ガンダム好き社員がアニメシリーズの魅力や好きなMSについて語ってみた【前編】
日本人なら誰もが聞いたことのある名作アニメシリーズ・ガンダム。
生誕45周年となる今年は、映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が1月26日(金)に劇場放映されます。
今回は、ガンダムを愛する社員を集めて、その魅力について語っていただきました。
(※聞き手の編集部は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のみ視聴のガンダム初心者。初めての方も一緒に学んでいきましょう!)
メンバー紹介
Mさん
業務:新規事業の顧客管理システムの開発を担当
好きなシリーズ:機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
Eさん
業務:新規事業のデバイス開発を担当
好きなシリーズ:機動戦士Zガンダム
Nさん
業務:お客様サイトや、データ解析サービスを担当
好きなシリーズ:機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)
Sさん
業務:スカパー!公式サイトの運用を担当
好きなシリーズ:機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)
KSさん
業務:コールセンター運営やメール送信などお客様への体験の提供を担当
好きなシリーズ:機動武闘伝Gガンダム
(※機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYも好き)
KNさん
業務:放送事業者様との販促活動など加入件数拡大に向けた取り組みを担当
好きなシリーズ:機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)
あなたのガンダムはどこから?沼の入口
―まず、皆さんがガンダムにハマったきっかけを教えてください。
Mさん「(聞き手の編集部は)初めての方ということでまず簡単に説明しますと、ガンダムには『機動戦士ガンダム(通称:ファーストガンダム)』から始まる宇宙世紀の世界観を持つシリーズと、宇宙世紀以外の世界観を持つシリーズがあります」
―新規にも優しい解説…ありがとうございます!
Mさん「自分は宇宙世紀以外の世界観を持つ『機動戦士ガンダムSEED』が好きで高校生の頃にハマりました。もともと小中学生頃からアニメは好きだったのですが、小学生の頃はコロコロ派だったんですよ(笑)。ガンダムはボンボンだったので、ガンダムシリーズは見たこと無かったんです」
一同「(笑)」
Mさん「そこから年代が上がっていろいろなアニメのコンテンツを見始めた頃、何年かぶりにガンダムシリーズが作られることになって。T.M.Revolutionが主題歌で商業的な売り込みもありましたし、放送局が以前のテレ朝系(機動戦士ガンダム~)、フジテレビ系(∀ガンダム)から、TBS系(機動戦士ガンダムSEED~)に変わるということもあり、大々的にプロモーションがされていたことから観ようと思って、ハマりました(笑)」
Eさん「自分の世代ですと、小学生の頃に『機動戦士ガンダムSEED』が放送されていたSEED世代なんですけど、当時は何をしてるのか全く分からなくてハマらなかったんですよね。最初から観ないと付いていけなくなっちゃうタイプのアニメなので」
―たしかに、大作だからこそ途中から理解するのは難しそうですよね。
Eさん「はい。なんですけど、バーサスシリーズという今も続いているガンダムのゲームで、ガンダム関係なくゲームとしてやり始めたんです。そこで百式とかジオンというキャラクターが出てきて『ちゃんと観てみよう』ということで、アニマックスで年中放送していたZガンダムを観始めて、そこからですね」
Nさん「私はファーストガンダムが好きなんですけど、小学生くらいの頃に放送が始まったんです。宇宙にコロニーを作って住むという設定があって、こんな凄いことができるのか、何十年後かにモビルスーツができるだろうと子供ながら思って(笑)。その”凄さ”でハマったかもしれないです。あとは当時キン消しが流行ってたんですけど…」
―キン消しですか?
Nさん「そう、キン肉マンの消しゴムです。これが流行っていたんですけど、ガンダムでも消しゴムやシールが駄菓子屋さんで売ってて、そういうのを集めるのでハマっちゃいましたね (笑)」
Sさん「私はファーストガンダムに始まりファーストガンダムに終わるんですけど、中学生の頃に映画からハマりましたね。テレビシリーズとは別に3本映画をやっていたのですが、その主題歌の『哀 戦士』という曲が大好きで(笑)。カラオケでも時々歌うのですが、すごくかっこいい歌詞なんです」
―主題歌から!映画はテレビシリーズと同じ内容なのでしょうか?
Sさん「3つでファーストガンダムのほぼ全てって感じです。テレビシリーズと比べると少し足りない部分はありますけど、おいしいところをきちんと詰めて作っている感じです!」
KSさん「中学生の頃にやったガンダム関連のゲームがいっぱいあって、ゲームからハマりました。
あと当時僕はバス通学だったんですけど、バス内で一番イケてるグループの人が『ヤクト・ドーガに乗っているギュネイ(の声優さん)って山寺さんらしい』という話を僕にしてくれたんですよ。イケてるグループの人が気に掛けているくらいすごい作品なのかなって思って、それもきっかけですね」
―イケてるグループの人も知るアニメだったのですね!
KSさん「その人はイケてるグループの中でもちょっとオタクの人だったんですけど(笑)。アニメ作品全般に言えますが、自分だけが知っていると思うことを他の人が知っていると分かると共感性が出てくるという体験があって、好きになりましたね」
KNさん「僕は40代後半なんですけど、小学生の時にファーストガンダムを観て好きになりましたね。後になってくると宇宙世紀もの以外のシリーズも出てきましたが、そのあたりからは徐々にガンダムから離れてしまっていたかもしれません」
―まさに宇宙世紀シリーズのドンピシャ世代だったのですね!
KNさん「はい。最近また『機動戦士ガンダムUC』とか宇宙世紀ものが少し復活していたので、またちょこっと観たりしていますね。宇宙世紀シリーズが好きです!」
まるで人間ドラマ!ロボットアニメの新境地
―では続いて、ガンダム作品の魅力を教えてください。
Mさん「人間味ですかね。それまでロボットものって、主人公はたいてい凄くアツい人だったんですけど、ガンダムの主人公は弱さを見せたり、人間味が溢れているんですよね。『機動戦士ガンダムSEED』では男女の恋愛模様とかドラマ性が組み込まれていますし、他にも『戦いたくないけど戦わないといけない』『何のために戦うのか』といった、戦争の不条理がいっぱい入っているのも魅力ですね」
―思っていたロボットアニメと違う!ガンダムシリーズでは心情が丁寧に描かれているんですね。
Mさん「そうですね。宇宙世紀以外のガンダムシリーズも宇宙世紀をオマージュして作っている感じがあります」
Nさん「パッケージがあるのかもね。ファーストガンダムで成功したから、そのパッケージを持ってくるみたいな」
Sさん「それまでのアニメは絶対的にすごい人がいて特殊な能力を持っていましたけど、いろいろな人が出てきて、その中で一番軟弱なのが主人公。紆余曲折を経て成長するというのが分かりやすくて共感しやすいのかもしれないですね。あと普通の人が戦争に巻き込まれて、特殊な能力を発現することも含めてAKB方式というか…」
KSさん「AKB?」
Sさん「センターがいるんだけど、サブもたくさんいて、自分でどのキャラが推せるとかも含めて推せるのも魅力だなと思います(笑)」
一同「たしかに!」
Eさん「僕みたいな若造がいろいろ言うと怒られちゃいそうなんですけど(笑)、人がどんどん死んでいって『なんだこれは』っていうのがファーストインプレッションとしてあったんですけど、観ていくとジオン軍もかわいそうだなと思い始めてくるんですよ」
―敵のジオン軍にも寄り添える要素があると。
Eさん「はい、あと政治の話もあって…。ただ戦うだけじゃなくて、政治的な背景があるから今戦っていると分かるのがすごく面白くて。そうしてファーストガンダム観終わったら、次もあるんだ、次もあるんだと、どんどん観ていきましたね」
Nさん「観ていると善悪が分からなくなるよね。ファーストガンダムではジオン軍が悪だと思っていたけど、政治的背景や、連邦の汚職が蔓延しているところを見ると、果たして正義なのかが分からなくなってくるんですよ。自由を求めて戦っているジオン軍もありなのかなと思って、すごく考えられているんですね」
―両者の視点で観れるのは面白そう!主人公の立場はシリーズによって変わりますか?
KSさん「地球連邦軍側の目線で語られるのがファーストガンダムなんですけど、最近、同じ時代のものをジオン軍側の目線で見る『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が始まって、その主人公がシャア・アズナブル。同じ時代を、違う目線で楽しめますね」
Sさん「ジオン共和国を作った人の息子であるキャスバルがいかにしてシャア・アズナブルとして地球連邦の敵になるのか見えてくるのが嬉しいですよね!」
Nさん「そしてめちゃめちゃイケメンなんだよな、シャア・アズナブル」
Sさん「マスク外れたら倒れますぜってくらいかっこいいんですよね」
―(「シャア 素顔」でGoogle検索をしながら)ええ!かっこよすぎる!
Sさん「あと人間群像劇みたいなところがすごく印象に残る作品だなと思っていて、私はジオン軍側の人もすごく好きなんで…ドズル・ザビとか(笑)。どっちが正義でどっちが悪か分からなくなってくるのも良いですし、弱い部分をしっかり描いているのが良いですよね。アニメに出てくる人は窮地に立たされて頑張ることが多いと思うんですけど、怖いときは普通に逃げますからね」
KSさん「どっちの勢力が正義か分からない話に関連して、実はもうひとつ勢力があるんですよ」
―地球連邦軍とジオン軍の他にですか?
KSさん「モビルスーツなどの軍事兵器を作っている会社があるんですよ、アナハイム・エレクトロニクスっていう。そいつらが暗躍してて、ずっといい思いをしているんですよ」
Sさん「軍事産業万歳みたいなね(笑)」
KSさん「そう、月に本社機能があるんですけど。逆襲のシャアでは、ジオン軍も地球連邦軍もその会社に相談して…するとその会社は両方の技術を転用してより強いモビルスーツを作るんですよね。深く考えると戦争で一番儲かっている会社が悪なんじゃないか、とか複雑なものがあったりして」
―現代にも通じそうな話が…。善悪を考えると深いですね。
KSさん「本当深いんですよ。あとガンダムが作るまでにいろいろな技術を用いて長い工程を経ているんですけど、その裏設定を読むのが楽しいですね(笑)」
Mさん「一年戦争で宇宙での戦いと地球での戦いがあるですけど、その戦いも設定がしっかりしているんですよね。地図を見るとよく分かるんですけど、この地域で戦いに敗れたから次はこの地域で…みたいな。徹底して作り込まれていますね」
KSさん「作品のストーリーだけでも面白いけど、裏の設定も繋がっていて2倍面白いですね」
KNさん「設定で言うと、ミノフスキー粒子もね」
―ミノフスキー粒子?
KNさん「ガンダム以前はロボット同士の戦いに何の違和感もなかったんですけど、ガンダムではロボット同士が直接戦う理由の設定があって。通常の戦争では直接的に敵を視認できなくてもレーダーを使って敵を検知して攻撃できるんですけど、ある時ミノフスキー博士という人がレーダーを無効化するミノフスキー粒子を見つけたんです。このミノフスキー粒子を散布すると見えない敵がやっつけられない環境になって、そんな環境で生まれた戦い方がモビルスーツ同士による白兵戦なんです」
―それでロボット同士でぶつかり合う…。
KNさん「この設定を知るまではロボットが戦うことを漠然と受け入れていたんですけど、これを知ってからロボットが戦う理由も腑に落ちて。戦争の現状分析からどう戦うかまで、一段深いところまで富野監督が考えてたんですね。(当時)小学生ながらにすごい想像だなと引き込まれましたね」
Sさん「すごいなってことで言うと、雑魚のモビルスーツが工場で量産されるシーンを見た時は新鮮な驚きがありましたね。そういったシーンはアニメで描かれないから考えたことがなくて、でもそりゃそうだ、初めからいるんじゃなくて作られてるんだよね、と衝撃がありました」
KNさん「(ファーストガンダムでは)ところどころ本線とは違う話があるんですけど、それぞれ魅力的だからこそ、本線の力強さが補強されてくんですよ。
個人的には「時間よ、止まれ」(第14話)が好きで…。この話はガンダムとジオン軍が戦っている草の根でゲリラ戦をしている部隊を描いているんですけど、時限爆弾を20個くらい用意して1個1個取り付けることでガンダムを撃破しようとするんです。結局アムロが探知機を当てて外していくんですけど、取り終えた爆弾をアクセルを全開にした車に乗せて、爆発前にギリギリ難を逃れる…。一話完結なんですけど印象に残っていて、そんなサブストーリーによって世界観にどんどん引き込まれていきましたね」
―モビルスーツ量産と言い、ものすごくリアルですね。たしかに敵を倒すためにいろいろな工夫がありますよね。
KNさん「そう、ロボットだけが戦うのは決めつけであって、倒すためにはいろいろな作戦があるよなって、納得させられるシーンですね」
KSさん「今考えたら『鬼滅の刃』みたいな」
一同「どういうこと?」
KSさん「登場人物を深く掘ることで本線がより光るってことです!」
一同「なるほど(笑)!たしかに」
Sさん「戦争ものでロジスティクスとか補給を描いているのも凄いですよね。途中でマチルダさんとか死んでしまうんですけど…」
Nさん「補給部隊がいないと成り立たないもんね」
Sさん「そう、補給部隊がいないと前線で戦えないことを説明するのが凄いなって!」
Nさん「補給を依頼しているけどザクが二機しか来ないってのもありましたね」
Sさん「ありました!すごくリアル。退路を断たれると補給部隊は来ないから籠城するしかない。それをアニメで描くのが本当に凄い」
KSさん「リアルではないけど、そういった観点を描くのがリアル風ですよね」
Mさん「中立地帯があるのもそのひとつですよね。この場所では戦いませんという中立エリアがあって、戦争ってそういうものなんだ、大人の事情なんだな、と思いましたね」
Sさん「本当、人間ドラマです」
―ここまで凝った世界観だと、子供の頃に観て「話が難しいな」とは思わなかったですか。
KNさん「子供の頃は一発で全部を理解するのはできてなかったですね。自分も小学生の頃はなんとなく観ていて、少し年を取ってから観て理解した部分があったね。何回噛んでも良いってことです」
KSさん「中立とか分からないですからね、そのあと資源が豊富だからとか言われても分からないですし。たくさんロボットを作るには鉱石が多い方が有利だってことが今なら分かるんですよ」
―大人になって観ることで、また違った視点でも楽しむことができるんですね!
魅力を語るとキリがない、リアルで深いガンダムの世界。
大人になってからもキラキラと目を輝かせながら語れるアニメ。ガンダムシリーズの凄さを改めて感じました。
後編では、好きなキャラクターやモビルスーツについて熱量高くお届けします。
お楽しみに!
(取材・文 ヤマ)
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