英語方言においてHの欠落が起こる訳
Polyglotという言葉のお話の続きです。
-glotは舌=言語であると語りましたが、探せば医学用語や言語学用語を作り出すために、かなり重要。
glotは知っていると良い言葉。調べたら派生語には次のような言葉があるます。
光沢のあるペンキの種類でよく見るGlossは類語に見えますが、全く別の起源を持つ言葉。
GlossalやGlossitrichiaは、tがssに変化した例ですが、glossとは関係ないのです。ややこしい。
Glottalは言語学においては非常に大事な言葉。
舌のGlotと喉にある声帯の入り口である声門は同じように発声のための器官であると見なされたらしく、語源は舌を意味するギリシャ語のGlottaです。
Glottal Stopという言葉として、英語発音においては最重要単語。国際発音記号ではʔ。
英語では、Tの音に息を一時的に止めることがありますが、このTを短く子音だけにして発声するのがGlottal Stop。
これが上手に出来ないと英語は美しく歯切れ良くは響かない。
Witness (証人)という言葉、普通にカタカナで書くと、ウィトゥネスとなりますが、ウィトの部分、ウィットという具合いに一瞬間合いが入る。これがGlottal Stop。ウィにアクセントをのせると英語らしく響きます。
Kitten とかNetworkとか、Footballなども同じ。
T以外でもBackgroundのckのまえに跳ねる音が入るのが、Glottal stop。カタカナのバックグラウンドよりも強く短く発声されますが、日本人にはさほど難しくはないのは幸いです。意識さえすればだれでもできますよね。
しかし母語次第では、世界にはできない人たちもいる。
外国語として英語を学ぶと、その人の英語は母語に深い影響されて、母語の癖を失くす努力が必要。
日本人ならばRとLを区別できるようになるなど。
そこでGlottal stopですが、このGlottal StopをつかいすぎてHを発音出来ないという有名な事例があるのです。
イギリスの方言です。
イギリスにはスコットランドやヨークシャー方言など、Hを発声しない地域があります。
ロンドン下町の労働者階級の英語もそうです。コックニーと呼ばれるもの。
Harry が ‘arryに、Higginsが’igginsとなるのは、H音を発声する際に声門を閉じてしまうから。発音的に近い音なのです。
この動画が秀逸。
H Droppingは、Glottal Stopの使い過ぎであると語ってくださいます。
マイフェアレディのコックニーたちがHを喋れなのは、喉を締め上げる音を使いすぎるからだったのです。
また映画リハーサルで、歌担当のジュリー・アンドリュースはコックニーアクセントを習得する練習を必至にされたのです。
なかなか面白い動画です。日本語字幕はないですが、CCを押して英語字幕をつけると分かりやすいです。
英語方言でHが欠落するのは、Glottal Stopを使いすぎるから。これが今日の学びでした。
英語の発音の中で最も特徴的な音は、このGlottal Stopと、舌を噛むTHなのだそうです。
THほどには難しくないので、少し練習してみて下さい。カタカナで小さなツが出てくる場合は大抵この音ですよ。
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