見出し画像

〈読書メモ〉カラフル/森絵都

〈あらすじ〉

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」 生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。 
自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。 ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。 
学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。
 絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。 ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変っていく。
 モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくるーー。 
高校生が選んだ読みたい文庫ナンバー1。累計100万部突破の大人も泣ける不朽の名作青春小説。

〈感想〉

何年経っても何かと売り場の目に入るところに必ずいる黄色い表紙。読書感想文の「オススメの本一覧」にも常連だし、秋の読書週間特集になると中高生向けジャンルの最初の3冊の中に挙げられる。
それだけ大々的にアピールされると「あぁ、もうわかったよ。あなたはそんなに有名でみんなから読まれているんでしょ」と手にも取らず口先で反論し意識的に避けていた。
そんなプチ反抗から月日が経ち社会人。埼玉の大きな本屋でその鮮やかな黄色と再開した。その時対面した本は帯がかかっておらず純粋な姿を見れたような気がして嬉しくなって、気が付いたら家に連れて帰った。

読みはじめは「家政夫のミタ」「美丘」「家族ゲーム」と言ったいかにもなファミリーストーリーにファンタジー要素が少々といった作風か…読みきれるかな?と素直に読み進めることができなかった。
しかし話が進むうちにこの作品の凄さと直面する。
この作品の登場人物全員良い人で終わらない。

話が盛り上がるにつれて主人公の満や彼の周囲の人の暗い一面が出てくる。
いつも笑顔でいるあの人も、無口でクールなその人も皆持ってる醜い欲望がありありと書かれていて、逆に清々しい。
だんだんページを捲る速度が早まった。同時に最後の展開を察したけど(ほぼ正解だった)それでも結末はきちんと読みたい!と満と向き合うことを決意。
最後の文字を見届けた瞬間、私も満に助けられた人間の1人になっていた。

この記事が参加している募集

スキしてみて

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?