The Most Innovative Companies of 2017 ~Sports~ by Fast Company (前編)

テクノロジー系に強い米メディアであるFast Companyが発表したThe Most Innovative Companies of 2017の中でSports部門で選出された10社について、ここで紹介してゆきたいと思う。世界のSports TechやSports関連のInnovationの方向性を捉える上での参考になればと思っている。前編の今回は5社を紹介し、後編(後日公開)で残りの5社を紹介する予定。全体の10社の内訳は、動作や運動のデータ解析系が3、スポーツ用SNS/リクルーティング/メディアが3、動画配信(ストリーミング)系が2、デジタルスタジアムが1、新スポーツが1と、動作解析やSNS・ストリーミングを活用したメディアに注目が集まっていることがわかる。

1. Sacramento Kings ~For creating the modern-day fan experience~

(画像:https://www.wired.com/2016/06/highest-tech-stadium-sports-built-like-tesla/)

NBAチームであるSacramento Kingsが今季より新設したホームスタジアムGolden 1 Centerが新たなファン体験を提供している、として選出。このGolden 1 Center、総工費が約600億円でその半分をSacramento Kingsが残りをSacramento市が負担して設立された(収容人数17,500人)。先日大阪に建設された吹田スタジアムが150億円、広島マツダスタジアムが140億円くらいと言われており、その投資規模の大きさが伺える。

このスタジアムはとにかくアプリを通したConnectivityが充実している。スタジアムのアプリ経由で、今最も空いている駐車場スロットまでの行き方をプッシュ通知で案内してくれたり、試合開始の直前までシートアップグレードの案内を確認できたりする。スタジアム入場ゲートに近づくと自動でe-チケットがアプリ上に表示され、スムーズな入場も可能。そこから席までの案内の道のりもアプリ上に表示され、席に着くとその場で食べ物や飲み物を注文でき、店員が席まで持ってきてくれるという体験ができる。そして試合中にはタイムリーな試合の関連するスタッツ情報やリプレイ動画がアプリに表示される。

こうしたスムーズなConnectiveな体験を実現するために、アリーナはファイバーケーブルやWiFiスポットの設置、6,000ft2のデータセンターに多大な投資を実施。これは同時に1秒間で50万人がスナップチャットに投稿しても耐えられるレベルのインフラだそうだ。

顧客の体験を最大限スムーズで充実したものにし、それをサポートするためのハード&ソフトウェアのインフラにまでしっかりと投資している近未来のスタジアム、これが新たな箱物投資のスタンダードとして注目を集めている。

参照元:https://www.wired.com/2016/06/highest-tech-stadium-sports-built-like-tesla/

2. Focus Motion ~For expanding what wearables can do~

(画像:http://focusmotion.io/)

昨今、FitBitやAppleWatch等のウェアラブルデバイスが注目を集めており、睡眠時間や歩数、カロリー消費量や心拍数といったデータをトラッキングしている人も増えてきている。そのウェアラブル領域で革命的なSDKのプラットフォームを提供しようとしているのがFocus Motionである。

Focus Motionは2012年にLAで設立されたスタートアップで、MLBチームであるLA Dodgersが監修するスタートアップ育成プログラムDodgers Acceleratorにも選ばれた実績を持つ。提供しているサービスは、ウェアラブルに取り付けられた加速度計、ジャイロスコープ、筋電計、磁力計から取れるデータを使用し、エクササイズやトレーニングのそれぞれの種目の動きを学習できるソフトウェアシステム。一度記憶した動きはその後自動的に検出できるようになり、ウェアラブルをつけているだけで、どのエクササイズやトレーニングを何回行ったか、動きのフォームの精度はどうか、等々自動的に記録していってくれる。更にこのモーション学習の機能をスポーツの動作解析・指導等の分野にも応用可能である。

現在はこのモーションを検出できるアルゴリズムを開発者向けに解放しており、各ウェアラブルメーカーやフィットネスアプリを提供している企業がFocus MotionのSDKをベースにフィットネス管理アプリを作れるようになっている。ここまで自動的にウェアラブルデバイスが検知できるようになると、フィットネスの管理・パーソナライゼーションがより楽で便利なものになってくるという流れは必須で、昨今健康への意識が高まってきている中、またウェアラブルデバイス自体の普及率も上がる中、ウェアラブルの使い方を一段違うレベルに押し上げる企業として、注目である。

参照:https://www.wareable.com/fitness-trackers/focusmotion-wants-to-turn-every-wearable-into-a-fitness-tracker-1445

3. Drone Racing League ~For helping the ultimate 21st century sport take flight~

DRLは2015年から始まったドローンのレースの世界大会。指定された小型ドローンを使って数台のドローンがタイムを競う競技である。ドローンの最高時速は140km/h近くまで出る高速レースでプレーヤーはVRのようなヘッドセットを被りドローンに取り付けられたカメラの映像を見ながらコントロールする形となっており、まるでドローンに乗車しているかのような、非常に臨場感のある体験ができる。2016年シーズンは合計で28百万人のビュワーを獲得している。現在の最高賞金は1,000万円程度とのことだが、米最大手放送局ESPNが放映・スポンサーしており、今後新たなスポーツのジャンルとしての進化が期待される。ドローンを持っていなくてもPCがあればシミュレーターでプレーや練習ができるのも魅力の一つ。

参照元:https://www.forbes.com/sites/darrenheitner/2017/02/08/drone-racing-league-lands-allianz-as-title-sponsor/#4f8a2e066e04

4. FieldLevel ~For opening doors throughout college recruiting~

(画像:https://iq.intel.com/how-recruiters-are-discovering-connecting-with-future-star-athletes/)

FieldLevelは2008年にCaliforniaのSantaMonicaを拠点に設立されたCollege SportsチームのリクルーティングのためのSocialプラットフォーム。進学先を探す高校生アスリートやチームのコーチと大学のスポーツチームのコーチのマッチングサイトで、高校生アスリートは自分自身の体型・体力データや実績、プレーに関するデータ等を入れ動画もアップロードできる。大学チーム側は必要なポジションや要件等でフィルタリングをかけて検索・コンタクトができる仕組み。

アメリカの大学スポーツは9,000億円市場とも言われており、より自分のチームのニーズマッチした選手を獲得したい大学側と、良い条件の進学先を探したい高校生アスリート側の需要を満たすプラットフォームである。実際に大学アメフトチームの5割以上、野球チームの9割近くが利用しており、他のスポーツも含めると4万チーム近く、200万人のアスリートが利用しているとのこと。2016年になり、女子バスケット、バレー、ソフトボール大学リーグまでカバー範囲を広げたことが評価されての受賞となった。

参照元:https://iq.intel.com/how-recruiters-are-discovering-connecting-with-future-star-athletes/

5. The Players’ Tribune ~For turning athletes into storytellers~

言わずと知れた元ニューヨークヤンキース、デレク・ジーターがファウンダーのスタートアップ。2014年の設立ですでに58百万ドルの資金を調達している。プロアスリートが自らの声をファン向けにダイレクトで発信できるメディアプラットフォームであり、既存のメディアにはない、アスリートの本音のストーリー・生の声をファンに直接届けられるプラットフォーム。デレク・ジーターの影響力の大きさもあり、すでに1,200を超えるアスリートがコンテンツ提供者としてサイトの拡大に協力している。

アスリートがファンに自身の声を届けやすいプラットフォームとなるよう、動画や音声等の掲載機能にも積極的な投資を行っており、プロアスリートとファンが繋がるマルチメディアサイトを目指している。


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SatoshiYamada

#エンジニア 系記事まとめ

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