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シューベルト:白鳥の唄 D957 第四曲「セレナーデ」(リスト編曲)

ピアノ:カティア・ブニアティシヴィリ

最後の3つのピアノ・ソナタ(D958、D959、D960)と同時期に書かれた、
シューベルト最晩年の1828年(31歳)に書かれた 有名な歌曲集『白鳥の歌』の第4曲です。

弾いていらっしゃるのはジョージア(グルジア)出身のカティア・ブニアティシヴィリさん。

情感あふれるメロディの中に横たわる ”儚さ”を そっと揺り起こさぬように、労わる様に、両の掌で優しくそっと撫でながらも、こみ上げる哀しみに、
涙を抑えられない ・・

そんなカティアさんの演奏が、とても好きです。

私 スピン は、クラシック音楽紹介の文を長く書いてまいりました。ですがこれまで、シューベルトの曲については全く書きませんでした。

作品はよく聴いていたのです。未完成交響曲・歌曲「鱒」「魔王」・
アベマリア・「冬の旅」・・・

この「セレナーデ」のように美しい調べを、膨大に書き残してくれた作曲家です。

宝石のように輝き、人の心に染み入るメロディの数々。

しかしながら名曲の殆どは、生前には、演奏されることもなく、
人気も、喝采も、高い評価も、歓喜も、シューベルト本人には、ほとんど
微笑むことはありませんでした・・・

数多く残された楽譜は、死後40年ほど経った1867年に、ようやく掘り
起こされ、改めて多くの音楽家や研究者によって作品の掘り起こしと研究が続けられてきました。

が、楽譜の中の記号の識別が困難が故に、現在でも定番の演奏はできていないのが、現実です。有名な「未完成交響曲」ですら、そうなのです。

この曲を聴いていると、そのことを、シューベルトは死を前にして予感していたのでは・・・と感じます。

そして、この、「セレナーデ」を弾きながら、カティアさんがそっと撫でて
いるのは、シューベルトその人の魂なのだ、と感じるのです。


そう感じることが、
そのような人生を文章に落とすことが、とても できなかったというのが、

ご案内の記事を書けなかった、いや、書かなかった「理由」です・・・

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