見出し画像

[事例]National Grid×Brooklyn Nets「スポーツを活用したファンの環境型行動変容」

昨今、世界的なサステナビリティ機運の高まりに連動する形で各業界でのカーボンニュートラル推進やTCFDなどの規制の枠組みが出来ている。スポーツ領域では欧米を中心にカーボンニュートラルの取り組みが見られ、NBAのBrooklyn Netsはエネルギー企業のNational Gridとのスポンサーシップの中で環境への取組を進める。

企業概要:National Grid

イギリスの大手エネルギー企業で、電力やガスなどのシステム運営を行う。イギリスの他に、アメリカの北東部(ニューヨーク州等)でサービス提供を実施しており、本社はイギリスながらアメリカでの売上がイギリスの売上を上回る。

スポンサーシップ概要:

①本拠地Barclays Centerの公式エネルギーパートナーへの就任(広告宣伝)
②本拠地でファン向けに環境に対する行動変容を行うエンゲージメント・プログラム「B Green」の実施(社会貢献)
③本拠地内のデジタルサイネージ、チラシ等でNational GridがBarclays Centerで実施する環境への取組やその効果を公開(広告宣伝)
④本拠地の運営に活用される天然ガスの供給(営業・販売促進)

本スポンサーシップでは、スポーツを活用した消費者の行動変容を狙った②のアクティベーションが特徴的だ。National Gridのような多排出セクターの企業は本業でのカーボンニュートラル推進が必須となるが、一方で技術的・コスト的観点で高いハードルも存在する。実は本スポンサーシップは約10年前の2013年に締結、今よりもエネルギー業界でのカーボンニュートラルの難易度が高かった時代でスポーツを活用した形で開示に繋げていた、というのは非常に興味深い。また、Barclays Centerはエネルギー以外にも様々な環境負荷低減の仕掛けが施されており、そうしたスタジアム・アリーナの「魅せ方」がNational Gridの共感を呼び契約締結に至ったポイントになっている。

スタジアム・アリーナ運営においてもカーボンニュートラルが求められていく中で、多排出セクターの企業と連携した取組推進は今後の日本でも増えていくだろう。

参考文献:

Barclays Center「BARCLAYS CENTER AND NATIONAL GRID PARTNER TO LAUNCH 'B" GREEN FAN INITIATIVE

e-architect「Barclays Center LEED Certification

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?