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生姜焼き(映画「アリスとテレスのまぼろし工場」)

(そこそこにネタバレてますので要注意)。

生姜焼きを作るときは節約モード。お肉だけでは済まされません。もやしやマイタケでかさ増しして、さもたくさんあるかのように見せかけます。ご飯も進みますし、余ると次の日のおかずにもなるのです。

ごくごくたまーに、お肉だけを生姜焼きにしてキャベツに添えることがありますが、ここぞとばかりキャベツにドレッシングはかけず、生姜焼きのタレで頂きます。

生姜焼きなのにニンニクで味をつける生姜焼きが出てくる映画「アリスとテレスのまぼろし工場」。今劇場上映中でして、見に行って決ました。ちょいお値段高めの座席でゴージャス気分も味わいながら。

ある日、製鉄所で爆発事故が起きてから、時が止まってしまった街で暮らす人々。

空がひび割れ、エネルギー不要の鉄工所から噴き出す煙がそのひびを修繕することで維持される世界。人は変わろうとすると消えてしまうので、中学校では「自分確認票」という用紙を定期的に書かなければなりません。

痛みも、寒さもあまり感じない世界。街の外には出て行けない世界。閉塞感漂う環境で、だんだんと話は進んでいくのです。

あまり書くとネタバレちゃうのでここからはちょい出しくらいで。とにかく「これ、アニメ作品になるの?」というタイプの話だったと思いました。系統としては「天気の子」にちょっと似てます。

神という存在がこちらでは少しぼかされていますが、あちらでは不可逆、こちらでは希望を持てるような終わり方をしています。

自らを現実には存在しえないまぼろしだと知ってからの人々のありようは様々です。そこからナニカが動きだす人もいます。

変わらない事を求められて維持されてきた世界が、変わることでしか持続することができなかった、その意味を考察するのも面白く。

狼少女と呼ばれる、この世界を維持するために1人の幼子が贄とされた意味を紐解くのも面白く。

変わると存在を消されてしまう世界において、変わっても消えることのなかった人との違いを考えるのも面白く。

(Xでのつぶやき)

映像がめっちゃ美しく、エンディングの中島みゆきさんの「心音」にも震えました。当たり前とされていたものが崩壊してゆく中で目覚める意思。これからの社会とどこか相通じるものを感じました。

好きなことは続けていこう。その先に希望があるはず。

そんなエールを受け取った映画でした。もっと評価されていい、もっと見られていい映画だと思います。

(小説)

(主題歌CD)

そして何やら10月はクリエイターフェスとやらが始まっていまして、期間中はタグ付けさせて頂きます。10件タグつけるとナニカが抽選で当たるようです。詳しくはタグ先へ。


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