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女子野球は今こそアツい! 現役選手に聞いた、女子野球の魅力と「これから」

たくさんの女性スポーツ選手が活躍する中、今、注目を集めているのが「女子野球」です。

先日、女子プロ野球リーグがコロナ禍や登録選手の減少により21年度の公式戦を行わないことを発表し、話題になりました。
このニュースを聞いて、「女子野球の人口は減ってるのかな?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、日本女子プロ野球リーグの発表によると女子野球人口は増加傾向にあり、現在は学童野球を加えると20,000人を超える加熱ぶり。

さらに2020年1月に初のプロ野球球団公認チームとして「埼玉西武ライオンズ・レディース」が誕生するなど、男性イメージの強い野球界に新たな風が吹きはじめており、今がアツいと言っても過言ではないのです!


今回は、埼玉西武ライオンズ・レディースの現役選手である六角彩子さんに、女子野球の魅力をたっぷりお聞きしました!

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(Profile)六角彩子(ろっかく・あやこ)
女子野球選手。第4回IBAF女子ワールドカップの日本代表選手であり、大会MVP首位打者。現在は埼玉西武ライオンズ・レディースの選手として活躍のかたわら、5人制の野球「BaseBall5」の公式大使やトレーニングジムのインストラクターも務める。

女性の野球人口が増加中! 選手もファンも虜にする女子野球の魅力

ーー六角さんは埼玉西武ライオンズの公認アマチュア女子野球球団である「埼玉西武ライオンズレディース」の現役選手としてご活躍中ですが、プロ野球チームが女子野球のチームを公式に支援するというのは初の試みだそうですね! 

ーー六角さんはこの動きをどう感じられていますか?

六角さん:日本の野球人口は減少傾向にありますが、実は、女子の野球人口はどんどん増えています。しかし、野球はまだまだ男性スポーツのイメージが強く、女子プロ球団は3チームしかないのが現状です。

そんな中、埼玉西武ライオンズレディースが注目され、同様の試みが増えていけば、もっと女子野球に興味を持ってもらえる機会が増えるので嬉しく感じています!


ーー埼玉西武ライオンズレディースは六角さんをはじめ、実力派の方々が選手として集められているので、寄せられる期待も大きいかと思います。女性からの応援の声も多いのではないですか?

六角さん:よく言われるのですが、女子野球は意外と男性ファンの方が多いんです。

ーーそうなんですか!?

六角さん:アマチュアの試合はすべて無料で見られるので、根強いプロ野球ファンの方が、たまたま見た試合をきっかけにファンになってくれるパターンが多いかもしれません。

実は日本の女子野球は世界でもトップクラス。そのハイレベルなプレーや魅力的な選手たちの魅力にとりつかれる人も多いんですよ。

初めて試合を見た人からは「あんなに力強いプレーが見られるとは!」と「良い意味で期待を裏切られた!」とよく言ってもらえます。サードからファーストへの送球も余裕ですよ♪

そういう意味だと、今はむしろ「コアな野球好き」の人たちが応援してくれている傾向があるのかもしれません。

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オンラインでの取材に快く応じてくださった六角さん。とってもかわいらしく明るい方でした!

ーーハイレベルなプレーを無料で見られるっていうのも1つの魅力なのですね…! 他にも女子野球ならでは、という魅力があれば教えて欲しいです!

六角さん:私イチオシの魅力は、女子野球ならではの「ハッピーな雰囲気」ですね。

女性人口が増えてきたとはいえ、今選手として活躍しているメンバーは皆、男社会で負けじと野球を続けてきた女の子たち。つまり、女子野球の選手たちっていうのは、野球が大好きで大好きでたまらない!っていう人たちばかりなんです。

だから試合中もわきあいあい。もちろん試合は真剣そのものですが、全身から「楽しくてしょうがない!」という気持ちが溢れ出ていて、ファンの方からは「見ているだけで明るい気分になる」と言っていただくことが多いです。

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ーー明るい雰囲気なら、野球にまだそこまで詳しくない人や女性も応援しやすそうですね! 

六角さん:女性ファンもぜひ増えて欲しい!(笑)気張らず、選手たちと一緒に楽しむ感覚で見てもらえると嬉しいです。

それから、ファンの方との繋がりが強いのも特徴かな。

まだまだこれからのスポーツですが、だからこそ、試合会場でも選手との距離が近いので、
「今のプレーよかったよ〜!」とか、気軽に声をかけてもらうことが多いですし、選手もそれを励みにしています。

良い意味で発展途上なスポーツなので、ぜひ一緒に盛り上げてほしいです。

「好きな野球がやりたいだけなのに……」。女子野球の環境に悩んだ進路

ーー六角さんは小学4年生から野球を始めてから学生時代も華々しい成績を納められていますよね。当時は女子野球の人口は今ほど多くなかったと思いますが、苦労もあったのでは?

六角さん:学生時代は周囲に恵まれていたので、良い意味で女性だからと特別扱いされず、純粋に楽しんで野球に取り組むことができていましたが、進路については度々悩みました。

高校受験の際は、県内の学校に行って男子野球部に入るか、思い切って県外の女子野球部のある学校に行くか、かなり迷いました。

ーーやはり女子野球部の方が環境としては望ましいのでしょうか。

男子野球部では、男子に混ざって練習することはできるけど、公式の試合には出られないんです。女子野球部のある学校に行けば試合に出ることができますが、当時は女子野球部がある高校は全国でたったの5校でしたし、県外に出る不安もありました。

でも、悩んだ末、女子野球部で思いっきりプレーすることを選びました。

結果的にこれが大正解で、同じ志を持った同期や先輩たちと、わきあいあいとした雰囲気の中でじっくり練習を重ねることができました。

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高校卒業のタイミングで女子プロ野球が発足し、すぐに野球を仕事にする道を考えました。しかし、発足直後の球団に所属することに対して家族からの心配もあり、ここでも正直、土壌が十分に育っていない女子野球の厳しさを実感しました。

結局、将来のことも考えてまず大学で資格の勉強をしながら、アマチュアチームで野球を続けました。
大学卒業を機に、もう一度プロ行きを検討しましたが、その時点でのプロチームは3チームのみでした。プロという形にこだわるよりも、思いっきり野球を楽しめる環境のことを考えて、球団数も増え、盛り上がり始めていたアマチュアチームへの参加を決めました。

ーー好きな野球を続ける道を選びたいけど、その選択肢は多くない……。同じ野球なのに、男女でそんなに差があるものなのですね。
そんな中で、決めたことをやり抜く芯の強さと強い野球愛があったからこそ、今の六角さんがあるのですね。かっこいいです!

六角さん:ちなみに、今では女子野球部のある高校は40校(※)を超えてるんですよ! 当時5校だったことを考えるとすごい変化です。

女子プロが発足したことで目指すものができたことと、以前より環境が整ってきたことが良い影響を生んでいると思います。

今後、女子野球界はどんどん盛り上がっていきますよ! 私自身も楽しみです。

(※データ参照元:全国高等学校女子硬式野球連盟

野球の魅力をもっと知ってほしい。「女子野球」にこだわらず取り組む普及活動

ーーとはいえ、女子野球にはまだまだ課題もあるとか?

六角さん:やはり知名度の低さが今後の課題です。まだまだ野球=男性のスポーツというイメージが強く、なかなか存在を知ってもらえず、試合に足を運んでもらえないのが現状です。

だからこそ、選手一人ひとりがSNSでの情報発信を頑張ったり、イベントを企画するなど、積極的に女子野球の普及に貢献しようと努力しています。

また、日本の女子野球人口は増えていますし、世界的に見ても現在の日本のレベルは非常に高いと言われていますが、日本だけが強くても、世界的な野球人口は増えていきませんし、文化として拡がっていきません。

また、女子野球人口が増えている一方で、野球人口自体は減少の一途をたどっています。いくら女性が増えても、野球自体の地位が危うくなってしまえば元も子もありません。

私をはじめ、選手たちは世界各地を渡り、野球教室を開くなど、女子野球および野球人口全体の輪を広げることに注力しています。
BaseBall5」という5人制野球の布教活動もその一貫。今まで60カ国以上で講習会を実施し、老若男女に実際にプレーをしてもらうところまで成長しました。

ーー女子野球、そして野球全体を盛り上げるため、関わっている人たちが一丸となってさまざまなアプローチに取り組まれているのですね。

ーーお話を聞いていて、女子野球を見に行きたくなりました! 最後に、この記事を読んでいる皆さんへ、メッセージをお願いします。

六角さん:ぜひ一度、女子野球を見にきてください! 実際の迫力は、やはり現地で見てもらってこそ実感してもらえると思います。気張らず、「ちょっと今日暇だから行ってみようかな」くらいでいいので足を運んでみてください。

まだまだ発展途上ではありますが、だからこそ、応援してくれる方々とみんなで一緒に作っていけるスポーツだと思っています。

これからの女子野球をどうぞお楽しみに!


ーー六角さん、貴重なお話ありがとうございました!

試合の情報は、全日本女子野球連盟の公式HPや、各選手のSNS等で発信されています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね!

六角さんTwitterアカウント

全日本女子野球連盟公式HP
埼玉西武ライオンズ・レディース公式HP

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