見出し画像

✴︎ ぼく

おじいさんはそう言いながら水瓶をゆさぶって

中に入っている星の欠片が

まんべんなく見えるようにしてくれた。

ぼくはその中から、真ん中が薄いグリーンで

外側に向かって黄色く光る星の欠片に手をのばした。

「俺を選ぶとは、キミ、挑戦者だね〜」

星の欠片がしゃべった??

ぼくはびっくりしておじいさんを見上げると、

そこにはもうおじいさんの姿も水瓶もなく

さっきまで賑やかだったはずの人混みもない。

街灯がぽんっぽんっと一つづつ消えていくように、

ぼくのいる世界から光がどんどんなくなっていく。

「大丈夫、心配しなさんな。俺がしっかり案内するから。」

手のひらに乗っている星の欠片が言った。

そうして真っ暗闇になった時、

ぼくの足元のもっともっと底の方に、

星の欠片と同じ色に光っている

川のような、道のようなものが見えた。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?