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副業・兼業を雇うために必要な指揮者の重要性【実践!スポーツビジネス道場#34】

←第33話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ1部所属のサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。

酒井)みなさんこんにちは。TOKYO CITY  FC 改めSHIBUYA CITY FC の酒井翼です。今回は今2021年年明けて、1月末に収録を行っているんですけれども、荒木さんに今年も色々とお話ぶつけていければなと思っています!荒木さん今年もよろしくお願いいたします。

荒木)よろしくお願いいたします。

酒井)今回ちょっとお話ししたいなと思っているのが、僕らもおかげさまで会社としては順調に成長し続けているんですけれども、一個新しいチャレンジをしていきたいなと思っていて。

荒木)すごいすごい。どんなチャレンジですか?

酒井)今、運営メンバーはフルタイムで働いてる役員メンバーと、社会人で自分も働きつつ、お給料はでないけどサッカークラブの運営には関わりたいというプロボノメンバー20人ぐらいで運営しているんですけれども、新たに広報の部分が今のメンバーだけでは回らなくなってきていて、そしてプロボノメンバーに任せるのは難しいので、有償での副業の広報メンバーを募集してみようかなと思っていまして。その中でどういった形で採用の募集をかけたりだとか、採用のプロセスとかをやっていくといい人材が集まりやすいだとかを荒木さんにアドバイス頂きたいなと思っています。

荒木)まあ、でも今のSHIBUYA CITY FC のコミュニティとか含めたら結構なネットワークがあるからやりたい人いっぱいいるんじゃないの?どう?そういう話は今までしたことあるかしら?

酒井)そうですね、はい。今までは公募せずに基本的に人の繋がりだけでやっていて、それで良い人材も入ってきているんですが、逆に年末から今年にかけてクラブの知名度も上がってきているので、それで公募してみたらどういう人が来るのかなという好奇心もあって、公募してみようという形になりました。

荒木)時代的にも副業・兼業が当たり前になってきて、基本的にいい方向に行っているし、いいと思うんだけれども、個人的には副業・兼業でうまくいくか左右するポイントがあると思っていて。自分自身も出向の経験もあるけども、なかなかパートタイムで成果を出せるかは実際やってみると難しかったりするので。ましてやあくまで副業でのコミットメントで成果物を出していくというためには、成果の定義じゃないけど、あらかじめしっかり握れていないと、「こんなはずじゃなかった」的な結果に陥りやすい領域ではあるよね。でも安いからとかでなんとなく我慢したり、採用したからそう簡単には解雇できないとかの深みにはまって行きがちなところではあるんだよね。だから優しそうでそんなに簡単ではないなっていうのが俺の実感。一方でスポーツ界でもそうだけど、副業が大正解っていうニュースってまだあまり目にしていない。

酒井)副業でスポンサー営業やりませんかみたいな公募って結構ネットとかで見かけると思いますが…

荒木)公募の話はよく見るけど、それが実際に稼働して成功しているかというとまだそのフェーズではないと思うんだよね。やりたい人はたくさんいるけど、やりたいだけじゃなくて、成果が出ること自体が本人にもクラブにもメリットがあるし、それが横に広がっていく流れになっていくと思うし。やるからには広報の部分を外出しして専門家に安い賃金でやってもらうことによって効果が出るみたいな単純な発想だと、なかなかうまくいかないと思う。
個人的に副業を使うための肝は指揮者がいるっていうこと。割とありがちなのが、SHIBUYA CITY FCは違うと思うけれど、自分たちが分からないから専門家にお願いしようみたいなところは、たぶんうまくいかない香りしかしないよね。

酒井)丸投げっていうことですか。

荒木)そう。丸投げのところはうまくいかないよね。そもそもプロトコルが合わないので。広報の業務をすること自体はアルバイトと同じということだよね、作業を代わりにやるっていうのは。でも普通に優秀な人だったら広報って聞いたらどういう戦略で行きましょうかっていう話になる。戦略って何だっけってレベルだと話にならないので。そもそも論で採用側のしっかりとした戦略だとかやるべきミッションみたいなものが明確にあり、足りない部分をより細分化して、インプットとアウトプットを明確に定義して、アウトプットはこういう状態に落とし込んで、そこに対して時間軸を決めるっていう場合もあるけれど、確実に一つ一つのミッションコンプリートを明確に定義することができて、それを自分がやるんじゃなくて、副業のプロフェッショナルだったりそういう経験のある人にインプットとアウトプットを定義した上で、よろしくお願いしますみたいな方法もあるよね。最終的なアウトプットこれです、みたいな。それだけ明確に宣言できるかっていうところがポイントになるのかなと思う。じゃないとなかなか難しいと思うんだよね。指示が出来なくて何をやったらいいのかわからない状態だったら遊ばせちゃうし、かといって単純なタスクレベルまで落として渡すとアルバイトじゃんという話になっちゃうし。やっぱりある程度の経験者をうまく使うには偏差値の設定の仕方、どこまで専門分野の知見・スペシャリティを生かす幅…作業レベルの設定と、その人に期待するところのバッファを残すかというアウトプットの定義をする指揮者がいるよね。ある程度どんなリズムで仕事を進めてもらうかも含めてちゃんとコントロールしないと難しいだろうなと思うよね。理想的に言えばプロボノメンバー20人が上手く一つの画の中で翼の指揮の下、きれいなバーチャル組織になって行くかどうかみたいな話ですよ。今の時代本気出せば中に人いらないじゃんみたいな。指揮者がいて、指揮者が音符を自ら五線譜を描いて、そこに対してそれぞれのパーツパーツにうまくリソースを使いながらやりたいことに誘導していくっていうことがもしできるならば、こんな素敵なことはないと思うんだよね。働き方も含めて。だけど結果的にはコントロールできないとか、この人詳しいからこの部分ちょっとお願いしますみたいなの感じの積み重ねだとうまくいくイメージがないよね。
ちょっと長くなっちゃったけど、そこをしっかり描けた中で単に戦略こうだから手伝ってくださいみたいなレベルでは難しいし、最近ジョブ型とか言われているけどジョブディスクリプションを作ってそ の範囲の中で任せてるからやってくれみたいな乱暴なオーダーだとなかなかうまくいかないんじゃないかなと。かと言ってタスクまで落とし込んでしまうとモチベーションも雇う意味もなくなっちゃうので。その人の裁量でどれだけやるという、ジョブディスクリプションのデザインをどこまでできて、コンダクトできるかみたいな。そういう新たなスキルが今求められているんじゃないかなと思うね。今足りないのは副業やりたい人はいっぱいあるけども副業の人達をコントロールしてマネジメントできる人っていうのは誰も経験したことがないからできない。パートタイムとは違くて、パートタイムはタスクがあって時間的労働買っているわけですけれども、知的労働のパートタイムってそれをコントロールする経験って今誰もないのよ。だから簡単そうで簡単じゃないと言うか。その辺りを予めしっかりデザインして、平行して採用計画をした方がいいんじゃないかなと思うよね。

酒井)確かにすごい難しいなっていう…。優秀な人材ほどタスクベースより、上流のところから考えたいということがあると思うので。それもどういう人が来るのかは公募かけてみないと分からない部分はありますが、感覚的にはある程度タスクベースまで落とし込むというよりは、クラブからのある程度のゴールだけ設定をして、その中のやり方に関してディスカッションしていくとか、採用の面談の中で決めたりだとか、曖昧なところは残しつつ、会社側として求めるゴールはここみたいな…。

荒木)そうだよね。それはすごい大事な視点だよね。もう一つは採用する人によっても違うと思うんだけれども、それがロングタームで行ける人なのか、今は行けますみたいな人なのかっていうのはパーマネントな社員と違って、テンポラリーよりさらに不確実性が伴う領域だし、属人的になったら採用側のリスクになっていく。急にいなくなっちゃったらどうしようみたいな。なるべく継続的にやるには、一番の理想はスポーツチームだとしたら、いかにプロセス化するか。その人に広報の仕事をデザインしてタスクに落とすところまでやってもらうっていうところを、知見を使ってやってもらうとするとプロセスが残る事になるので。その一番最初に注入するところをうまく知見をナレッジに変えて、クラブの資産としてやり方を学びながらプロセスを作るところまで担ってもらって、あとはワーキングレベルで回るように作ってもらう。渋谷であれば学生も多いのでそこで将来スポーツビジネスに興味ある人の実習現場として、実際に現場の経験をインターンシップとかも加えながら現場を経験してもらうみたいな形にするとリスクを少なくできるんじゃないかなと。副業が一番難しいのは、時間がそこまで取れないので実際に手を動かすと断片的な仕事になってしまうんだよね。時間があるときはきちっとやってく入れても、ごめん今時間なくてさ、みたいな。悪気が無くてもそれは副業の特性だと思うので。何やってもらうかはプロセス化、タスク化だという事に割り切ったほうがいいのかなと。それって経験が無いとできない事だと思うので。やり方としてアリかなと。

酒井)ありがとうございます。僕らも公募っていう所で、結構まるまる広報のところを校閲からオウンドメディアの企画・立案・更新から制作ディレクションまで丸々考えていたので、多分今それだけで出してしまうと無理だなと。

荒木)そうなっちゃうのよ。でも実際本当にそこまで出来る副業の人ってなかいないと思うよ。フルタイムでもできないぐらいの量じゃない。そうじゃなくてやっぱり副業である以上はメインストリームじゃないところで、一つ一つの課題のタスクをプロセス化して誰がやってもできるようにするというミッションを時間を見つけてやってもらうという期待値って言うか、それが一番大事なことなので、それをやってもらうことが時間的にも責任的にも資金的にもナレッジ的にもすごく合理性があるんじゃないかなと思う。

酒井)ありがとうございます。まだ発表前なのででこういったところを考えてちゃんと出していきたいなと思います!

≪第34話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
2021シーズンから改称&昇格しJ1から数えて7部相当の、東京都社会人リーグ1部に所属するサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC」(元TOKYO CITY FC)にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
SHIBUYA CITY FC 公式サイトはコチラ


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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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