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入院日記 2(正常性バイアス)

※人生初の入院を日記風に記しています。
前回は、みなさんの温かいお言葉に返って恐縮してしまいました。
できれば、物語として割り切ってお読みいただければ幸甚です。
時々、詩歌(短歌、俳句、都々逸を紛れ込ませていますが、気にされないでください)

前回はこちら ⇓

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第2回

自分の名札を病室に見る殺伐とした異空間


想定した最悪の結果になった。

左半身に違和感があるだけなのだ。歩くとき少しよろよろっとするだけなのだ。
なのになんで、入院するにしても(旅行の終わった)数日後くらいにならないの?

「じゃ、せめて一度うちに帰って、旅行のキャンセル手続きとかしたいんですが」
K先生「はい、それはお勧めしません。もし梗塞が進んだら大変なことになる恐れがありますよ」

返す言葉がない。

「わ、わかりました」
スマホでなんとかするしかない。
旅行プランは自分で立てているのでそれぞれのアプリでのキャンセルになるが、新幹線の切符だけは奥さんにご足労をお願いした。
ごめんね、せっかくの旅行…。(実はこれがいちばん堪えた)

そんなことをしている中で、初めて自分が少し深刻な状況に置かれているんだと気づく。

ここまで読まれた方は、「何とこの人、ノーテンキな...」って思われてるかもしれない。
でも、あとで考えると、初めのうちは「正常性バイアス」というのに支配されていたんじゃないかと思う。
自分が危機に陥っているのにもかかわらず、自分だけは大丈夫って思い込んでしまうあれだ。

自覚症状がそれほどでもないこともあったのかもしれない。
災害時によく言われる「自分だけは大丈夫 は捨てましょう」が身をもって分かったような気がする。

「病室はどうされます?、個室、ふたり部屋、大部屋とありますが」
私はこう見えて(どう見えてる?)シャイで、耳から入ってくる他人の雑談が嫌いであり、ましてや他人のイビキなどには耐えられない。
そんな環境に置かれると病気になってしまう。(病気だが)

ここは、差額ベッド料金を睨みながら、入っているはずの保険給付をちらりと頭に浮かべ、返金されるであろう旅行のキャンセル差し引き額も勘案しながら、個室に固執する(ギャグ言ってる場合か)。

とにかく、トイレシャワー付きではあるが殺伐とした病室に入った。

旅行の各種キャンセルもだが、いろんな連絡や用事をスマホでしなければならない。
即入院とか、考えてもいなかったのだ。
たいていは、「ちょっと緊急の案件が出来て…」で済ませられた。もとい、頭を下げながら無理やり済ませた。

これに検査攻めが加わる。
先のMRIから血液検査、尿検査、心臓~首などのエコー、心電図、レントゲン・・・。
とにかくあっという間に時間が過ぎてゆく。

そして、これも人生初の点滴。
自分の腕に針を刺しっぱなしにして液体を長い時間かけて注入するのだ。出来ればやりたくない治療。
でも、しょうがない。「大変なことになる恐れ...」になるのを回避しなければならない。
(点滴に慣れている方からすれば、「なんだそれしき」って思われるのだろうけど)

でも、初めてで2種類の薬を2時間半かけて点滴されるのは辛い。(これが明日から午前、夜と2セットずつ続くのだ)

自分の行動が映画1本の時間分制限されるというのは慣れないうちは辛い。少し慣れてもやっぱり辛い。

初めての夜は、あまり眠れなかった。と言うか、この状況でぐっすり眠れる人は相当の豪傑だろう。
これまでの生活習慣、食習慣が悪かったのか?、と暗い部屋でベッドに横になりながら考える。

でも、朝食を例にとれば、
オートミールに豆乳かけて、きな粉を少しかけ、バナナを1本分切って全部混ぜチンする。
あと、黒酢ドリンクとホットコーヒー(ブラック)にアマニ油を入れてのヨーグルト。(後日栄養士さんと面談したが感心された)

酒は好きだが、ビール缶(350ml)1本/日または焼酎、ワイン、日本酒で量も似たり寄ったりでしれたもの。
それまでは自慢の健康的食生活だと思っていただけにそれが打ち砕かれたようでがっかりである。

運動は…普段はほぼ車での移動、はっきり言ってあまりしていない。
特にこの夏から秋口にかけて、めっちゃ暑かったんですもの。

すべてが初めてすべてが不安
すべてがおののき夜の海

自分の名札を病室に見る殺伐とした異空間

異空間は、劇団四季やTDRで味わうはずだったのに・・・。
ここもそれと同じようなことかなと納得するしかないか(違うやろ)。

【とりあえずまだ続きます】



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