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量産型瓦そば、大地に立つ

山口県の美味しい料理、瓦そば

いきなりだけれど山口県のめちゃうま料理に「瓦そば」というものがあります。

熱した瓦の上に、茶そば、錦糸卵、甘辛い味付けの牛肉を載せた料理で、少し昔の話になるけれど、星野源さんと新垣結衣さんの結婚のきっかけになったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の作中で二人が作っていたりもする。

私は地元が福岡県で、山口県のお隣に位置していることもあり、ホットプレートで作って食べたり、実家に帰った帰りの新幹線の駅で瓦そばセット的なものを買って、家で食べることもある。

家で作った瓦そば

瓦そばは、熱した茶そばの風味と、ややパリパリになっている蕎麦の食感、牛肉と錦糸卵のコクと麺つゆの美味しさが相まって何とも美味しい。

けれど、地元(山口・福岡近辺)を離れてしまうと実は作るのにハードルが高い料理でもある。

茶そば…なかなか売ってる所がない
牛肉…高い
錦糸卵…作るのがめんどくさい

というわけで、瓦そばは「時たまよりも遠い頻度で食べれる幻の料理」となっていた。

でもこの間、久しぶりに地元のパン屋さんのパンを食べた時に、私は思ったのです。

地元のパンことシロヤのサニーパン。滅茶苦茶うまい。

「食べたいときに、地元の料理食べたい」

と。

★量産型瓦そばを作る★

さて、世の中には「量産型」という言葉があります。

オリジナルのクオリティを少し落とす代わりに、よりお手頃に手に入りやすくしたという意味で使われるこの言葉。私は某ロボットアニメが大好きなのですが、この「量産型」が着く機体は、オリジナルの機体には到底及ばないものの、玄人好みの活躍をしたりしています。

そもそも世の中の色々なものは量産が出来るからこそそのありがたさを享受できるわけでもあるわけで。

となると、

瓦そばが食べたい!けど材料に様々な問題がある!そもそも熱した瓦が用意できない!

となった時、

量産型瓦そばなら何とか作れるんじゃない?

と思ったのですね。

その思いを胸に用意した材料がこちら。

まず、茶そばは普通の蕎麦に変更。これなら日本中どこでも手に入れることが出来ます。

そして牛肉はやっぱりお高いので、より手ごろな値段で出に入る豚肉に変更。この日は100グラム98円でした。

ねぎは本来は薬味に使われるような細いネギを使いますが、今回は白ネギを使います。何故ならその方が安いから。

唯一卵はオリジナル瓦そばと一緒ですが、ちょっと作り方を変更予定。

というわけで調理開始。

まずは卵。本来であれば錦糸卵を作るのですが、「薄い卵焼きを作るのが難しい」「その後に細かく切るのが手間」ということで、今回はスクランブルエッグ風に。失敗しにくい(誰でも扱える)という意味でも量産型っぽさがありますね。

スクランブルエッグを別皿に映したら、今度は豚肉を焼き始めます。後で味付けをするので、特に何も考えずに焼いて大丈夫です。

そしてここにネギを投入。オリジナル瓦そばでは生のまま食べるネギ(しかも薬味様に細かい)ですが、白ネギを生で食べると辛さの方が際立つのと、ネギの香ばしさを出す意味でも、先に火を通しておきます。

これに塩かけるだけでも美味しい。

そしてここに、麺つゆをどばっとかけます。

オリジナル瓦そばでも牛肉を甘辛く煮つけるのですが、オリジナルはさらに、それをそばと一緒に麺つゆにつけて食べます。

今回は麺つゆを希釈しないことで味を濃いめにし、「麺つゆにつけてから食べる」という手間を省くことにしました。

なんか豚丼っぽい。

これを再び別皿に盛り、フライパンをさっと拭いてから少量の油をひき、いよいよ、そばを熱します。瓦そばのうまさのひとつが

パリッパリに焼けたそば

なので、あえて派手に混ぜるようなことはせずじっくりと焼いていきます。ここがこの料理の最大かつ必須のポイントかもしれない。

そばの底面が焼けたら、まずはそばを皿に盛り

その上からスクランブルエッグ、甘辛く焼いた豚肉とネギ、そして瓦そばとしての見た目を高める「レモン」と「柚子胡椒」を載せます(たまたま家にあったのでのせましたが、ここら辺はなければないでいいと思います)

完成!量産型瓦そば

アッツアツの所をさっそく食べます!逃げ恥で星野源も眼鏡を曇らせてましたしね!あの二人、あの時点で人間関係もアッツアツだったのかもね!(言わずにいられなかった人)

濃いめの味付けにしてるので麺つゆにはつけずにそのまま食べます

月並みな表現で申し訳ございませんが

おいしーーーーい!

もちろん本家の瓦そばに比べると、口に入れた時にふわっと漂う茶そばのお茶の風味や、牛肉の持つ力強さなどはないけれど、豚肉の甘辛い味と蕎麦の組み合わせは本家に劣らないおいしさ。そして錦糸卵でなくスクランブルエッグでも十分美味しい!

そしてなんといってもパリパリになった蕎麦のおいしさがたまりません。日本人的にどうしても蕎麦は「茹でて食べるもの」というイメージがありますが、この「焼いた蕎麦」はもっと広まってもいいんじゃないか?と思えるくらいの説得力がある美味しさです。

ピントが合っていませんがこのパリパリがうまいのよ

大成功を収めた「量産型瓦そば」

もちろん一番おいしいのは、本場山口に行ってオリジナル瓦そばを食べることだと思いますが、「食べたい!けど山口遠い!材料や通販ちょっと高い!」となりがちな時、この量産型瓦そばを食べることで、その思いを少し満たせることが可能となります。是非お試しください。

私は次回作「量産型萩の月」のローンチに向けてレシピを研究しようと思います。ではでは。



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