「け」 ケーキには罪悪感を添えて

ケーキが好きだ。

家の近くに空きテナントが出るたびに「ここにおいしいケーキ屋さんかおいしい居酒屋が入ればいいのになぁ」と思う。

東京にいたときには、雑誌片手においしいケーキ屋さんを巡り歩くということが好きだった。男がこういうのを一人でやるのには割と勇気がいるので、そういう時は大抵女の子を誘っていく。デートもできて、おいしいケーキも食べれて、僕みたいなモテない人生を送った人間には一石二鳥と言うやつだ。男性諸君は、自分の「必殺のケーキ屋」と言うものを持っておくと、女性との会話も弾むので覚えておくといい。

ケーキと言ってもいろいろあるけれど、やっぱり好きなのはデコレーションケーキだ。シフォンケーキやチーズケーキも好きなのだけれど、生クリームがたっぷし使われたケーキのほうが、食べごたえもあるし、「あー、今甘いもの食べてるなぁ俺」と思わさせてくれる。カロリーその他もろもろの背徳感が味わえるのも、このデコレーションケーキが一番なのではないだろうか。

好きだ、というからにはやっぱりこだわりもある。

あくまで個人的な意見なのだけれど、数多くの種類が載っている、いわゆるフルーツケーキと言うものはあまり好きではない。キウイもブドウも苺もオレンジも全部載ってます!というケーキは食べていてケーキに集中できない感じがある。

ついでに言えば、ブドウを皮のまま乗っけているケーキが時たまあるのだけど、個人的にはあまりよくない。どう頑張ってもケーキを食べる動作に「あんまり人に見せたくない動作(皮や種を吐き出す)」が混じってしまうような気がするのだ。

というわけで、なるべく一種類の果物だけで作られているケーキのほうが、ケーキを純粋に楽しむことができると思う。チョコケーキとかでも時たま上に苺が載っているものがあるけど、あれもいらない。でもオペラみたいに、複数の材料が使われたチョコケーキみたいなのは大好物だ。

あと、最近増えている、野菜を使ったケーキ、というのもあまり好きではない。

「まるでフルーツみたいに甘いトマトを使ったショートケーキ!」

という宣伝と共に売り出されることがあるけれど、フルーツ「みたいに」と名付けた時点で、それはフルーツの代用品にしかならない。

「ほうれんそうのペーストを混ぜ込んだスポンジで作ったヘルシーなケーキ!」

として緑色のデコレーションケーキが出てくることがあるが、ケークサレ(塩味のケーキで、おつまみに近い感覚)にした方がいいような気がする。

ケーキとはやっぱり、甘みたっぷし、コクたっぷし、クリームたっぷしで罪悪感がチクチクするくらいが調度いい。

最近気づいたことなのだけれど、ケーキに合う飲み物って、紅茶かコーヒーか、という具合になりそうだが、案外緑茶もあう。時に、苺のタルトなんかには絶妙にあったりするので、最近は緑茶でケーキを食べたりする。同じように、和菓子の材料にも使われているくらいなんだから、モンブランにも緑茶は合うかもしれない。

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