも、この〝わらび餅〟の食感をいかした商品を開発し成功しているのを見かける。大ヒットしたタピオカも、他のスイーツ素材にないもちもちした食感を持っていたし、フルーツやクリーム、焼き生地のバリエーションに出尽くした感のある中、スイーツは口溶けとともに素材を噛んだ時の、今までとは違う感触や歯ざわりを楽しむようになったのかもしれない。

外食店のデザートも負けてはいられない。この〝わらび餅〟食感をデザートに取り入れようではないか。

今回、経験がなくても簡単に〝わらび餅〟がつくれる「イナショク 簡単わらび餅の素」と本格的な〝わらび餅〟をつくることができる「イナゲル やまごころソフト」をご紹介させていただく。

〝牛乳わらび餅〟〝オレンジわらび餅〟〝ほうじ茶わらび餅〟もできる

まず、「簡単わらび餅の素」は、お湯で溶かし蒸し器で30分間蒸す。蒸し上がったらバットに広げ、ラップをして冷蔵庫で約3時間冷やし固め、あとは適当な大きさに切り分けるだけだ。「簡単わらび餅の素」とお湯だけでできる。

それならばと、お湯を牛乳に置き換えてみると、何と〝牛乳わらび餅〟ができた。おそらく豆乳もオレンジジュースもリンゴジュースも、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶でもできるだろう。また、お湯に醤油やみりんを加えてつくり、砕いたクルミときな粉をふれば〝ゆべし風〟に仕上がる。

合わせるソースやトッピング、さらに一緒に盛り付けるアイスクリームやフルーツをアレンジすれば、イートインならではの新しいデザートができるのではないだろうか。

「やまごころソフト」がつくり出す新しいデザートメニューの可能性

さて、次に「やまごころソフト」をご紹介しよう。「やまごころソフト」は、弾力とのびのある本格的な〝わらび餅〟ができる。「簡単わらび餅の素」に比べて手間と時間がかかるが、仕上がりは素晴らしい。

〝わらび餅アイスクリーム〟は「やまごころソフト」でつくった。本格派らしいコシと弾力があり、ぷるぷるとした歯ざわりで、とろ~りと口溶けがよく、やわらかい。

画像7

外食店にとってうれしいことに「簡単わらび餅の素」でつくる〝わらび餅〟も「やまごころソフト」でつくる〝わらび餅〟もともに老化しにくく、冷凍保存が可能で解凍後もやわらかい。これならロスにならない。

本来なら、ここで「やまごころソフト」を使った〝わらび餅〟のつくり方を披露すべきところだが、それよりも今回は「やまごころソフト」を使った新しい食感のデザートをご提案したいため、そのつくり方をご説明するのは次の機会に回した。

さて、その新しい食感のデザートだが、まずは〝のびるウィンナーコーヒー〟である。

画像6

「やまごころソフト」とグラニュー糖をしっかりと合わせ、これをコーヒーに混ぜて沸騰させる。全体が透き通ってきたら火を止め、器に充填して冷やし固めた。これにホイップクリームを絞り、シナモンパウダーをふって仕上げた。「やまごころソフト」は全体量に対して6%を加えると、こののびる食感になった。

次に〝マンゴープリン ねっちり豆乳ヨーグルト〟である。

画像7

「やまごころソフト」とグラニュー糖をしっかりと合わせ、無調整豆乳に無糖ヨーグルトを混ぜて沸騰させる。温度を42℃に下げてヨーグルトを加え混ぜ、これを器に充填して冷やし固めた。これをマンゴープリンとともに盛り付けた。「やまごころソフト」は全体量に対して5.5%を加えた。

こののびはどうだろう。写真におさめるためにスプーンをここで止めたが、実際はもっともっとのびた。のびる〝わらび餅〟のアレンジだ。

さて、今度は〝わらび餅風チーズと黄桃のモザイク仕立て〟をつくってみる。

画像3

「やまごころソフト」とグラニュー糖をしっかりと合わせ、これを水に混ぜて50℃まで加熱する。ここにプロセスチーズを徐々に入れ、さらに加熱して沸騰させて混ぜ、器に充填して冷やし固めた。「やまごころソフト」は全体量に対して7%、プロセスチーズは40%を加えた。仕上がりが生チョコの食感に少し似ていたため、黄桃と石畳のように並べてみた。まさにわらび餅チーズ、フルーツとの相性もいい。

本来は本格的な〝わらび餅〟をつくる「やまごころソフト」も、添加量を変えれば新しい食感のデザートをつくり出す。

最後は、〝わらび餅アイスまんじゅう〟だ。

画像2

市販されている大福風のアイスを真似てみた。アイスのセンターにイチゴジャムを仕込み、これを「やまごころソフト」でつくった〝わらび餅〟の生地で巻いて冷凍しておく。冷凍耐性もこれで確かめられる。食べる前に外に出しておくと生地が溶けはじめ、透明感が出てきてやわらかさも現れた。成功だ。

ノスタルジックな〝わらび餅〟がつくり出す外食店の新しいデザートメニューの可能性、皆さんもチャレンジしてみてはいかがだろうか。


協力/お問い合わせ:伊那食品工業株式会社

(2021年6月30日発行「素材のちから」第41号掲載記事)

※「素材のちから」本誌をPDFでご覧になりたい方はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?