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四畳半奇想散策夢見式

目が覚めると先程まで一緒に寝ていたはずの愛妾が大きな烏賊に喰われていた/僕はそれを眺めながら煙草に火を点けた/愛妾は烏賊に喰われながら足をバタバタさせている/何にそんなにというくらいに烏賊は怒っていた/愛妾はしぶとく抵抗している/宇宙の広さを想えば烏賊もがんばれだし愛妾もがんばれだった/砂粒のような男と女と烏賊/煙草を喫み終えた僕は愛妾の両足を掴んでからズルっと引っ張る/烏賊の墨毒の影響だろうか/愛妾の下半身は女で上半身は海老に成っていた/可哀想に愛妾が散々暴れたせいで烏賊は既に死んでいる/海老人間に手鏡を渡すと今度は海老人間の方がショックでバタっと倒れてしまった/上半身は海老/下半身は女/黒い星/金の湯/ひとまず布を海老人間の下半身に巻いておく/南無海老人間地蔵/海老人間を出し物小屋で見せたら大金持ちになれるかもしれないという考えがふとよぎる/金など死後には持っていけないのに?/そうなのだ別れた女と行った猫カフェの猫は全然懐かなかったのだ/ぜんぶ終わりだ/僕は泡を吹いて気絶する海老人間を優しく撫でる/海老人間には海老のパワーも女の愛嬌もなかった/僕は愛妾のことを下半身ではなく上半身ないしは思考回路の部分を愛していたことがよくわかった/そしてわかったところで何にもならないことがわかった/海老人間には強力なバネも強靭な精神も毒っ気の効いたエスプリも何も残ってなかった/海老人間は覚醒してから一昔前の女性がするようにずっとメソメソしている/おやペディキュアがいつもより赫いじゃないか/愛妾の美しい足は健在だった/僕は何をトチ狂ったのか海老人間に襲いかかっている/宇宙は広大だ/海老人間はハサミを振り回して抵抗する/僕は海老人間の性器に自分の性器を挿入しようとがんばる/海老人間もがんばれ/海老人間はハサミを僕の首に当てがった/僕はごめなさいと言う/首に当てがった部分から血が滴り落ちる/間一髪助かったが海老人間と僕は主客転倒し僕が今度は彼女の言うことを全部聞く側に回った/海老人間は焼きそばパンを買ってきてくださいと言った/僕は駆け足で購買部に焼きそばパンを買いに行く/宇宙の粒/購買部の店員は大きな烏賊だった/焼きそばパンをくださいと僕はお願いする/振り子の原理/罪状と神罰/相対性理論/大きな焼きそばパンが超音速で地球に衝突する/ボカーン!(了)

は?

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