見出し画像

地方における協力隊インターンをコーディネートして得たもの

皆さん、こんにちは。白石です。
しばらく間が空いてしまいました。

9月頭から2週間、邑南町の地域おこし協力隊インターンシップの受け入れに注力していましたので、バタバタしていたついでにこのインターンシップのコーディネートを通じて感じたことなどをまとめてみたいなと思います。


インターンシップ事業の概要

地域おこし協力隊インターン(総務省)

邑南町での協力隊インターンシップは昨年度から始まった事業ですが、我々がコーディネートを担当したのは今年が最初というものです。
地域おこし協力隊のインターンシップは総務省の方で事業化されているそうです。
背景には協力隊任期終了後(いわゆる卒業後)の定着率に課題があるということ、また着任後の地元との認識のギャップの大きさなどがあります。
このギャップを事前に2週間~3ヶ月程度のインターンシップ期間を通じて、少しでも埋めたいというのが事業のねらいとなります。

邑南町での協力隊インターン事業

上述したように、昨年度から邑南町ではこのインターンシッププログラムをスタートさせていますが、我々が担当したのは今年から。
コーディネートする側に変更があった(我々に変更になった)理由は、個人的な推測になりますが、外れてはないだろうと思います。
大きな要因は、昨年度末で邑南町行政として「A級グルメ」を取りやめる、という判断を下したことにあると考えています。
昨年度までは邑南町における地域おこし協力隊は「アグサポ隊」という就農を将来のゴールとして捉えた枠と、「耕すシェフ」という料理・調理の起業をゴールとした枠とがありました。
「農」と「食」に特化した地域おこし協力隊の募集を行っていた、ということになります。
それが、「A級グルメ」を取りやめ、「ふるさとリノベーター」というコミュニティの維持・活性化に取り組む枠が増えた、増やすことになり、その分野では多様な仕事をさせてもらっている我々の出番だ、ということになったのかなと。

2週間のスケジュール

今回は3名が参加されて、正直なところ、かなり柔軟に参加者のニーズに答えながらスケジュールを日々調整したので、ざっくりとですが2週間のスケジュールを紹介しておきます。
3名は社会人経験者2名と大学生1名という構成。
14日間の滞在期間ですが、うち4日間は休日なので実質的には10日間のインターンとなりました。

1日目:地域の概況、協力隊について、コミュニティの維持(ちくせんなど)について、邑南町の観光についてを座学
2日目:町内を周遊・巡回、フィールドワーク
3日目:関係者(有機栽培農家、ローカルジャーナリスト等)ヒアリング
4日目~:参加者ニーズに基づき、町内団体等で現場実践
9日目:最終日の報告会に向けた資料作成、オンライン対応(相談等)
10日目:報告会

説明資料から抜粋「ちくせん(地区別戦略)」の位置付け

手応えと課題

手応え=丁寧なコーディネートに好反応

ちょうど今日、役場担当チームと振り返りをしてきました。
3名の参加者の方は移住先としてどうか、という本気度高めで参加いただいたこともあり、こちらも柔軟に希望に沿う形でコーディネートをしたので「良かった」「楽しかった」という声をいただきました。
実際に移住の決め手になる部分もあったのではないかと感じています。
他の市町村のインターンに参加された方もありましたが、そこと比べたとき丁寧に対応してもらった、という感想もありました。
そこは今回大事にしたいと思っていた点なので、ひと安心、といったところ。
インターン中にもしつないでもらえたら、という話があった相手方ともアポが取れたので引き続きやり取りが継続していたり、まずまず良かったんじゃないかと感じているところ。

課題

他方、課題としては自分の悪癖のひとつでもあり、上述した「柔軟なスケジュール調整」にもなっている面がありますが、2週間の研修スケジュールを組むのに時間がかかり、共有は1週間前、ということで参加者には、参加までのところで不安を与えてしまったんじゃないか、という点です。
移動支援で車が不可欠だった一方で、うちの体制としては僕がなんとか動けないとどうにも回らないな、という社内的な課題感も。
付随して、参加者の宿泊場所はある程度こちらで指定できると移動距離などが計算できるな、という気づきも得られました。

秋・冬コース募集

夏季コースがいったん終了し、秋・冬コースも募集しようということになっています。
もとい。秋コースは今回の期間と並行して募集中でしたが、参加希望はなかったです。問い合わせは何件かありましたが。
そのうち一件は、矢上高校卒業生の現役大学生からだったので、地元高校出身者が地域のマネジメントということに興味を持ってくれてインターンを考えてくれている、ということは嬉しい報せでした。
今後は冬コースを11月くらいから募集開始になる見込みです。
もし興味を持たれた方はチェックしてみてもらいたいなと思います。

所感

参加者の満足度を追求

最後に、夏季コースを終えて個人的に感じたことなどをつらつらと。
インターンというものを受け入れた経験がきわめて少ない中で、参加してくれた方にどのように満足してもらおうか、ということを考えた2週間でした。
「お客様」扱いをする、というわけではなく、邑南町を移住先の候補として考えている一人の大人として向き合うとき、何を大切にすべきか、ということを大げさにいえば追求していたということになります。
滞在中に色んな話を聞いて、現実的な判断として当初のイメージより、こういう人の話を聞きたい、ということになればできるだけ直前でも地域の方に協力をいただいてセットしたり。
うちはコーディネートだから、それぞれの関心があるとされた団体に振って、あとはよろしく~で済まそうとできるんでしょうが、それだと自分が気持ち悪いので、できるだけのことはしたいなという気持ちです。

協力隊=移住者のリスクと覚悟を受け止める

地域おこし協力隊にまつわる悪いイメージも広がっていたりしますが、彼ら・彼女らは少なからず、居住地を離れ、職を変えるという決断をし、リスクを負ってそれぞれの地域にやってくるわけです。
そのリスクと覚悟を、受け入れ側の地域はもっと汲み取るべき、というのが個人的な思い。個人個人を見れば、協力隊の中にもだいぶやばいな、という人はいると思いますが、それもまずリスクと覚悟を負ってきているということを踏まえて接することが必要では?と思います。
これは協力隊に限らず移住者全般に言えることだと思います。
仕事柄、いろいろと協力隊の方と接することも多いですが、必ずしも「大事にされている」とは感じられないケースを目にします。

地域マネージャーという役割

初日の地域概況やコミュニティのことなどを伝えたところ、すぐに「おもしろい」と感じてもらえたことは意外でもあり、嬉しくもありました。
移動中のコミュニケーションなども通して、地域マネージャーという役割の価値やおもしろさも感じ取ってもらえた部分も含めて、手応えとして得られた感が強いです。

個人的には、自分は人材育成ということに関しては不得意だと思っていますが、それでも価値観を共有できて、同じような社会像を目指せる仲間が増えるとしたら、それはとても嬉しいことだなと感じた2週間となりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?