金を稼ぐ

電車に乗って席に座る。暫くするとそばに居た爺さんがいきなり膝を叩き出しながら歌い出した。
1駅区間、約1分のワンフレーズ。決して上手いとも言えないその歌は私の心には響かなかったが、爺フィルターのせいか数人に響く。そしてその爺は2ドルを稼ぎ、違う車両へ移っていく。
彼が去るや否や、座っていた若い黒人の男性が声を荒げる。

あんなチープな音楽で2ドル?ただ膝を叩いてがなっただけじゃないか!稼ぐって事がおかしくなっているよ、この世の中は。

確かに。
彼の調子だと1分で2ドル。つまり1時間で120ドルとは流石にいかないだろうから、仮に1/4としても1時間で30ドル。
5時間頑張れば150ドル。
それを10日で1500ドル。

なかなか悪くもない。
最低時給が15ドルにあがったNYとは言え、まだまだ実は不法移民を狙って(オーナーにとっては所得隠しににもできる)13ドル、11ドルなんてざらにある。
さて、就活中の身としてはナルホドなあな訳だ。
しかもNYの地下鉄は24時間営業だ。
なるほど。やる気次第でもある。

ふと先週会ったエージェントの彼が言ったことが頭を過る。

給料ってさ、難しいんだよね。

アメリカでは転職時に聞いてはいけない質問があって、これは法律に違反しているんだけど、訴えられないと考えているのか、もしくは知らないのかもしれないけど、日系企業の担当者は気にしないで国籍、年齢、前職の給料、性別を聞いてから落としたりするんです。で、聞いてから人を値踏みする事も多くあって、結果彼らは破格の安さで人を雇ったりするんだよね。

結果、その爺よりも安いなんてざらにあり得る。

ふむ。
まだまだ長そうなこの旅である。

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