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非効率の効率とは?トップ営業が「計画的偶発性理論」を薦めるワケ

あっという間に年末ですね。みなさんにとって2019年はどんな年でしたか?
仕事がうまく行った人もいれば、「同期と比べると結果が残せてない」「営業成績がイマイチで伸び悩んでいる」などモヤモヤしている人もいるかもしれません。
年明けから心機一転頑張ってそのまま会社に残るか、転職して環境を変えるか、なんてことを年末年始休暇の間に考えよう…と思っている人もいるかもしれないですね。

そんなあなたに向けて、今日は「計画的偶発性理論」という考え方を紹介します。特に新卒や若手のみなさんにとって大切な考え方だと思うので、ぜひ読んでみてください!

さて、本題の前に。「人とのつながり」をテーマにnoteマガジンを運営するSpready noteチームは月に1回企画会議があります。その中で、毎回出ていたのが「計画的偶発性理論」について記事にしたい!という意見。

ライターである私、縁側(Spready内でそう呼ばれています笑)はあまりピンとこないのと、アカデミックな記事を書くのは苦手かも…と思いスルーしていたんですけど(笑)。
Spready noteは「人とのつながり」をテーマにしているので、企画を考える時に人との出会いを大切にしている人を頭に思い浮かべます。そんな時に浮かんだのが今回登場する河合さんです。
河合さんのTwitterプロフィールをみにいくと、なんと「計画的偶発性理論」と書いてあるではないですか!

すぐに連絡して、取材を取り付けました。今回は、この「計画的偶発性理論」を学ぶことで仕事に活かせるのではないか?と思い、河合さんにお聞きしてきました。モヤモヤしている若手の人にとって何かのヒントとなる記事になれば嬉しいです。

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河合克仁さん:
愛知県豊橋市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、人材教育コンサルティング企業に入社。営業・コンサルタントとして、歴代最高の営業記録樹立をはじめ、社長賞、MVPなどの社内表彰も多数。2014年に教育事業を軸とする株式会社アクティビスタを設立。2018年に共著として出版した”世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業”(すばる舎)はプレジデントに取り上げられたり、2020ビジネス書グランプリにもノミネートされるなどロングセラーとなっている。筑波大学 非常勤講師(キャリア教育)、内閣府 地域活性化伝道師も兼任。

ー河合さんのTwitterをのぞくと「計画的偶発性理論」とプロフィールに書いてありました。これってどういう理論なんですか?

「キャリアの8割が予期しない出来事や偶然によって決定される」という考え方で、キャリア教育の中でもよく知られている理論の1つなんです。
計画的偶発性理論を提唱したスタンフォード大学のクランボルツ教授は、この変化の激しい時代においてキャリアを計画したり、固執したりすることは非現実的と指摘しています。固執しすぎると、それ以外の可能性を捨ててしまうことにも繋がるからなんです。

それで、その予期しない出来事や偶然を計画的に引き起こし、余白を残すことができるというのが計画的偶発性理論です。

ーなぜそれをプロフィールに入れていたのですか?

計画的偶発性理論を知ったときに考え方に共感して、この理論を無意識のうちに実践していると感じたんです。今までの人生も仕事もこんな感じだったなと思って。プロフィールに入れているのは「取材を受けたい」と計画的に思ったわけではないけど、いつかの種になると思って蒔いておいたみたいな感じですね(笑)。

ーたとえば今までにどんなエピソードがありましたか?

たとえば、事務作業って会社でもできますけど、あえて東京駅にあるスタバに行ったり、渋谷にあるカフェとか、大切な打ち合わせに使っているようなカフェに出向いていました。そうすると、偶然出会えるきっかけが生まれると思っていたんです。

「この人がいるはず」、と思って向かうわけではないんですが、「誰かに会えるかも」という計画をするんです。実際にカフェで出会った人は偶然です。だけど、その出会った人と軽く話をすることで、堅い文面で営業メールを送って無視されるよりもスムーズにアポ取りできたりするんですよ。

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ーなるほど、これが偶然を計画的に引き起こすってことですね!
でも、いくら偶然を計画的に引き起こしていくといえども、その偶然が成果に繋がるかわからないですよね。それより1件でも多くテレアポやメールでアポとってきた方がよくないですか?

今週の目標、今月の目標の数字は大事で、僕もその数字を追いかけてました。だけど、振り返ってみると自分の意図してない出会いの方が成果につながったと感じているんですよね。目先の数字ばかり追いかけると、疲弊していたりしませんか?

ーたしかに。目標達成できても、次の目標を高くしないとと思ってしまいます。目標ばかりを追わず、偶然の出会いを計画的につくっていくこともできたら、先の仕事に対してもワクワクが生まれそう。

僕には喜んでもらいたい人のリストがあって、その人達のために何ができるのかを考えています。もしかしたらすぐに仕事につながることもあるし、全然、繋がらないこともあります。むしろ、繋がることの方が少ない(笑)。それでいいと思ってるんです。

でも、振り返ると巡り巡って何年後かになることもあります。いろんなところに信用が貯まっていく「貯”信用”銀行」があると思っているんですよ。

ーたとえば巡り巡って仕事になったことはどういうことですか?

卒業した筑波大学に、社会人になってからもキャリア支援室の先生に年に1回挨拶に行っていたんです。でもそういうことをしている人ってほとんどいなかったんです。それに、ある時、起業の報告をしたら、「いきなり起業って言っても信用がないだろ。一コマ持て!」と言うような流れで、筑波大学のキャリア教育の非常勤講師になるご縁を頂きました。

そして、昨年『世界中の億万長者がたどり着く「心」の授業』を出版したんですが、これも偶然が重なった結果で。元々のきっかけは、筑波の学生から出版社でインターンしたいという相談を受けて。出版社との繋がりはなかったんですが、僕の会社のインターンの子が敏腕編集者を知っているというので、学生に紹介する場を作りました。もちろん僕も同席して。

それと同時期に、妻の友人ナミさんから「心の授業をしているインドの先生の授業が素晴らしいから一緒に受けないか」とお誘いを受けたんです。実はあまり興味がなかったんですけど、家族ぐるみのお付き合いをしていた方だったので、興味がなかったとはいえ受けてみたんです。
そしたらすごくいい授業だったので、これを広めるお手伝いをしたいなと思っているところに、この話を編集者にしたら出版という形に繋がったんです。

おそらく筑波大学の講師も、出版も強く願い、その為に行動を継続して掴み取ったというよりも、偶然のつながりの結果だと思っています。でも、何も意識していないというよりも、身近な出会いや人のつながりを大切にしていると、自然とチャンスを与えてくれるんですよね。営業はもちろん、きっとどんなことにも通ずると感じています。

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ー河合さん、「チャンスを掴む」より「チャンスを与えてくれる」という表現してますよね。その違いってなんだと思いますか?

狙って努力してチャンスを掴むって自分が望んでいることでそれも大事ではあるんですが、それ以上にチャンスを与えられた方が自分の想像を超えたプラスのものが多いんですよね。

ーそれって、社会人になってから比較的早くそういう行動をされていたんですか?

営業に配属されたんですが、同期と比べると地味で営業成績もよくなかったんです。いわゆる世の中の営業マンがしている営業が苦手。知らない人たちにめげずに電話し続けるとか…。

自分だけで戦っても勝てる気がしなかったんです。はじめはテレアポをしなくていいためにはどうしたらいいのか?と言う不純な動機だったのですが(笑)。紹介してもらえるような人になればやらなくて良くなる!と(笑)。知らない100人に片っ端からコンタクトを取るよりも、顔が見えたり、少しでもご縁がある方に喜んでもらおうと。
テレアポでも、喜んでもらうスタイルでも、どちらにしても圧倒的行動量は必要ですが、自分が腑に落ちていることか否かの違いは本当に大きいと思っています。

結果的に僕はこのスタイルで、社会人3〜4年目にかけて、当時勤めていた会社の歴代営業記録を6倍以上塗り替える成果をあげることができました。

そしたらある時に、大きな会社から社外表彰されました。「営業マンの都合で売り込んでくる人よりも、自分以上に目標達成や売上げのことを考えてくれていることに人って動くよね」と言ってもらえて「お客さんが感動したら、繋がりつづけてるんだよ」と教えてくれたんです。

ー繋がりつづける、とは?

その社長が持っている名刺をばーっと並べて「ここから繋いでほしい人選んで良いよ」と紹介してくれたんです。

だから、僕はタスク管理よりも「人」なんです。写真を眺めていると「あ、この人にこれできる!」とか。人って「何をするか」にフォーカスしすぎているけど「誰といつするか」の方が大事だと思うんです。

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ーたしかにそれはよくわかります。でも河合さんだからできることなのではないでしょうか…?

たしかによく言われますね(笑)。でも、全然そんなことないと思うんです。僕の行動こそ何もない人にできることだと思います。今いる身近な人から大切にするってお金もかからないし、閃いた時に行動すればいいだけです。

ーでもその「行動をすること」のハードルが高い気が…。

失敗しないと気づかないこともあります。まずは小さな行動から。例えば、講演会で一番に質問するとか、著者に感想文を送ってみるとか、著者に感想文を送ってみるとか、お客様の創業記念日にお花を届けてみるとか。
僕も気にしいなので、だからこそすごくタイミングはみてます。良いタイミングって、小さな失敗を積み重ねながら分かってくると思うんです。
喜んでもらおう!という動機の失敗って、むしろ後から素敵なエピソードになるから、多い方がお得ですよ!僕も挙げたらきりがないくらいの失敗談だらけですが、そんな方々とこそ、今も強い繋がりがあります。そうすれば、行動量を増やしても小さな失敗に落ち込まないようになってきます。

ー数打ちあたる行動量じゃなくてタイミングが肝。だから出会いのストーリーを作るのがうまいんですね!

数ももちろん大事。でも、やればいいってものでもないです。
僕は「非効率の効率」と呼んでいるんですけど、一見非効率にみえても、身近な人を大切にしていたり、「誰と」やりたいかを大切にしていると、結果いい仕事に繋がって効率がよかったりするんです。今の時代、効率を重視することが多いですが、一見非効率だなと思えるところに価値があって、巡り巡ってチャンスを与えてくれます。

編集後記
偶然を計画的に生み出すことで、チャンスが巡ってくる。
一見すると少し非効率にみえてしまいますが、時として思わぬ成功につながるのかもれしません…。
年末には今年の出会いを振り返り、来年からは人とのつながり、出会いを大切にしていこうと思う気持ちになりました!


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