山本清流

小説を書いてます。23歳。男。小説を100冊書くことを人生の目標にしています。

山本清流

小説を書いてます。23歳。男。小説を100冊書くことを人生の目標にしています。

マガジン

  • 拷問投票

    SF長編小説。二十年後の日本、凶悪犯への厳罰化を求める世論に流され、一部の犯罪者を合法的に拷問することができる拷問投票制度が存在していた。残虐なレイプ殺人事件で娘を失った高橋実は、犯人を拷問するため、立ち上がる。正義の行使のため、壮大な政治ゲームが幕を開ける。

  • 日記

    山本清流の日記です。日記の内容としては、範囲を限定しないつもり。限定したとしても、例外が絶対に出てくるから、あらかじめルールはつくらない。そのとき、書きたいことを書く。

  • 濁流怪異譚

    短めの怪談、奇談。

  • 小説の書き方事典

    覚え書きです。小説の書き方に関するノウハウや、小説に関して個人的に考えたことなどをまとめています。(※小説執筆講座のようなものではありません。参考程度に)

  • 道徳二元論

    道徳・正義についての個人的な思索を講義形式にしてまとめました。(わかりやすく書いているので、気軽に読んでいただけると思います)それ以外にも、個人的に考えたことなどを『番外編』として、ここに投稿していきます。分類としては、エッセイだと思います。

最近の記事

  • 固定された記事

【宣言】人生の目標は100冊書くことです。

 こんにちは、山本清流です。  今日、ベッドメイクをしているときに、そういえば、人生に目標がないなぁー、と気づきました。  なんで目標がなくなっているのか、と考えてみたのですが、  おそらく、変わった生き方をするために開き直ったせいではないか、と結論しました。  僕は、中学生のときに一時的に不登校になってからのこと、  みんながなんとなくイメージしているレールの上を進むことができなくなりました。  とてつもなく、しんどいからです。  小説を書く「しんどさ」が5だ

    • ◯拷問投票279【第四章 〜反対と賛成〜】

       ぱらぱらと人がいるだけの、小さな駅だった。プラットホームへと向かうエスカレーターは故障中だったので、踏ん張りながら階段を上った。  出ると、もう真夜中だった。  排気ガスのような雲の大群に覆われた空は、余計に暗い。  それらは雨雲だった。槍のように降ってくる重たい雨粒はあらゆるものを勢いよく叩いている。ばちゃばちゃばちゃ、と、この世のすべての楽器を同時に奏でたような混沌の旋律を生み出していた。遠くには闇夜に浮かび上がる新宿のビル街があった。無数の雨粒がモザイクをかけている。

      • ◯拷問投票278【第四章 〜反対と賛成〜】

         毎日、いろんな人が首を吊って死んでいった。ネット上では一瞬のうちに拷問への賛成票が集まり、耐え難い精神的な拷問が非合法に繰りかえされた。死んだあとになって、実はあの情報は間違いだったんです、となることもあった。誹謗中傷をしてしまった人たちが糾弾されて、やっぱり死んでいった。  言葉が、人を殺す。  間違った言葉も、正しい言葉も。  弁解の言葉も、魂の叫びも、義憤に満ちた言葉も、人を殺す。  ネット社会は、お互いに殺されそうになって殺しあいながら、どっちが正しい殺人なのかにつ

        • 【第四回山本清流賞】小林泰三『玩具修理者』に決定。

           さあ、始まりました。  山本清流賞とは、小説家を目指している山本清流が、小説を批評する力をつけるために、直近の一ヶ月で読んだ小説を対象に、選考委員になったつもりで、ああだこうだと批評し、おすすめの受賞作を選ぶ賞です。  今年に入ってから始めたのですが、これが楽しい。  読むだけじゃなくて、読んだあとにあーだこーだ言うところまでが、小説の面白さなのかもしれません。  今回は、4月に読んだ小説が対象となります。もちろん、今回も、自分のことは棚に上げてます。  厳正なる

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        【宣言】人生の目標は100冊書くことです。

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        • 拷問投票
          280本
        • 日記
          255本
        • 濁流怪異譚
          4本
        • 小説の書き方事典
          56本
        • 道徳二元論
          12本
        • 【ゲームブック小説】眼球の点滅
          7本

        記事

          ◯拷問投票277【第四章 〜反対と賛成〜】

                ※  あの日、人気のない工場地帯で、ふたりは出会った。悲惨な出会い方だった。理子は見知らぬ男に強姦され、バイト帰りの佐藤は咄嗟に警察を呼ぶ振りをした。犯人は逃げ、誰もいない倉庫の傍らに、ふたり残された。彼女の名前を聞くことはなかったし、佐藤も自ら名乗ることはなかった。またどこかで会う気もなかった。というより、佐藤としても、会いたくなかった。  なにも見なかったことにしたかった。 佐藤は、たしかに、心の中で告げた。こっちから深入りすることはないから、この問題はそ

          ◯拷問投票277【第四章 〜反対と賛成〜】

          ◯拷問投票276【第四章 〜反対と賛成〜】

           また玄関まで戻ってきて、佐藤は、ふたたび固まった。なにがあったのか、おぼろげながら、わかる。でも、どこにいるかはわからない。警察に相談したところで、動いてくれるとは思えない。理子はほとんど外出しないから、どこに出かけたのか、見当もつかない。というか、見当などつくはずもないのだ。  いったい、どうすれば……。  絶望に染まって無気力になりそうな身体をなんとか支えながら、考えて、考えて、その甲斐あって、いまやるべきことを見つけた。  佐藤は、その場で、スマホを取り出した。万一の

          ◯拷問投票276【第四章 〜反対と賛成〜】

          【人類滅亡論】理屈として。

           ※個人の考えです。洗脳されないでください。  人類が絶滅するべきであるという考えは実は簡単な理屈で成り立っており、  なにか難しい哲学を必要とするわけではありません。  それは、存在することによって得られるものと、存在することによって被るものを比較したときに、後者のほうが多いからです。  たとえ話をしましょう。  いま、ここに大きな道路があるとします。  そこには歩道橋がかかっており、子供たちは歩道橋を渡って通学します。  そこに歩道橋が導入されたのは、数年前

          【人類滅亡論】理屈として。

          ◯拷問投票275【第四章 〜反対と賛成〜】

           映画のセットのような繁華街を通ったときには、いくつもの人型ロボットの残骸が道端に放置されているのが見えた。バットで殴られたのか、頭部が陥没し、首が百八十度、回転しているものもあった。その周りには、複数の警察官が屈みこんでいた。警察官のひとりはデジカメのレンズをロボットに向けている。器物損壊罪として取り上げるつもりなのだろうか。  ロボット狩り。  その爪痕を実際に見てしまうと、フィクションが現実化したような不思議な感覚に襲われる。夢を見ている気もしてくるが、その感覚の増幅に

          ◯拷問投票275【第四章 〜反対と賛成〜】

          【人類滅亡論】出産制限は導入可能か。

           こんにちは、山本清流です。  そういえば、国会では、日本版DBS法案が議論されているらしいですね。  性犯罪歴のある人物を教育現場から排除するような感じの制度です。  僕は人間を見極める力が弱いのか、あまり気づかなかったのですが、  同級生の友達から「あの先生はロリだった」とか、「あの先生は、媚びると成績が良くなるという噂だった」とか、あとから聞いたことがあります。  どれくらいの割合かは知らないけど、性的な意味で子供が好きだから教師をやっている人も多くいるのでし

          【人類滅亡論】出産制限は導入可能か。

          ◯拷問投票274【第四章 〜反対と賛成〜】

           まだ序の口かもしれない。佐藤には、もっと恐れていることがあった。少し躊躇いながらも読み進めていく。 『サイバー防衛隊の活躍により午後二時ごろまでにはすべてのハッキングは解除されましたが、混乱の中、ロボットに間違われるなどして、少なくとも十二名の男女の死亡が確認されています』  これだ。まさにこれが佐藤の恐れていたニュースだった。一瞬のうちにショックが倍に膨らんでしまう。佐藤は、気合を入れて、記事の残りを勢いで読んでいった。 『なお、SNS上ではフェイクニュースがあふれるなど

          ◯拷問投票274【第四章 〜反対と賛成〜】

          【人類滅亡論】「親のために子供をつくる」は倫理的に許容されるか?

           こんにちは、山本清流です。  今日は、よく耳にする「親を喜ばせるために子供をつくる」という動機が倫理的に許容されるのかどうかについて考えていました。  もちろん、親のためだけに子供をつくる人はほとんどいないと思います。  もともと子供が欲しかったが、できれば親が生きているうちに孫の顔を見せてあげたい、という補助的な動機であるケースが多いのではないでしょうか。  そう前提を置いた上で、かりに、親のためという動機が主な動機であった場合、そこに問題はないのか、と提起します

          【人類滅亡論】「親のために子供をつくる」は倫理的に許容されるか?

          ◯拷問投票273【第四章 〜反対と賛成〜】

               ※  すでに夜になり、都会の街はしんとしている。隔離部屋を出てから返してもらったスマホでタクシーを呼んでから、佐藤は、太い歩道の隅に佇んでいる。  東京地裁の玄関口前の路上には、ぱらぱらと人がいるだけだった。報道陣らしき格好の人もいる。裁判所を出る前には、大手新聞社の人から、顔は出さなくてもいいから裁判員として記者会見に出てくれないか、と丁寧に依頼されたが、佐藤はきっぱりと断った。あとはなにもない。ただ真っすぐと帰宅するだけだ。  幸いにも、と言うべきか、東京の街

          ◯拷問投票273【第四章 〜反対と賛成〜】

          【人類滅亡論】500年くらいの計画なら、緩やかに滅亡できるのではないか。

           こんにちは、山本清流です。  今日は、人類を滅亡させることの倫理的問題ではなく、  現実問題として、悲惨な事態を回避して絶滅させるにはどうすればいいか、について考えていました。  なにより、僕の基本方針として、人類が繁殖する限り苦しむ命が消えないという前提から出発して、苦しむ命を救うために子供をつくらず、緩やかに、誰も苦しまず絶滅へと向かうことを目指す、というのがあります。  誰も苦しまず、というのが大事なところです。  そもそも、苦しみから逃げる手段として、子供

          【人類滅亡論】500年くらいの計画なら、緩やかに滅亡できるのではないか。

          ◯拷問投票272【第四章 〜反対と賛成〜】

           納得できない心の中に、この国の制度を試しに一度、壊してしまったほうがいいかもしれない、という考えが浮かんできた。  現実的な案ではない。思い通りにならない苦痛が短絡的に導いてしまった希死念慮と同じようなものか。  長瀬は、幼い心の動きを放置した。  このまま地続きでやることはできない。取返しのつかない罪を犯した人物には相応の制裁を。そんな当然のことすらできないなら、もう、刑法も、刑事訴訟法も、裁判員法も、拷問投票法も、要らない。全部、ゴミだ。この際、司法を乗っ取ってやる。憲

          ◯拷問投票272【第四章 〜反対と賛成〜】

          【人類滅亡論】アダムとイヴの罪とは何か。

           こんにちは、山本清流です。  今回から、僕が唱えている「人類は滅亡すべきである」という仮説を、いろいろな角度から検証してみようと思います。  便宜的に「人類滅亡論」と呼ぶことにしますが、これは「子供を産まない選択をする人を増やしていくことで、人口を減少させ、やがて人類を絶滅させるのが、人類の幸福につながるのではないか」という考え方です。  あくまで個人の考えであり、また政治的な主張をする意図もありません。  洗脳されないように気をつけてください。  あと一応言って

          【人類滅亡論】アダムとイヴの罪とは何か。

          ◯拷問投票271【第四章 〜反対と賛成〜】

           ドキッとして、思わず、息を止めた。現在時刻は、午後八時五分。ディスプレイの上部には『速報』という文字が現れた。心の準備のための時間は与えられなかった。次いで、単刀直入に、『積極的刑罰措置の実施の是非について、反対多数に』という短い文字列がディスプレイを流れていった。  反対多数。  激しい落胆が襲ってくる。  それを嚙み殺そうとすると、苦悶の鼻息が漏れた。  見間違いではない。そこには紛れもなく、『反対多数に』とあった。 「マジですか?」 ライブ中継のときの時差のように不自

          ◯拷問投票271【第四章 〜反対と賛成〜】