1こめ

ハウス食品さんに突撃してきました。

今回は、バーモントカレーでお馴染みのハウス食品さんにお邪魔して、広報課長の前澤さんにお話を聞いてきました。

―ハウス食品さんのアレルギー対応商品について教えてください。

弊社が1番最初に食物アレルギー配慮商品を発売したのが2014年8月で、“特定原材料7品目不使用バーモントカレー 中辛”と“特定原材料7品目不使用シチューミクス クリーム”の2品を発売致しました。
続いて2015年2月に “特定原材料7品目不使用はじめて食べるバーモントカレーやさしい甘口”と“特定原材料7品目不使用完熟トマトのハヤシライスソース”の2品を発売致しました。
食物アレルギーに関する取り組みは兼ねてから取り組んでいました。
それまでも特定原材料7品目を使用しないカレーを販売していたのですが、レトルトカレーで一人分、いわゆる個食用のものでした。
ですので、1人で召し上がるものではなくて、みんなで一緒に食べられるものを開発したいという思いがずっとあったんです。発売は2014年8月となりましたが、10年位構想がありました。

―そんなに長い期間ですか…?

はい。なんでそんなに時間がかかったの?という所ですけれども、
最初の頃は工場ラインに苦戦しました。物理的なコンタミネーションを防ぐことが難しいだろうと考えていたからです。
たとえば、工場で小麦粉等を計量すると、空気中に舞ってしまう可能性がありますよね。それだったらアレルギー専用ラインが必要だということで、専用ラインの検討を始めました。
あとは味ですね。
お客様にアレルギー対応商品の調査を行ったところ、特定原材料7品目を使用していない商品はおいしさに対してあまり良い印象がないというような調査結果がありました。
我々は、おいしいものをお客様にお届けしようというのが大前提なので。お客様のネガティブなイメージを払しょくするためにも、看板ブランド(バーモントカレー)で食物アレルギー配慮商品を作ろうということになりました。
看板ブランドに関する商品という事は、逆にその看板ブランドのファンの方を裏切るようなことができません。看板商品と食物アレルギー配慮商品を一緒に食べてもほぼ遜色ないレベルの味にしようと努力しました。その部分はすごくハードルが高かったですね。

―味ですか。特に大変だったのはどの部分でしょうか。

7品目不使用バーモントカレーの開発の際には、乳製品と小麦で苦労しました。バーモントカレーの味は、小麦の焙煎した香ばしさと、乳製品のまろやかさが特徴なんですが、それを単純に代替原料で置き換えてっていうと、香ばしさもまろやかさも本来のものとは違うんですよ。小麦粉と米粉のとろみって質感が全く別物で。単純に置き換えただけだと、味が変わっちゃうんですよね。それで、小麦粉の代わりには結局3種類の材料を混ぜて小麦に近いとろみを出すようにしています。

―3種類の材料とは?
米粉、コーンスターチ、マッシュポテトですね。
この粉の試作だけで、150回くらいしたそうです。
乳製品に関しては代わりに植物性のヤシ油を使っているんですけど、ヤシ油ってそのまま使うとかなりクセがあるんですよね。ですのでクセがないようなものを原料メーカーさんと一緒に開発しました。
そうして代わりになりそうな原料がどうにか開発ができたら、今度はカレーの味づくりに入るんですけど、カレーの味づくりも看板ブランドの味覚水準に達しないといけないので、試作品を作って、社内で食べて、これじゃだめだということを繰り返して、結局500種類は作ったそうです。そんな事情で、結果時間がかかってしまったんです。

―150回とか500回とかもはや想像できない。ですがこうして作ってくださって本当にありがとうございます!

何回か工場ラインのこと等で、難しいと思って諦めかけたこともあったようです。でもそういう時に、支えてくださったのはやはりお客様のお言葉ですね。先ほどご紹介したように、こういうものが欲しいですとか、いろんな声をいただいたので、すごく支えられました。

―手探りの10年間だったんですね。

食物アレルギーに対するお客様の意識調査をして、どういったものが必要なのかとか、どういった配慮の製品があればいいのかとか、そんなところからスタートしましたね。最初は子供向けのカレールーを優先して開発をしていたんですけれども、患者団体の方にヒアリングをしていくと、「高校生の息子が遠足に行く時に子供用のレトルトカレーをもっていくんです。どうにかしてもらえませんか」というお言葉をいただきました。それであればむしろ子供用の甘口よりも大人用、家族みんなで食べられる中辛の方が求められているのでは?と考え、途中から開発の順序を変更しました。

―完成して実際召し上がった方々からはどんな反応がありましたか?

わざわざ感謝のお手紙をいただきました。個人のお客様からもそうですし、保育園とか給食の調理をされている方や、栄養士の方といった多くの方々からお手紙をいただきましたね。

―ちなみにこのバーモントカレー、ルウを粉末にされている理由はあるんですか?

ブロック型のカレーと混同されないためです。形状が明らかに違うとそういった心配もないかなと。「アレルゲン対応でないものと取り違えちゃったりするといけないので、はっきりわかるようにしてください」というお客様からのお言葉があったので、だったら粉末だったらいいんじゃないかということになりました。

―ハウス食品さんが食物アレルギーに対して力を入れているところはどこですか?

弊社のHPで、商品に使用しているアレルゲンを全て検索できるようにしていることです。
アレルゲン情報検索というところから、アレルゲン物質を選択して検索すると、わかりやすく表示されます。これは皆様に是非とも活用していただきたいですね。
あとは、2年に1回か3年に1回位のペースで商品をより美味しくするためにリニューアルするんですけど、その際にはアレルゲン物質を新たに増やさないことに決めています。

―もう少し詳しく教えていただけますか?

例えば今まではピーナッツは入ってなかったけれども、リニューアル商品にピーナッツが入っていたら、今まで食べられていた人が食べられなくなってしまいますし、最悪事故につながることもあるので、変更時に新たにアレルゲン物質を増やすといった事はしないようにしています。
カレーの場合、甘口・中辛・辛口ってありますよね。基本的に同じブランドの甘口・中辛・辛口でアレルゲン物質は統一しています。甘口は食べられたけど中辛は食べられないとなると、同じブランドなのに…ということになりますよね。間違えて買って食べてしまったということが起こりかねないので、そういう取り組みをしています。

―ハウス食品さんにそんな取り組みがあったとは知りませんでした…。

食物アレルギーが特別視されているのではなくて、日常にありふれたものなんですよということをしっかり理解していただけるようなそんな社会だったらいいなと思いますね。


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最後のお言葉、本当にその通りだと思います。もう少しでいいから、世間の食物アレルギーに対する理解が浸透したらいいなあと。今回の「ハウス食品さんに突撃してきました」はいかがでしたか?ハウス食品さんの長きにわたる奮闘があったからこそ食物アレルギー患者は今安心してカレーを食べることができています。ありがとうございます。今回はカレーの話をたくさんしましたが、ハウス食品さんの商品で私が一番好きなのは完熟トマトのハヤシライスソースです。機会があればハヤシライスソースのお話も是非伺いたいです。


ハウス食品株式会社 特定原材料7品目不使用シリーズブランサイト:
https://housefoods.jp/products/special/allergy/index.html
ハウス食品株式会社アレルギー情報検索:https://housefoods.jp/products/allergy/

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