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白い巨塔 名場面 アウシュビッツでの撮影

白い巨塔の名場面の動画を観ました。

アウシュビッツ強制収容所の中でで撮影されたフィクションのドラマは、この白い巨塔がはじめてだと言うことです。

驚きました。

よく撮影の許可がおりたなと。

(ドキュメンタリーなどの撮影はそれまでもあったようです。)

内容がそれだけ真摯なものだったからなのでしょうか。

この名場面だけみても、台詞や表情のひとつひとつに圧倒されました。

語られる内容に重みがありました。

白い巨塔のドラマの中で、アウシュビッツ強制収容所の内部が映され簡素な説明と案内があります。

収容所に連れてこられた女性たちの「髪の毛」が集められ、利用されたことにも触れています。

(※強制収容所では、女性たちは丸刈りにされ、その人間の髪の毛で絨毯や毛布を織り、
服の裏地などにしていました。

アウシュビッツ強制収容所内には、うず高く積み上げられた髪の毛が展示されています。)

白い巨塔のドラマ、アウシュビッツの内部での財前教授の会話ですが、

「人体実験」

それも「医師」による人体実験が行われたんだということが強調されていました。

人の命を救うはずの医師が何故?
何故そのようなことをするのか?

財前教授の口から出てきた言葉です。

白い巨塔のテーマは

🔹名誉や地位や保身や、自分の利益のために
人命が軽視され蔑ろに「されて」しまうこと。(被害者が
生ずる)

🔹人命や他者の尊厳を蔑ろにしてしまう人間のもつ暗部。
(人間の加害的側面、残酷な側面。)

🔹そしてその人間が背負う「罪」と「罰」。

なのではないかなと思います。

財前教授が、このドラマ白い巨塔の中で、
線路を歩くシーンがあります。


この線路は強制収容所の入り口である通称「死の門」へと入って行く線路で、引き返すことが出来ない線路です。

アウシュビッツ=ビルケナウ絶滅収容所を
象徴するのがこの「線路」なんです。

収容所に一度にたくさんの人間を連れてきて効率良く列車から下ろすために、一本の線路は、終着点で二本に別れています。

そのどちらで降りても、行き着く先は「死」なのです。

終戦間際に、ドイツ軍によって


証拠隠滅のために、線路の一部とガス室の一部が爆破されました。

また子ども20人がドイツ軍によって殺害されました。
「人体実験」をしていたことを隠すためです。証拠隠滅のために…です。


今は枕木も朽ちつつあるこの「線路」が語るものは何なのでしょうか。

この線路は、なにを示しているのか?

❄️殺戮と絶滅の行き着くところ。その証拠。象徴。

❄️悪の隠蔽が行われた場所。「隠蔽」の印が刻みこまれた場所。

❄️そして強制収容所で加害者であったナチスの何十人かの看守たちは、(若い女性看守もいた。)この同じ収容所で絞首刑になりました。

この線路はかくも特別な場所であります。

線路を歩きながら、財前教授の胸に去来したものは何だったのでしょう。

2003年の唐沢さんの白い巨塔は、重厚な素晴らしいドラマでした。
もう何年も前に一度見たきりですが、
また観てみたいです。

若き医師を演じた伊藤英明さんの心の葛藤の演技と証言の演技が凄かったです。ここが一番記憶に残っていましたが、アウシュビッツでの撮影が行われていたことを今驚きながら思い出しています。

強制収容所では、不妊など人種絶滅のための人体実験があったこと、幼い子どもたちをも含め、
壮絶な虐待とおびただしい数の殺戮があったことを忘れてはいけないと思いました。

今現在の日本において、
虐待殺戮や人体実験をしない、させないために、人間の尊厳と命を守るのに、
大切にすべき砦は「人権」、基本的人権だと思います。

命を守るのは軍事力だけではないと思います。命を守るのに一番確実なのは、二度と戦争をしないこと、巻き込まれないことです。

命を守るのは、最先端の医療だけではないと思います。最先端の医療には、製薬会社、お金「経済」、「権力」政治の問題と、治験「人体実験」の問題があります。

白い巨塔のアウシュビッツ撮影の場面を見ながら、こんなことを考えました。
白い巨塔は今も、全く終わっていない問題を
描いていたのですね。




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