今年(2022年)にやったゲーム【前編】

 めちゃくちゃ偏ってますがやりたかったのでやります。
 まえがき→あらすじ→感想の順に語る構成にしています。ネタバレは基本ありません。

・ベーコン・ザ・ゲーム



<まえがき>
 突如TLに出現した謎のゲーム。もう200ステージ以上はやったのになんでこの謎の掌がベーコンを運んでくるのか、なんでフライパンがベーコンを打ち上げているのか分からないんですが……

<あらすじ>
 省略

<感想>
 運ばれてくるベーコンを投げる。このゲームはつまるところその繰り返しであり、ゲームとしてはかのピンポールやスペースインベーダーと比べてもシンプルに仕上がっています。しかし物理エンジンに忠実にブンブンと跳ねるベーコンを意のままに操るのは極めて難しく、しかしそれゆえにこのゲームは奥深いのです。
 無造作に突き出される掌。そこから伸びる指。それはしっかりベーコンを保持しているものの、制御しているとは言い難く、指の中でもすでに暴れ回っています。リリースタイミングが任意でなければ、恐らくこれを打ち上げるのは不可能に近いでしょう。しかしこの要素はしっかりとゲーム性の向上に寄与しており、リリースタイミングの如何がその後のベーコン・コントロールを左右する重要な要素となっているのです。
 またリリースタイミングを制御した後には、プレイヤーの擬似的な指であるフライパンの制御が待っています。ここはこのゲームで最も自由に制御できる部分ですが、それゆえ最も慎重に制御しなければなりません。長押ししてベーコンの勢いを殺したり、ベーコンが指の中で伸び切ったタイミングを見計らって勢いを殺さずに前方に打ち出してみたり、できることは無限にあるように思われます。
 そうした緻密な試行と、次は獲物に乗るはずだ、という祈りが合わさったとき、画面上のフライパンには本来存在しない、しかし確かにそこにある「重み」が生まれます。ベーコンの重み。それを打ち出す重み。フライパンが跳ね、そして定位置に戻るときの重み。恐らくこのゲームの快感とはそこにあり、そのことがこのゲームを唯一無二にしているのではないでしょうか。

・メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティー



<まえがき>
 ステルスゲームの金字塔、メタルギアソリッドシリーズの二作目。発売当時はあまり評判が芳しくなかったそうですが、昨今だとわりとデジタル社会への洞察が評価されていたり。実際、「予言」としての正確性はかなりものであるように思います。テーマの雰囲気は『マトリックス・リローデッド』っぽいかも?

<あらすじ>
 ニューヨーク、マンハッタン。核搭載型二足歩行戦車「メタルギア」根絶を掲げるNPOに所属する伝説の兵士、ソリッド・スネークは、新型メタルギアを乗せた海軍のタンカーに潜入し、その証拠を掴もうとする。だがタンカーはすでにテロリストに占拠されており、スネークはこれと交戦。なんとか退けメタルギアにたどり着くものの、因縁の敵にこれを奪われた挙句、タンカーとともに沈められてしまう。
 時は経ち2年後。かつてタンカーの沈んだマンハッタンに建造された汚染水処理プラントが「ソリッド・スネーク」を名乗るテロリストに占拠された。特殊部隊FOXHOUND所属の次世代型兵士「雷電」は、テロリストの武装解除と人質の救出との任務を受け、プラントへ侵入する。
 刻々と変わりゆく敵。2年前に死んだはずのスネークを騙るテロリストの謎。そして──どこか既視感の拭えない事態の数々。そうした状況に翻弄されていくうち、雷電はプラントの、そしてこの国の「真実」と対面することになる。

<感想>
 まず触れるべきは、そのゲーム性の高さでしょう。
 操作感が非常によく、前作と比べ(僕は前作たるMGS1はこの後にやったのだけど)主観射撃が実装されたことで遥かに爽快感のあるゲームに生まれ変わった感があります。また前作という話をするなら、前作では敵兵士に対してこちらがとれる行動は「殺傷」か「気絶」かの二択だったのが、今作では「麻酔」や「引きずり」、「ホールドアップ」など、大幅に増えています。しかしそのことはむしろ戦闘に緊迫感を増させる要素になっているように思います。「殺さない」という選択肢が多様化したことでプレイヤーはかえって敵を殺すことに抵抗感を覚えるようになり(銃を撃ち合うゲームなのに!)、そのことがこのゲームを「ステルスゲーム」として完成させているのだ、と。忍ぶことの快感が、ゲーム内の仮想の殺戮に優越するゲーム体験。それこそがステルスゲームがステルスゲームたる由縁ではないでしょうか。
 さてそれではテーマの方に。
 21世紀において、支配はいかなる形で現れるのか。そのことについて、SFは──特にディストピアの構築を試みた作品たちは──真摯に向き合ってきました。
 『われら』や『素晴らしい新世界』はそうしたディストピア小説の代表格であり、特に後者の作品において現れた「人工孵化」によって誕生した人間たち、という新たな生命、人間社会のモデルは、それ自体戦慄を禁じ得ない速度で現実になりつつあるようにみえます。
 そんな中で、デジタルの魔法を手に入れた社会には、世界には、どのような支配が現れるのか。そのことに、この作品は極めて真摯に向き合います。
 しかしそんな「予言」としての魅力以上に、この作品は「ゲーム」それ自体のメタフィクションとしても成立しています。
 ゲームであること。ゲームでなにごとかを物語ること。その真髄がここにあります。

・メタルギアソリッド3 スネークイーター


<まえがき>
 ステルスゲームの金字塔、メタルギアソリッドシリーズの三作目。本作を最高傑作に挙げるファンも多く、この作品を愛するがあまり作中のアイテムである猿(ピボサル)の面を被り続けながら永遠に変態じみたスーパープレイを繰り返しているプレイヤーも存在しているほど。
 シリーズ初の3Dゲームで、レーダーが廃止されたこともあり、かなり難しかった印象があります。ただゲーム性はめちゃくちゃ高い。

<あらすじ>
 時は1964年。冷戦と呼ばれた時代の真っ只中。アメリカの特殊部隊、FOXの隊員であるスネーク(ネイキッド・スネーク)は、ソ連領内に単独潜入し、亡命を希望する技術者、ソコロフを回収する任務を負っていた。
 バーチャスミッション。そう呼ばれたその任務はしかし、失敗に終わる。スネークの最愛の師匠、特殊部隊の母であり伝説の兵士でもあるザ・ボスの裏切りによって。彼女の持ち出した核ミサイル、デイビークロケットの撃発によって立ち上るキノコ雲を前に、スネークは立ち尽くす。
 バーチャスミッションに失敗したスネークは、ザ・ボスの意思とアメリカの意思に何ら一致がないことの証明、潔白の証明のために、ある任務を仰せつかる。それはザ・ボスを抹殺すること。最愛の師匠を、自らの手で殺めることだった。
 苦悩しながらも、スネークは再びソ連領内に侵入し、奥へと進んでいく。
 スネークイーター作戦。蛇を喰らう蛇は、確実に、その破局の運命に向かって進んでいた。

<感想>
 ゲーム性については、MGS2の感想ですでに述べた要素がさらに強化されていた、という印象です。自由度が高く、緊迫感と爽快感が同居しており、忍ぶことが何よりの快感になっている、という。
 またスタミナゲージの導入により、このゲームには野生動物を捕獲し食すという楽しみも生まれています。蛇は美味い。
 ストーリーはかつてないほど重厚であり、ネタバレなしに語るのは難しいのですが、ザ・ボスの生き様が、それを殺さなければならないという苦悩が、ゲーム内のスネークを超えてこちらにも伝わってくる素晴らしい作品です。
 小ネタを拾っているとキリがないので割愛。いつかまとめたい……

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