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【見えない存在:中国の一人っ子政策とヘイハイツの隠された現実】

【見えない存在:中国の一人っ子政策とヘイハイツの隠された現実】


1. 「黒孩子」とは何か?-基本概念の解説

 皆様は、黒核子ヘイハイツ)をご存知ですか?ヘイハイツは、『ブラックチルドレン』とも呼ばれ、中国の一人っ子政策に違反して生まれた、登録されていない子供たちを指します。これらの子どもたちは、正式な身分証明書を持たず、教育や医療などの基本的な公共サービスへのアクセスが制限されてしまうのです。私がヘイハイツを知ったのは、『ギャングース』という漫画でした。その漫画でのヘイハイツたちは、犯罪に手を染めていたのです。

「なぜか?」

 正式な身分証明書がないため、闇の取引がしやすかったからでしょう。存在しない人間として描かれていた彼らは、好き放題悪いことをしていました。◯人でさえ、簡単に…

 という話が実際にあるのか疑問ですが、今回の記事のために、調べてきました。

 ぜひ御覧ください。 

 ※以降、黒核子は『ヘイハイツ』と記載します。

●「黒孩子」の定義と起源

 ヘイハイツは、「中国の一人っ子政策時代に、政策違反で生まれ、公式な戸籍登録を受けられなかった子どもたち」と、定義付けることができます。

 一人っ子政策が施行されたのは、1979年に遡り、なんと36年間もの間続きました。その間、多くの家族が政策の制限を超えて、子どもをもうけた結果、ヘイハイツが増え続けたのです。

●中国の一人っ子政策との関連

 主に関係している点は、国民を法律により縛ったことでしょう。人は駄目と言われればやってしまうもの。一人っ子政策については、今でも賛否ありますが、当時の中国ではあまりにも人口が増えてしまったので、仕方のない措置だったのかもしれません。人口の増加は、食料不足にも繋がりますし、貧富の差を広げる要因にもなりえるからです。
 この政策は、結果「一組の夫婦に3人までの子どもを認める」となるまでに変化しました。

2. 「黒孩子」の現状と課題

●社会的、経済的な影響

 中国政府は、2023年末時点の総人口を14億967万人と発表しています。「多いな」と感じるかもしれません。なんせ日本の人口は、1億2242万人ですからね。ですがこれでも中国の場合、208万人ほど減っているというのです。一人っ子政策が実施された時の中国の人口は、9.82億人。当時の人口と現代の人口を比較してどうでしょうか。
 当時の経済状況などもあったとは思いますが、一人っ子政策に意味があったのでしょうか。「意味はなかった」などとハッキリ言うつもりはありませんが、この政策によって生まれてしまった『ヘイハイツ』たち。彼、彼女らからしたら、たまったものじゃありません。

 一人の人として生きたいのに、国からは『人』として認められず、一般的な人間の受けられるサービスも受けることができない。学校にだっていけないんですよ。一人っ子政策は本当に必要だったのでしょうか。別の方法が
あったのではないでしょうか。

 一人っ子政策には、既に子どもが一人いる夫婦が、二人目の子どもを授かった場合、様々な罰金が科せられました。

◇超過出産費の徴収
◇夫婦双方の賃金カット
◇社会養育費の徴収
◇医療費と出産入院費の自弁
◇夫婦双方の仕事においての昇給や昇進の停止

 ここまでの罰則があると、子どもを授かることを躊躇してしまいますが、それでも二人目を産むということには、無責任さはもちろんですが、愛すら感じてしまいます。二人目以降は、よっぽどの富裕層だったのでしょうね。

●10,000人を超える、売られた乳幼児

 ここで驚いたのが、中国の農村では、現代でも跡継ぎ、労働力になる男児を重宝し、女児を『お荷物』として扱う親が後を絶たないそう。一人っ子政策が実施されている状況で、一人目に女児を授かっていたらどうなるか。

 生まれてすぐに密輸業者に売り飛ばす

 こんなにも恐ろしい事が起きていたのです。妊娠した赤ちゃんが女児だと判明すると、中絶や人身売買されていたのですね。80年代から90年代にかけて、1万人以上の乳幼児売りとばされたと言われています。
 中国のインターネットには、不特定多数の相手とチャットすることができる「テンセントQQ」というサービスがあるらしく、そこには生みの親を探す女性たちが集まるコーナーがあるそう。一人っ子政策による負の産物は、こうした日常にも未だ存在しているのだ。

3. 中国政府の対策と進展

●戸籍制度の改革

 2010年の国勢調査では、無戸籍の人が確認されているだけでも1300万人に上るという実態が明らかになりました。ただ、実際のところ数億人いるなんて話もあります。一人っ子政策は、数々の問題点を中国社会に生み出した。その内容は無戸籍児人身売買の増加急速な少子高齢化による社会保障の不足などだ。このような事態が、中国政府に一人っ子政策の廃止を決断させたと言われているのです。
 
 2015年から2021年までは、一組の夫婦につき子ども二人までとされていたため、俗に二人っ子政策と呼ばれていました。その後、2021年5月31日に中国共産党が一組の夫婦が三人目の子どもを出産することを認める方針を示し、一人っ子政策は完全廃止されたのです。

 ですが時すでに遅し。この政策は、中国の人口動態に大きな影響を与えたのです。一人っ子政策が廃止された後、中国の出生率は複雑な変化を経験しています。一人っ子政策が緩和されると、出生率は向上したのですが、翌年2017年には再び低下。2023年の出生率は前年比54万人減の902万人も減少したのです。1949年の建国以来の最少を3年連続で更新しました。

 中国の人口は、ここ数年減少傾向で、このような形で急速に少子高齢化が進んでいます。国は、過去の負の遺産をどうすることもできず、当時の政策の本来の目的である人口減少が皮肉にもなされている状況なのです。

●「黒孩子」への対策と支援

 そんな中で、ヘイハイツへの対策や支援はあるのかというところですが、一人っ子政策の終了後、政府は無戸籍の人に戸籍を与えるなど、彼らの社会的統合を促進するための措置を行っているようです。これにより、教育や医療サービスへのアクセス改善が期待されているのだそう。一人っ子政策によって発生した無戸籍の状態を解消し、これらの人々が結婚、銀行口座の開設、医療保険への加入、初等教育の受ける権利などを含む基本的な公共サービスへのアクセスを改善することを目的としているのだとか。

 また、中国政府は都市部と地方の居住者向けに分かれている二つの医療保険制度を一つに統合する計画も承認しました。これは医療保険の補償をより公平にすることが目的。戸籍登録は中国国民にとって基本的な法的権利であり、社会活動への参加、権利の享受、義務の履行の前提条件だと政府は指摘しています。中国社会における平等と公平性を向上させることを目指しているそう。過去に行ってしまったことで、取り返しがつかなくなりそうな現代。なんとか踏ん張ってほしいところです。

●国際社会からの見解、人権団体の活動と影響

 国際社会からも酷く批判されている問題で、人権団体は深刻な懸念を表明しています。主に社会的な地位が低くなってしまうことを指摘しているそう。社会的な孤立であったり、存在の否定、基本的な権利の制限、誤解と偏見などがあげられますね。無戸籍問題は、社会的平等と公平性を向上させるために取り組むべき重要な課題だと、強く意識されています。一人っ子政策に反対したのは、主に人権団体、学者、政策の直接的な影響を受けた家庭などでした。人権団体は、強制的な避妊や中絶、無戸籍児童の問題など、人権侵害に焦点を当てて批判しました。一部の学者や専門家は、政策による人口構造の変化や性別不均衡に関する懸念を表明したのです。また、複数の子どもを望む家庭や、政策によって直接影響を受けた人々からも反対の声が上がっていました。

4. 「黒孩子」問題の将来と展望

●政策の進化による将来的な影響

 将来的な影響に関しましては、暗いように感じます。一度実行してしまった『一人っ子政策』は、取り返しのつかないことになり、今では人口減少に伴った、少子高齢化に悩まされるまでに。先進国でも人口減少社会問題になり、今となっては、どんどん子どもを産んでほしいと願う政府。現代の中国国民は、子どもを持つ人も少なくなってしまったとか。
 ある意味『一人っ子政策』は、大成功だったのではないでしょうか。このまま進んで行くと、富裕層はさらに裕福になり、戸籍のないヘイハイツたちは、貧困層のさらに下に位置してしまうのではないのか。人権団体が動いているとはいえ、公表されていない『億を超えるヘイハイツたち』全員に、戸籍を渡す事は実際に可能なのかどうか。疑問ばかりが浮かびます。

●中国社会における変化の可能性

 2030年代には米国を下回ると言われている中国。多くのエコノミストは、中国の経済成長は2020年代の終わりまでにアメリカを追い抜き、中国の並外れた経済の伸びも止まると見ていたそう。だが、そうなる可能性が低くなってきたと考える者もいる。2031年~2035年までに、中国はあらゆる人口指標と経済成長で、アメリカを下回ることになるだろうと語っているのだ。
 これも全部『一人っ子政策』の影響。中国の平均年齢は38歳になり、少子高齢化が進めば、中国の労働人口はやがて、引退した人々を支えきれなくなるだろう。これが現実でしょう。

 ヘイハイツに戸籍が戻り、中国でもっと働くことができたなら、この状況はもしかしたら変わるかもしれない。人口減少や労働を担うのは、かつて人口減少のために国から捨てられたヘイハイツたち。彼らの力が今後どう生きていくのか、楽しみで仕方ない。

【まとめと個人的な感想】

 ここまでお読みくださりありがとうございます。本来は、ヘイハイツ自身のについて語りたかったのですが、思いのほか記事がないことに驚きました。それほど彼等の存在というのは軽視されてきたのでしょうか。生まれてはいけなかった人たち、そんな人たちが存在するなんて思いもしなかった私は、ヘイハイツの存在を知った時に驚愕しました。生れながらに祝福されない子どもたちは、大人になるまでにどんな目に遭ったのだろう。想像するだけで悲しくなります。人身売買が横行していた点から考えると、産み落とした赤子を売買するような『闇ビジネス』はあったと思います。

 無事に大人になれたヘイハイツは、少ないでしょう。そんな中で、今でも戸籍取得のために活動されている方々に敬意を表します。今回は中国だけにフォーカスしましたが、『ヘイハイツ』つまり国籍の無い人々が世界にどれだけいるのでしょう。勿論日本にだって存在するはずです。悪いころばかりをする人たちというイメージだった私ですが、ヘイハイツたちも必死に生きようと戦っていることに気が付きました。

 この問題が将来的に、なんらかの形で解消して、ヘイハイツたちが自分の人生を謳歌できることを願っています。

 今回も、お読みいただきありがとうございました。一度は調べてみたかった内容でして、文字に起こせてスッキリしました。その他の記事も書いておりますので、お時間に余裕がございましたら、読んで頂けると幸いでございます。


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