見出し画像

アニュアルレポート | 2024年3月現在の定点観測


プロフィール | BAUM

生態学 学部・修士 → 経営コンサル → 国際自然保護NGO。
生物多様性保全に関わりたい。サステナブルな社会作りに向け、2020年に#MendItMine というサステナブルファッションムーブメントを立上げた。
インドにハマっている。

今年の総評

随分自由に過ごした一年。そして、かつて起こしたいと願った変化が訪れた一年。インドで強烈な価値観の変化を経験した一年。

一年間のハイライトTOP3

①3か国に住んだ:日本・インド・オランダでの生活
②仕事を変えた:自然保護を仕事にする
③時間がたくさんできた

①3か国に住んだ:日本・インド・オランダでの生活

私は9か月ほどのアメリカへの交換留学を除いては、人生をずっと日本で過ごしてきた。もともと海外への憧れはある程度あったが、どう実現するか、具体的な道筋は見えていなかった。しかし2023年、仕事をしながらも休暇を利用して約10か国を旅したことで、「日本を出たい」という強い思いを抱いた。それは、「日本が嫌」というよりは、「もっと変化がほしい、知らない世界を見てみたい」という理由からだった。
ただ、修士まで東京で取得したばかりで、すぐに別の修士号を海外で取ろうという気にもならず、どうしようかと考えていた中、憧れの環境NGOでの1年短期雇用の話が舞い込む。それも海外をフィールドにして。すぐに飛び乗り、行きついた先は半年がインド、次の半年がオランダ、ということだった。2023年7月~12月まではインドで働き、2024年2月からはオランダで働いている。

②仕事を変えた:自然保護を仕事にする

昔から自然保護の仕事をすることが夢だった。しかし、自然保護はなかなか仕事を見つけにくいこともあり、新卒からというわけにはいかなかった。ただ、それでも色々な人に相談して探し続けていた結果、たまたま有名自然保護NGOでの短期契約のポジションが見つかったのである。
仕事を始めて、自分のやりたいことをできる有難さを噛みしめた。自分の時間を意味のないことに使っているという感覚がなくなって、やりがいを感じられた。また、実際の自然保護の業界内に入って、その広さも実感した。どの業界にも言えるだろうが、外から見ていてはわからない深さがある。必ずしも新聞に取り上げられなくとも、日々様々な動きがあって、様々な専門性を持つ人が働いている。
そしてやっぱりこの業界に残りたいと思った。自分の時間を意味があると信じられることに遣えること、また学んでいて楽しいことに遣えるのは、他に代えがたいと思う。

③時間がたくさんできた

NGOでの仕事を始めてから、基本的には1日8時間以内の労働なので、仕事後や休日に多くの時間ができた。海外に一人で来ていることからも、日本での暮らしほど様々な予定が入ってくることはない。だから、インドではインド古典舞踊やヨガを習ったり、旅行をたくさんしたり、自由にすごした。一方オランダでは気候が性に合っていないのもあり、精神が落ち込み気味になって、あまり積極的になれずにいるけれど、料理をたくさんするようになった。
前職のときはとにかく時間がなくて、いつもいつも「少し立ち止まる時間が欲しい」と思っていた。今は、少なくとも一日の終わりにはいつだって立ち止まる時間があるし、休日「今日は一体何をしよう…」と思ってしまう日もある。それが良いのか悪いのか、わからない。でもこういう時間の過ごし方ができるのも、今だけかなと思って、日々過ごしている。

行動指針

今、この先どうしようかとかなり悩んでいて答えが全く見いだせないので、はっきりとした行動指針は言いにくい。でも、インドでの生活を経て価値観が大きく変わったことは間違いなかった。それは「今与えられているものに最大限感謝し、それを楽しむこと」。
ゴールに向かって頑張るのは素晴らしいし、自分もそういうものをもう少し決めたほうが良いなと思うことも度々ある。けれど、日々の瞬間を幸せと感じられるのならば、必ずしも客観的な高みを目指す必要はないのかなとも思う。毎日が新鮮に思えて、新しい発見があって、それによって自分が活き活きできるのならば、私は希望を持って人生を生きていける気がする。
インドでは何もかもが新鮮で、とにかく発見の毎日だった。新しく試すものはいくらでもあったし、試そうとさえしなくても、毎日に驚きが放り込まれるような暮らしだった。だから、「何を達成するか」よりも、「何を見て、感じて、吸収するか」が私にとっては最優先事項だった。そしてそれによって自分の価値観が大きくアップデートされて、新しい世界の見方ができるようになって、成長している実感を持てた。そしてそういう人生をずっと歩めたら良いなと強く思った。
ある意味それは私にとっての課題だ。これからもずっと住む場所を変え続けることは非現実的だけれど、私はあまりに変化が好きなのだ。変化は怖くないし、嫌でもない。むしろ変化のない暮らしなんてやってられないと思う。でも、人生には何かしらの土台が必要で、私には今それがないし、それをどう築けばよいか、イメージも持てない。

ビジョン

今、具体的なビジョンを言葉にするのは難しい。前は「野生動物が守られる世界に」をビジョンとしていたけれど、自然保護の世界の中に入って、この世界の難しさと複雑さがずっとよくわかるようになったからだ。
唯一言えるのは「自分が正しいと信じることをやる」ということだ。自然保護の世界は、あるいはこの世のどんな活動も、ある時ある視点からは正しいように見えても、将来または別の視点からは完全な正でなくなってしまうことがある。やっぱり私は自分の確信が持てないことに時間を注ぐことはしたくない。小さくても、正しいと思えることに、自分の人生を注ぎたいと思う。

ミッション

こちらも確固としたことは言いにくいけれど、今感じていることが二つある。
一つは、そして自分の言葉で紡いだ物語を持てる人になること。自分の直感を信じて、自分で道を切り開いて、自分で時間を割いて、そしてそこで見えるものを柔軟に吸収してきた人は、面白いし、言葉の中に真理がある。私はそういう風になりたいと思う。人の言うことばかりを聞いていると、自分で深く切り込むのを避けたり、効率を優先しがちになったりする。でも「私はそんな人生は歩みたくない」と直感的に感じる。
二つ目、上記のような人たちと一緒に働き、彼らの声を届くべき場所に届けること。どんなに素晴らしい人だって、一人でできることには限界がある。特に、自分の世界に集中している人ほど、広くそれを届ける余裕がないことがある。私は、そういう人たちの話を聞くことが好きだし、これは自分の感覚だが、そういう人たちと心が繋がりやすい気がする。例えば、自然保護の世界では、フィールドに入り込んで長く活動してきている人がいて、彼らからすれば私の経験や知識は無に等しいのだけれど、それでもなぜか私を信じて、真摯に考えや思いを共有してくれる人がいる。具体的な方法はわからないのだけど、そういった人たちの声を広げる役割を担えたら、私にとっても幸せだな、と思う。

今後の活動

正直、これについて言えることはほぼゼロである。7月で現在の雇用契約が終った先のことは全く見えず、かなり不安もあるのだが、急いで決めたくない、という気持ちがある。自分が正しいと確信を持てないことを、どうしてもやりたくない。だから、もう少し粘って、何か進める道が見えたらと思う。
最近怠惰な私だが、もう少し、発信活動を頑張ろうかな…。今できるのはそのくらいな気がする。インドとオランダで過ごした上で考えたこと、今度共有したいと思います。

日々の小さな発見はこちらのXアカウントにて発信しています。

海外生活経験や、自然に関する研究等を通して培ってきた私なりの視点で、ほっと一息つけるような楽しいエッセイを書いていきたいと思っています。支援いただけましたら、ぜひ活動の幅を広げるために最大限使わせていただきます。