すゞめの記録

好きなものは、スズメと心理学と合氣道。 不定期ですが少しずつ、日常のどうでもいいような…

すゞめの記録

好きなものは、スズメと心理学と合氣道。 不定期ですが少しずつ、日常のどうでもいいような考え事と、たまに小説の読書記録を投稿しようと思っています。

最近の記事

戯言_230413

痛みはない。 しかし、痒みはある。 辛くはない。 しかし、苦みはある。 取り立て後悔があるわけでも、不安があるわけでもない。 ただ、現在にいることに関する違和感だけ、ある。 もちろん私とて、何もせず二十余年生きてきた訳ではない。色々の違和感を知っている。 Tシャツを前後逆に着ていたときの違和感とか。 部屋に忘れ物をして妙に荷物が軽かったときの違和感とか。 普段より早く学校から帰ったときの違和感とか。 親がテレワークで家にいたことの違和感とか。 違和感というものは、な

    • くぐる、っていいよね

      今日も私は、くぐる。 玄関口を、くぐる。 橋の下を、くぐる。 暖簾を、くぐる。 何かをくぐるたびに、自分がどこか生まれ変わった気がするのは、気のせいだろうか。 どこでもドア。 国民的漫画 (アニメ)、『ドラえもん』に登場する、おそらく最も有名な秘密道具の一つである。 桃色のドアをあけると、どこでも好きな場所へつながっているという、アレだ。 この、どこでもドアについて、怖い話を聞いたことがある。 あのドアをくぐった者は、分子レベルで分解されて、ドアの先でそのコピーが生成

      • サンダル

        最近、足の爪を切り忘れる。 頻度で言えば、手指の爪を3回切ったうち、2回は足の爪を切り忘れている。 当然、手指の爪を切りたい長さの3倍くらいまで伸びてしまって、親指なんか、菜切り包丁みたいな感じになってる。大根とか切れそう。 何故忘れるのか? まず手指の爪だが、大抵視界の範囲に収まっているし、真冬の外でもない限り服に覆われることも無い。痒いところを掻いたりするので、伸びると異変にすぐ気づく。 しかし足の爪はどうだ。 まず前屈しなければ視界に入らない。 前屈なんて、好

        • 子供のままでいたいね。

          「尻が青い」という言葉を、皆さまはご存じだろうか? 試しにググってWeblio辞書様を見ると、「まだ若く未熟であること」という意味である。 ではなぜ、若くて未熟だと尻が青いのか? これは、幼児の仙椎 (簡単に言えば尻の中心上部の骨) の皮膚に見られる、薄青い斑に由来する。 蒙古斑は通常、3~5歳で消失する。 だから、「尻が青い」=「若くて未熟」ということになる。 ここまでは、自分にも昔あったとかで、何となく知っている方も多いと思う。 では、この蒙古斑、大人になっても

          文字ももじもじ 『文字渦』

          昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい p.140 「ゲシュタルト崩壊」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。 おそらく多くの人がご存じのことと思う。同じ文字をずっと見つめていると、「あれ、こんな文字だったっけ?」となる、アレだ。 (ちなみに「ゲシュタルト (Gestalt)」とはドイツ語で、「形態」や「まとまり」といった意味。つまり形のまとまりがバラバラになってしまうのが「ゲシュタルト崩壊」というわけだ) 試しに、「を」という文字で体験してみよう。下の文

          文字ももじもじ 『文字渦』

          一握りの希望 『カード師』感想

          小さい頃、カードをめくるのが怖かった。 正体を隠し裏向きで並ぶカード達は、無数の他人のようだった。ふれようと近づけた僕の指は手前で止まり、いつも宙で悩んだ。 p.7  中村文則 著『カード師』は、この印象的な一節で始まる。  学生の私は収入に乏しく、普段なら本は文庫か、中古のものを買う。しかし書店でこの一節を目にした途端、手放せなくなってしまった。  どこかでこんな風に、気持ちを代弁してくれる人を探していたのかもしれない。  世の中が、あまりにも怖かったから。  202

          一握りの希望 『カード師』感想