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めぐりめぐってあなたに伝わるといいな

私は恩を受けた場合に本人に必ず直接恩を返すと決めていました。なぜなら、自分がこれまで人生で最大の恩を受けたと思っている人に対して、きちんとお礼を言わずに会えなくなってしまったという経験があるからです。

私はそのことを心から悔いていました。思い返しては苦しむくらいでした。それくらいに私は心を救われたのです。それ以来私は何かしら誰かに嬉しいと感じることをしてもらった場合には返すことにしました。

恩を受けたと思ったら返す――それが一番いい方法だと信じていました。


「サポート」という挑戦

この考えが変わったのは最近のことです。私はすごいと思ったクリエイターさんに思い切ってサポートをしてみるというチャレンジをしました。

それまでサポートのやり方がわからず、また支払方法に不安のあった私はそのことを選んできませんでした。けれども試しにやってみたら思ったよりも簡単にできて、晴れて初めてのサポートというものが成立しました。

やっと念願のサポート機能を試すことのできた私はとても嬉しくなりました。これまで自分がもらっていたものを、やっと他の方に渡せたような気がしたからです。

私はこれまで何回かサポートして頂いた経験がありました。そのたびに心から感謝してお礼のメッセージを送ってきたのですが、長い間サポートへと踏み切れなかった私には、どこか複雑な心境がありました。


恩送りで善意は循環する

私は今回のことがあってようやく「ああ、これでいいんだ」と思えました。自分が受けた恩を全て本人に返せない場合、その恩を他の人へと渡す恩送りという言葉があることは知っていました。

そしてほとんどの場合、恩返しよりも恩送りの方が推奨されるということも。恩を受けると恩を返したいという気持ちが生まれるのは当然のことですが、この恩送りとは他の人へとそれを渡すことで善意の循環が起こるという考え方です。

これからも私はできる範囲で恩返しをしていくと思います。けれども、恩送りという方法も取り入れて使っていきたいと思いました。

受けた恩は心の中に爽やかな風を吹かせます。思い返せばそのたびに暖かい気持ちを呼び起こしてくれます。その気持ちを自分も誰かに与えられないかと思い、私は自分からもいろんなことをしてきました。


他の人に優しくする理由

一方、恩送りは自分から与えるのとはまた違った行動だと思っています。自分から与えるというのは「ギブ」である場合もありますが、私の場合親しい間柄ではしばしば見返りを求めた行動になりがちです。そうして「いつもこうしているのにしてくれない」と勝手に不満に思ったりもしてしまいます。

見返りを求めている時点で何かずれてしまっていることを知っていながらも、なかなかそんな期待感をなくすことができません。きっと、これは甘えでもあるのでしょう。その他の関係性だとならないことが、親しい間柄では起こってしまいます。恩返しという概念が通用しなくなってしまうのです。

それを解消するのではないかと思うのが、「困ったときはお互い様だから」と他の方を助けることです。見返りを持たない相手に優しくしてみると、回りまわって他の人からその思いが返ってきたりします。

この考え方こそが、実際に優しくされたことのない人に対しても優しくしようと思う原動力になるのではないかと思うのです。自分がしてもらったことがあるから、同じようなことがあったときに他の人にも与えようとします。感謝されるから、また親切にしようと考えます。

こうして善意の循環が起こっていきます。もちろん、自分がされたことがなくても誰かを助けるために自ら動く人もいます。そういう方は「ギバー」と呼ばれ、世の中を良くしていくためにとても必要な人だといいます。


心に灯る明かりを使おう

それでも、心に余裕のないときのあるので毎回はできないのも事実です。そうして返せなかったままの思いが胸にくすぶってしまったりします。ちなみに基本的には家で過ごしていて、めったに出かけない私は外出した場合に人の暖かさで感動することが多いです。

例えば、買い物をしていてサブバックをレジ台に出したままに財布にお金を入れているとき、店員さんが気を利かせて商品を詰めてくれたりします。早く済ませなければと焦っているので、とても嬉しくなります。

他の人と違って買い物し慣れていないので、どうしても片づけるのにもたもたしてしまいます。もちろんお礼を言って店を後にしますが、そのときに灯った心の明かりを何かに使えないかと感じます。

そんなときにどうしたらいいのでしょうか。直接できることはしました。それども私の胸にはまだ感謝の気持ちがあります。こういうときに恩送りを選ぶこともできると気付きました。


小さなことからでも何かできないかということを考えてみます。電車でお年寄りや具合の悪そうな方に席を譲ること、困っていそうな方に声をかけることなど、いくつか思いつくことができました。

こういうことを積み重ねていくことで少しずつ世の中が変わっていくのかもしれないと思いました。そしていつか、あの人にも届いてほしい――そう願っています。


ここまで読んで下さってありがとうございました。




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